HEMSでシニアが電気代を「見える化」するメリットとは?
結論|HEMSを付けるだけでは、電気代は安くなりません
HEMSとは、家庭内の電気使用量、太陽光発電量、売電量などを表示し、対応する家電や設備を制御するシステムです。
ただし、設置しただけで自動的に省エネになる設備ではありません。
表示されたデータを見て使い方を変える、または太陽光、蓄電池、エコキュート、EVなどを自動制御して、初めて効果が生まれます。
電気使用量を見るだけなら、電力会社の会員ページや太陽光発電のモニターで確認できる場合もあります。HEMSへ費用をかける前に、「何を管理したいのか」を決める必要があります。
HEMSでできること
HEMSは「Home Energy Management System」の略で、資源エネルギー庁は、家電や給湯機器をネットワーク化し、表示と制御を行うシステムと説明しています。資源エネルギー庁「省エネって何?」
主な機能は次のとおりです。
- 家全体の電気使用量を表示する
- 部屋や回路別の使用量を確認する
- 太陽光発電量と売電量を確認する
- 蓄電池の残量を確認する
- 対応するエアコンや照明を操作する
- エコキュートやEV充電の時間を調整する
- 電気を使い過ぎたときに知らせる
ただし、利用できる機能は機器やメーカーによって異なります。
シニア世代にとってのメリット
電気代が増えた原因を探しやすい
先月より電気代が5,000円増えた場合、請求書だけでは原因が分かりません。
HEMSで時間帯や回路別に確認できれば、エアコン、給湯、IH、暖房器具など、どこで電気を多く使ったかを推測しやすくなります。
太陽光の電気を自宅で使いやすくなる
売電価格が下がると、太陽光で発電した電気は売るより自宅で使った方が有利になる場合があります。
昼間にエコキュートを動かす、蓄電池へ充電する、EVを充電するといった制御ができれば、発電した電気の自家消費を増やせます。
機器の異常に気づける場合がある
留守なのに電気使用量が多い、以前より給湯の消費電力が増えたなど、普段と違う動きを発見できる場合があります。
離れて暮らす家族が利用状況を確認できるサービスもありますが、対応機器、利用料金、本人の同意、プライバシーへの配慮が必要です。
HEMSのデメリット
使わなくなる可能性がある
新築直後は毎日確認しても、数か月後には見なくなるケースがあります。
画面やアプリの操作が複雑だと、電気使用量を表示するだけの設備になりかねません。契約前に実際の操作画面を見て、自分で使えるか確認することが重要です。
すべての家電を操作できるわけではない
HEMSを設置しても、家電側が通信や制御に対応していなければ操作できません。
ECHONET Liteなどの通信規格に対応していても、メーカーや機種によって利用できる機能が異なる場合があります。
「HEMS対応」という言葉だけで判断せず、エアコン、エコキュート、蓄電池、太陽光、EVについて、どこまで連携できるかを一覧表で確認します。
故障・更新費用が発生する
HEMSのコントローラー、表示端末、通信機器は、住宅本体より早く故障やサポート終了を迎える可能性があります。
専用モニターが壊れた場合の交換費用、アプリやクラウドサービスの終了、インターネット環境の変更にも注意が必要です。
導入費だけでなく、10年後に同じ機能を維持できるかを確認すべきです。
HEMSが向いている家
次の設備を組み合わせる場合は、HEMSの効果を生かしやすくなります。
- 太陽光発電
- 蓄電池
- オール電化
- エコキュート
- EVまたはV2H
- 時間帯で単価が変わる電気料金プラン
- 対応エアコンや照明
特に、太陽光の余剰電力をエコキュート、蓄電池、EVへ自動的に振り分けたい家庭には有効です。
HEMSを急いで付けなくてもよい家
次のような場合は、費用対効果が小さい可能性があります。
- 電気使用量を確認するだけ
- 太陽光や蓄電池を設置しない
- 対応家電をほとんど使わない
- スマートフォンや専用画面を見ない
- 電力会社のアプリで必要な情報を確認できる
- 導入目的が「補助金の条件だから」だけ
補助金を受けるために不要な設備を追加し、補助額以上の費用を負担しては意味がありません。
契約前に確認する7項目
- 導入費はいくらか
- 何の機器と接続できるか
- 回路別まで表示できるか
- 自動制御できる設備は何か
- 月額利用料は必要か
- 故障時の交換費用はいくらか
- メーカーのサービス終了後も使えるか
「見える化できます」という説明だけでなく、実際の画面と連携機器の型番まで確認します。
デザインハウス甲府の考え方
HEMSは、断熱性能を高める設備ではありません。
HEMSへ費用をかけても、断熱・気密・窓・換気計画が不十分なら、家そのもののエネルギー消費は大きいままです。
優先順位は次のとおりです。
- 断熱等性能等級6、UA値0.46以下
- 全棟気密測定でC値0.7以下を確認
- 第一種熱交換換気
- 高効率な給湯・空調設備
- 太陽光発電
- 必要に応じてHEMSや蓄電池
太陽光、エコキュート、蓄電池を連携させ、自動制御まで利用するなら、HEMSには意味があります。
一方、電気代を眺めるだけなら、電力会社のアプリで十分な場合があります。設備を付けることを目的にせず、導入費と更新費以上の効果を実際に得られるかで判断すべきです。










