Q:ペアローンは本当に得?
A:住宅ローン控除では有利になる場合がありますが、借入額を増やすために使うと危険です
ペアローンとは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、2本のローンで一つの住宅を購入する方法です。
夫4,000万円・妻1,000万円のように借入額を分け、それぞれが債務者となります。
単独ローンより多く借りられる可能性がありますが、借入可能額が増えることと、安全に返せることは別問題です。
ペアローンのメリット
1.夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
夫婦それぞれが要件を満たせば、自分の住宅ローン残高に応じて住宅ローン控除を受けられます。
例えば4,500万円を夫2,250万円、妻2,250万円で借り、控除率を0.7%とした場合、単純計算ではそれぞれ最大約15万7,500円、夫婦合計約31万5,000円です。
ただし、控除できるのは各自が納めている所得税・住民税の範囲内です。
単独ローンでも同じ借入残高を全額控除できる家庭なら、ペアローンにしただけで控除額が倍になるわけではありません。
2.借入可能額を増やせる
夫婦それぞれの収入を基準に審査するため、単独ローンより多く借りられる可能性があります。
これはメリットに見えますが、最も危険な部分でもあります。
夫の年収だけでは3,500万円までだった住宅ローンが、妻の収入を加えて4,500万円借りられても、その住宅が安全に買えるようになったとは限りません。
3.夫婦それぞれが団信へ加入できる
通常のペアローンでは、夫婦それぞれが自分の借入れに対して団信へ加入します。住宅金融支援機構「ペアローン」
ただし、夫が死亡した場合に消えるのは、原則として夫の住宅ローンだけです。妻の住宅ローンは残ります。
夫婦のどちらかに万一のことがあれば両方の残高がなくなる「ペア連生団信」もありますが、取扱条件や上乗せ金利を確認する必要があります。
ペアローンのデメリット
1.出産・育児休業中も返済は続く
妻が出産や育児休業で収入減になっても、妻名義の住宅ローン返済はなくなりません。
さらに次の支出が重なる可能性があります。
- 出産・育児費用
- 保育料
- 教育費
- 車の買い替え
- 住宅修繕費
- 固定資産税
ペアローンは、夫婦2人の現在の収入が長期間続く前提で組むと危険です。
2.契約が2本になり諸費用が増える
ペアローンでは住宅ローン契約が2本になるため、固定額の事務手数料、印紙代、司法書士報酬、抵当権設定費用などがそれぞれ必要になる場合があります。住信SBIネット銀行「ペアローンと収入合算の違い」
「借入額×2.2%」のような定率手数料は、借入総額が同じなら大きく変わらない場合もあります。何が2倍になるのか、内訳で確認してください。
3.離婚時の処理が複雑になる
離婚しても住宅ローン契約は自動的に解消されません。
- どちらが家に住むのか
- 住宅を売却するのか
- 売却価格でローンを完済できるか
- 一方の名義へ変更できるか
- 単独で借り換えできるか
を金融機関と協議する必要があります。
夫婦間で「夫が払う」と決めても、金融機関との契約上の債務者は変わりません。
4.持分を正しく設定する必要がある
土地・建物の持分は、頭金と住宅ローンを含めた実際の負担割合に合わせるのが基本です。
負担割合と登記持分が大きく異なると、夫婦間の贈与と判断される可能性があります。住宅ローン控除の対象額にも影響します。国税庁「共有の家屋を連帯債務により取得した場合」
ペアローンが向いている家庭
- 夫婦とも安定した収入がある
- 出産・育休後の収入減を計算している
- 片方の収入だけでも一定期間返済できる
- 借入額を増やす目的ではない
- 住宅ローン控除を夫婦とも活用できる
- 生活防衛資金が十分に残る
- 離婚・死亡時の住宅処理も確認している
俺流結論
ペアローンの最大の問題は、住宅会社が夫婦の年収を合算して、住宅予算を引き上げることです。
単独では買えない。
でも夫婦で借りれば買える。
これは「得」ではありません。夫婦2人の将来の収入を先に使って、高い家を買っているだけです。
ペアローンを組むなら、妻の収入が育休などで半分になった場合、金利が上昇した場合、どちらかが働けなくなった場合も計算してください。
ペアローンは住宅ローン控除のために使う選択肢であり、予算オーバーの家を買う道具にしてはいけません。
関連FAQ
ペアローンなら住宅ローン控除は2倍になりますか?
必ず2倍にはなりません。借入残高、控除上限、夫婦それぞれの納税額によって決まります。
夫が死亡したら妻のローンもなくなりますか?
通常は夫の借入分だけが完済され、妻の借入分は残ります。ペア連生団信なら両方が完済される商品もあります。
ペアローンと収入合算は何が違いますか?
ペアローンは住宅ローン契約が2本、収入合算は原則1本です。団信、控除、諸費用、債務者の立場が異なります。










