高気密住宅における「24時間換気システム」の種類と、シニアに適した選び方は?
こんなご相談をいただきました
高気密住宅では24時間換気が重要だと聞きました。第一種・第二種・第三種換気には、どのような違いがあるのでしょうか。
冬の寒さや夏の暑さを抑えながら、掃除やフィルター交換の負担が少ないものを選びたいです。シニア夫婦の家には、どの方式が適していますか?
A. 高気密住宅では、給気と排気を機械で行う「熱交換型の第一種換気」が有力です。ただし、第一種なら何でも快適になるわけではありません。気密性能、ダクト計画、フィルター管理まで含めて判断する必要があります。
住宅の24時間換気は、室内の汚れた空気や湿気、化学物質などを排出し、新鮮な外気を取り入れるための設備です。
現在の住宅では、原則として換気回数0.5回/時以上の機械換気設備が必要とされています。国土交通省
第一種換気とは?
第一種換気は、給気と排気の両方を機械で行う方式です。
熱交換器を備えた機種では、排出する室内空気の熱を利用して、外から入る空気を室温に近づけられます。そのため、冬の冷たい外気が直接入る不快感や、換気による冷暖房負荷を抑えやすくなります。
シニア住宅では、脱衣室やトイレ、廊下を含めた温度差を小さくすることが重要です。山梨県のように冬の朝晩が冷え込み、夏は高温になる地域では、熱交換型第一種換気と高断熱・高気密を組み合わせるメリットがあります。
一方で、次の注意点もあります。
- 本体価格や施工費が高くなりやすい
- 給気・排気の両方に電気を使う
- フィルター清掃と交換が必要
- ダクト内部や換気本体の点検性が重要
- 設計や施工が悪いと、必要な風量を確保できない
特にシニア世帯では、天井裏にある本体へ脚立で上らなければフィルターを交換できない設計は避けたいところです。日常的な清掃を、床に立ったまま行えるか確認してください。
第二種換気とは?
第二種換気は、給気を機械で行い、排気口から自然に空気を出す方式です。
室内が外部より高い圧力になりやすく、外部からホコリや汚染物質が入りにくいため、クリーンルームや手術室などで利用されます。
ただし、住宅では壁の内部へ湿気を押し込むリスクなどを考慮する必要があり、一般的な選択肢ではありません。特殊な目的がない限り、シニア住宅で積極的に選ぶ方式とはいえません。
第三種換気とは?
第三種換気は、外壁などの給気口から自然に空気を取り入れ、換気扇で機械的に排気する方式です。
構造が比較的単純で、設置費や電気代を抑えやすいことがメリットです。故障時の修理や交換も、第一種換気より簡単な傾向があります。
その一方、冬は給気口から冷たい空気が入りやすく、給気口の位置によっては寒さを感じます。寒いからと給気口を閉めてしまうと、計画した換気ができません。
第三種換気を選ぶ場合は、給気口をベッドやソファの近くに設けないこと、暖房した空気となじみやすい位置に配置することが大切です。
第一種換気なら、必ず熱交換するわけではありません
第一種換気には、熱交換を行うタイプと、熱交換を行わないタイプがあります。また、熱交換方式にも主に次の違いがあります。
- 顕熱交換型:主に温度を回収する
- 全熱交換型:温度に加えて、湿気の一部も交換する
冬の乾燥を抑えたい場合は全熱交換型が候補になりますが、換気設備だけで湿度を自由に調整できるわけではありません。室内干し、暖房方法、加湿、生活人数などによっても湿度は変わります。
「熱交換率が高い」というカタログ数値だけでなく、寒い時期の凍結対策、夏のバイパス運転、運転音、消費電力、フィルター価格も比較しましょう。
ダクト式とダクトレス式の違いも確認する
24時間換気には、ダクトを通して各室を換気する方式と、外壁に設置した機器で部屋ごとに換気するダクトレス方式があります。
ダクト式は家全体の空気の流れを計画しやすい反面、設計・施工の精度と将来の点検性が重要です。ダクトレス式は経路が短く、交換しやすい一方、設置場所によって運転音や外観への影響が出ます。
どちらが優れているかではなく、住宅の広さ、間取り、寝室の位置、掃除方法まで考えて選ぶべきです。
換気方式より先に「気密測定」を確認する
どれほど高性能な換気設備を採用しても、住宅の隙間が多ければ、計画した場所から空気が入りません。
給気口以外の隙間から外気が入り、換気されにくい部屋が生まれる可能性があります。高気密住宅を名乗るなら、完成後の予想値ではなく、実際の建物で気密測定を行うか確認してください。
さらに、引き渡し前には各給排気口の風量を測定し、設計どおりに空気が流れているか確かめることが理想です。
24時間換気は止めないことが基本
寒さ、音、電気代を理由に換気設備を停止すると、湿気や臭いがこもり、結露やカビの原因になることがあります。
止めたくなる換気設備ではなく、止めずに使い続けられる設備を選ぶことが重要です。そのためには、風量調整、給気口の配置、運転音、清掃のしやすさを計画段階で確認する必要があります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
山梨県の高断熱・高気密住宅では、熱交換型第一種換気は有力な選択肢です。しかし、第一種換気を取り付けただけで、家中の空気がきれいになり、温度も一定になるわけではありません。
私たちなら、次の点を確認します。
- 実際の建物で気密測定を行うか
- 部屋ごとの給気・排気経路が明確か
- 寝室で運転音が気にならないか
- フィルターをシニアでも安全に掃除できるか
- 交換用フィルターの価格と入手方法
- 故障時に誰が修理できるか
- 引き渡し時に風量を確認するか
高価な換気設備でも、掃除できず、数年後に止めてしまえば意味がありません。第三種換気でも、気密性と給気口の配置が適切で、無理なく維持できるなら現実的な選択になります。
シニア住宅に適した換気設備とは、カタログ性能が最も高い設備ではなく、住む人が安全に手入れしながら、24時間使い続けられる設備です。










