70歳から10年ローンを組む場合、返済額は年金の何割まで?
結論|住宅ローン単体で「手取り年金の15%以内」が安全側の目安です
70歳から10年間の住宅ローンを組む場合、毎月返済額は夫婦の手取り年金額の15%以内を一つの目安にします。
金融機関の審査では、年収に対する年間返済額の割合を30%前後まで認める場合があります。しかし、これは「審査に通る可能性がある上限」であり、70代が安心して返せる金額ではありません。
住宅ローンに固定資産税、火災・地震保険、修繕積立を加えた住居費全体では、手取り年金の20~25%以内に抑えたいところです。
「年金の何割」だけで決めるのも危険
同じ年金月20万円でも、生活状況は家庭によって異なります。
- 車が2台必要
- 持病があり医療費がかかる
- 他の借入れが残っている
- 子どもへの援助がある
- 預貯金が少ない
- 配偶者との年齢差が大きい
このような家庭では、15%でも負担が大きい場合があります。
安全な返済額は、次の2つを計算し、少ない方を採用します。
- 手取り年金月額の15%
- 年金から生活費・税金・保険・医療費・修繕積立を引いた残額
手取り年金別の返済目安
住宅ローンを手取り年金の15%以内に抑えると、目安は次のようになります。
| 夫婦の手取り年金 | 毎月返済額の目安 |
|---|---|
| 18万円 | 約2万7,000円以内 |
| 20万円 | 約3万円以内 |
| 22万円 | 約3万3,000円以内 |
| 25万円 | 約3万7,500円以内 |
| 30万円 | 約4万5,000円以内 |
これは上限ではなく、安全側から見た目安です。預貯金が少ない場合や生活費が多い場合は、さらに下げる必要があります。
10年ローンなら、いくら借りられる?
金利年2%、10年返済、元利均等返済で試算すると、概算は次のとおりです。
| 毎月返済額 | 借入可能額の目安 |
|---|---|
| 3万円 | 約326万円 |
| 4万円 | 約435万円 |
| 5万円 | 約543万円 |
| 6万円 | 約652万円 |
| 8万円 | 約869万円 |
70歳から2,000万円を10年で返済しようとすると、金利年2%でも毎月約18万4,000円になります。一般的な年金生活では、現実的な返済額ではありません。
70代の10年ローンは、建替え資金の全額を借りるものではなく、自己資金で不足する数百万円を補うものと考えた方が安全です。
銀行の返済負担率を使ってはいけない
金融機関は、住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどを含めた年間返済額を年収と比較して審査します。
しかし、銀行の審査基準には、各家庭の食費、医療費、介護費、車の維持費などが細かく反映されているわけではありません。
仮に年金年240万円、年間返済72万円なら返済負担率は30%です。審査上は検討対象になっても、毎月20万円の収入から6万円を返済すると、残りは14万円です。
そこから税金、保険、光熱費、食費、車、医療費を支払う生活は余裕がありません。
「借りられる上限」と「返し続けられる上限」は、全く別です。
固定資産税と修繕費も毎月分に直す
新築後に必要なのは住宅ローンだけではありません。
例えば、年間で次の費用がかかるとします。
- 固定資産税:12万円
- 火災・地震保険:年間換算6万円
- 将来の修繕積立:年間18万円
合計36万円なら、毎月3万円を住宅ローンとは別に確保する必要があります。
手取り年金20万円でローン返済が3万円、税金・保険・修繕積立が3万円なら、住居費全体は月6万円、年金の30%です。
この場合は、ローン返済をさらに下げるか、建替え総額を見直す必要があります。
配偶者が一人になった後を基準にする
夫婦の年金合計だけを見て10年ローンを組むのは危険です。
70歳から80歳までの間に夫が亡くなった場合、妻の収入は自身の年金と遺族年金などへ変わります。しかし、住宅ローン、固定資産税、保険、光熱費は半分にはなりません。
団体信用生命保険で残債が完済されるなら負担を抑えられますが、70歳では団信へ加入できない商品もあります。
契約前に必ず確認するのは、次の3点です。
- 団信へ加入できるか
- どの状態で保険金が支払われるか
- 団信が使えない場合、妻一人の収入で返済できるか
団信へ加入できない場合は、夫婦の年金合計ではなく、残される配偶者の収支を基準に借入額を決めます。
退職金や預貯金も使い切らない
返済額を下げるために、預貯金をほとんど建築費へ入れる方法も危険です。
70代以降には、次の支出が考えられます。
- 医療・介護
- 車の買替え
- 家電や給湯器の交換
- 葬儀・相続手続き
- 施設入居
- 住宅の修繕
自己資金を決める前に、90歳・95歳までの生活費不足と予定支出を別に残します。
住宅ローンの返済額が少なくても、手元資金がなくなれば安全な計画とはいえません。
金利上昇にも耐えられるか
変動金利を選ぶ場合は、現在の金利だけで判断してはいけません。
金利が1%、2%上がった場合の返済額も試算し、その金額でも手取り年金の15%以内に収まるか確認します。
70歳からの返済は、収入が大幅に増える可能性が低いため、金利上昇分を給与増加で吸収できません。可能であれば、固定金利も比較すべきです。
デザインハウス甲府の考え方
70歳の10年ローンで、返済額を年金の20~30%まで設定する計画はおすすめしません。
当社では、住宅ローン単体を手取り年金の15%以内に抑えたうえで、次の条件も確認します。
- 団信が使えなくても返済できる
- 配偶者が一人になっても生活できる
- 金利が上がっても家計が赤字にならない
- 90歳・95歳時点で生活資金が残る
この条件で借入可能額が300万~500万円しかないなら、その金額を前提に建替え総額を調整します。
ローン期間を延ばしたり、老後資金を使い切ったりするのではなく、使わない部屋、過剰な設備、複雑な外観を削ります。耐震、断熱、気密、換気は削りません。
70代の住宅ローンは、「払える月」ではなく、「何が起きても10年間払い続けられる月額」で決めるべきです。










