Q. 長期保証は、将来の修繕契約と同じ?
A. 契約上は同じではありません。長期保証は保証制度であり、将来の修繕工事を必ず発注する契約とは別です。しかし、保証延長に住宅会社の点検や有償工事が必要なら、実質的に将来の修繕工事を囲い込む仕組みとして機能します。
長期保証と修繕契約は別のもの
長期保証は、保証書に定められた条件を満たしている場合に、対象部分の不具合へ対応する制度です。
一方、修繕契約は、外壁塗装、防水工事、屋根工事、防蟻工事などを、住宅会社へ有料で依頼する契約です。
契約書上は、明確に別のものです。
そのため、長期保証が付いているからといって、将来の修繕工事をすべて同じ住宅会社へ依頼する義務があるとは限りません。
しかし、ここに住宅保証の分かりにくさがあります。
保証を延長する条件に有償工事が入っている
長期保証のなかには、初期保証の終了後、住宅会社が指定する点検や有償メンテナンスを受けることで、保証期間を延長する制度があります。
例えば、点検の結果、住宅会社から次のような工事を提案される場合があります。
- 外壁の塗装やシーリング工事
- バルコニーや屋根の防水工事
- 防蟻工事
- 屋根材や雨どいの補修
- 給排水設備の修繕
これらの工事を断った場合、保証を延長できないことがあります。
また、他社のほうが安いからと別の業者へ依頼しても、住宅会社の基準を満たしていることが確認できなければ、保証が終了する可能性があります。
つまり、修繕工事を発注する法的義務はなくても、
「保証を残したいなら、当社の工事を受けてください」
という選択を迫られることになるのです。
住宅会社側にも合理的な理由がある
住宅会社が自社施工や指定工事を条件にすることには、一定の理由があります。
他社がどのような材料を使用し、どのような方法で修繕したのか分からなければ、その工事が原因で発生した雨漏りや劣化まで、元の住宅会社が責任を負うことは難しいからです。
品質と責任の範囲を明確にするため、自社施工を保証延長の条件にする考え方自体は理解できます。
問題は、その条件や将来費用が、契約前に十分説明されているかどうかです。
実質的には将来のリフォーム受注につながる
住宅会社から見れば、長期保証は新築時の安心材料になるだけではありません。
10年後、20年後、30年後の点検や修繕工事を、自社へ依頼してもらう仕組みにもなります。
住宅購入者は保証を失いたくないため、他社と比較せずに、その住宅会社の見積りを受け入れやすくなります。
これは住宅会社にとって、非常に強い経営戦略です。
「60年保証」という言葉で新築を受注し、その後の点検、外壁、防水、防蟻、設備交換まで長期間受注できれば、一棟の住宅から継続的な売上を確保できます。
長期保証が、将来の修繕工事を自社へ囲い込む機能を持つといわれる理由です。
保証を残すために、いくら上乗せするのか
例えば、住宅会社から提示された修繕工事が220万円だったとします。
同じ工事内容で、他社の見積りが150万円なら、差額は70万円です。
第三者による点検費用が5万円かかるとしても、価格差は65万円残ります。
次の保証延長までの期間が10年間なら、
65万円÷120か月=月額約5,400円
を、保証を残すために上乗せして支払う計算になります。
もちろん、住宅会社の工事品質や保証内容が優れていれば、この差額を支払う価値がある場合もあります。
しかし、保証が切れるのが怖いという理由だけで、比較せずに契約するのは危険です。
「保証を残すか、安く修繕するか」の二択にしない
有償修繕を提案されたら、次の3つを確認してください。
- 今回の工事をしなければ、どの部分の保証が終了するのか
- 工事をした場合、何年間、どこまで保証が延長されるのか
- 他社施工後に検査を受け、再保証を受ける方法はないのか
「工事を断れば、家の保証がすべてなくなる」と思い込んではいけません。
終了するのは、特定部分の延長保証だけかもしれません。
一方で、他社施工によって関連部分まで保証対象外になる場合もあります。
口頭説明だけで判断せず、保証書と点検報告書に基づいて、対象範囲を書面で確認することが重要です。
契約前に確認すべき質問
住宅会社へ、次の質問をしてください。
- 初期保証は何年間ですか
- 延長保証を受けるために有償工事は必要ですか
- 何年目に、どのような工事が想定されていますか
- 30年間、60年間の想定修繕費はいくらですか
- 修繕工事は他社と相見積りできますか
- 他社で工事をした場合、どの保証が終了しますか
- 第三者検査によって保証を継続できますか
- 指定工事を断った場合、建物全体の保証が切れるのですか
- 再保証を受ける制度はありますか
- 住宅会社が倒産した場合、延長保証はどうなりますか
ここまで確認して、初めて長期保証の実質的な価値が分かります。
保証年数より、保証を維持する総額を見る
長期保証そのものが悪いわけではありません。
定期点検を受け、適切な修繕を行うことは、住宅を長持ちさせるうえで重要です。
しかし、「60年保証」という大きな数字だけで住宅会社を選ぶべきではありません。
比較すべきなのは、
- 何が保証されるのか
- 無料で直してもらえる範囲
- 延長保証の条件
- 指定工事の価格
- 60年間の想定修繕費
- 他社施工を選べる自由
です。
長期保証は契約上、将来の修繕契約と同じではありません。
しかし、保証を延長するために指定された有償工事が必要なら、実質的には将来の修繕工事を継続的に発注する仕組みになります。
大きく表示された「60年」ではなく、その保証を60年間維持するために、総額でいくら支払うのかを確認してください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁
【参考情報】










