将来の車椅子生活や介護を見据えた、廊下や出入口の必要有効幅はどのくらいですか?
A. 廊下は有効幅90cm前後、主要な出入口は有効開口幅80cm以上を目安にしてください。ただし、図面上の壁間寸法ではなく、完成後に実際に通れる幅で確認することが重要です。
車椅子本体の幅は種類によって異なります。直線で通れるだけなら70~80cm程度でも可能な場合がありますが、手を動かす、曲がる、介助者が横に立つことまで考えると余裕が必要です。
廊下は有効幅90cm前後が目安
一般的な木造住宅では、柱の中心間を91cmとする設計が多く、壁を仕上げると実際の廊下幅は約78cm前後になることがあります。
78cm程度でも車椅子が直進できる場合はありますが、次の問題が起きやすくなります。
- 手や肘が壁へ当たる
- 介助者が横に並べない
- 曲がり角を通りにくい
- 手すりを付けるとさらに狭くなる
- 壁や建具を傷つけやすい
将来の車椅子利用を重視するなら、仕上がり後の有効幅を90cm前後確保すると使いやすくなります。
出入口は「扉の幅」ではなく有効開口幅を見る
幅80cmのドアを付けても、実際に通れる幅が80cmになるとは限りません。扉、枠、取っ手などによって開口部分が狭くなるからです。
主要な出入口では、完成後の有効開口幅80cm以上を目安にします。
特に確認したい場所は次のとおりです。
- 玄関
- 寝室
- トイレ
- 洗面脱衣室
- 浴室
- LDK
- 屋外スロープへの出入口
住宅会社へ「建具寸法はいくつですか」ではなく、完成後の有効開口幅は何cmですかと質問してください。
開き戸より引き戸が使いやすい
車椅子で開き戸を使用すると、扉を避けながら前後に移動する必要があります。また、室内で人が倒れた場合、内開きドアが開かなくなることもあります。
引き戸なら、次のメリットがあります。
- 車椅子のまま開閉しやすい
- 扉を避ける動作が少ない
- 開放したままでも邪魔になりにくい
- 介助者が出入りしやすい
ただし、引き戸を引き込む壁が必要です。コンセント、手すり、家具と干渉しないように設計します。
曲がり角と扉の前に余裕をつくる
廊下が90cmあっても、直角に曲がった直後にドアがあると、車椅子では入りにくくなります。
- 廊下の突き当たり
- トイレの入口
- 寝室から廊下へ出る部分
- 玄関ホール
- 洗面脱衣室
これらの場所には、車椅子が方向転換できる余裕が必要です。必要寸法は車椅子の種類や介助方法で異なりますが、方向転換を重視する場所では、1.35~1.5m程度の空間を検討します。
手すりを付けた後の幅で考える
将来廊下へ手すりを追加すると、壁から10cm程度突出する場合があります。
廊下幅90cmを確保したつもりでも、両側に手すりを設置すれば実際に通れる幅は狭くなります。設計時に、手すりの取付位置と下地、設置後の有効幅を確認してください。
廊下をなくす方法もある
車椅子対応のために家全体を広くすると、建築費と冷暖房費が増えます。
おすすめは、廊下を長くするのではなく、LDKから寝室、トイレ、洗面へ直接移動できる間取りです。
- 寝室とトイレを隣接させる
- LDKから寝室へ直接入る
- 洗面脱衣室を広めにする
- 行き止まりや直角の曲がりを減らす
- 玄関から寝室まで最短距離にする
廊下を減らせば、床面積を増やさずに移動スペースを確保できます。
車椅子だけでなく介助者の動きも確認する
本人が自走する場合と、介助者が後ろから押す場合では必要なスペースが違います。
特に寝室では、介護ベッドの横へ介助者が立つスペース、トイレでは横から移乗するスペースが必要です。通過できる幅だけでなく、介助動作ができるかまで図面上で確認しましょう。
デザインハウス甲府では、単純に家を大きくして廊下を広げるのではなく、廊下自体を減らし、寝室・トイレ・洗面・浴室を近づける設計を重視します。
車椅子対応で大切なのは、数字上の幅ではありません。建具や手すりを設置した後も、本人と介助者が無理なく動ける実際の幅を確保することです。










