Q. 過去の延滞や借入れを、いつ確認するべき?
A. 住宅会社との具体的な設計や土地探しを始める前、遅くとも最初の住宅ローン事前審査を申し込む前に確認するべきです。過去の延滞や借入れに不安があるなら、手当たり次第に審査へ出す前に、本人が信用情報と現在の返済状況を整理してください。
住宅相談では、最初に希望する家の話から始まることが多いでしょう。
-
- 平屋にしたい
- 3LDKが必要
- 高断熱住宅にしたい
- 太陽光発電を載せたい
- この地域で土地を探したい
- 総額3,500万円以内にしたい
しかし、住宅ローンを利用するなら、理想の間取りを作る前に確認すべきことがあります。
それが、現在の借入れと過去の支払い状況です。
住宅会社と何度も打合せを行い、土地まで決めてから過去の延滞が分かれば、計画全体が止まる可能性があります。
確認を後回しにするほど、失う時間と期待が大きくなります。
最初の事前審査前に確認する
確認するタイミングは、次の順序が基本です。
-
- 現在の借入れを一覧にする
- 過去の延滞や未払いに心当たりがないか確認する
- 毎月の返済可能額を計算する
- 必要に応じて本人が信用情報を開示する
- 申込先の金融機関を選ぶ
- 正確な内容で事前審査を申し込む
- 結果を踏まえて住宅会社と計画を具体化する
事前審査へ出した後に、
「そういえば数年前にカードの支払いが遅れた」
「使っていないカードローンが残っていた」
「スマートフォンの分割払いを滞納したことがある」
と分かると、次の申込みも難しくなります。
最初の一回を軽く扱ってはいけません。
どのような支払いを思い出すべきか
住宅ローンと関係しそうな借入れだけを確認すればよいわけではありません。
次のような契約も振り返ってください。
-
- 自動車ローン
- 教育ローン
- カードローン
- クレジットカードのキャッシング
- リボ払い
- 商品の分割払い
- スマートフォン端末の分割払い
- 家電・家具のショッピングローン
- 脱毛・美容などの分割契約
- 奨学金
- 事業性融資
- 保証人・連帯保証人になった契約
- 過去に解約したローン
- 債務整理を行った契約
本人が「借金ではない」と思っている支払いでも、分割契約として信用情報に関係している可能性があります。
数日の遅れでも正確に振り返る
引落し口座の残高不足で、支払日に間に合わなかった経験がある人もいるでしょう。
一度の短い遅れがあれば、必ず住宅ローンを借りられないという話ではありません。
重要なのは、
-
- いつの支払いか
- 何日程度遅れたか
- 何回繰り返したか
- すでに支払ったか
- 現在も未払いか
- どのように登録されているか
です。
審査への影響は、延滞の内容、時期、回数、金融機関の判断によって異なります。
「数年前だから大丈夫」
「少額だから関係ない」
と自分だけで決めつけないでください。
不安があるなら、事前審査前に本人開示で確認する方法があります。
信用情報は本人が確認できる
主な信用情報機関には、
-
- CIC
- JICC
- 全国銀行個人信用情報センター
があります。
本人開示を申し込むことで、登録されている契約内容、残高、返済状況、照会記録などを確認できます。
ただし、利用した金融会社や契約の種類によって、登録される信用情報機関が異なる可能性があります。
一つの機関だけを確認すれば、すべて分かるとは限りません。
また、信用情報機関は住宅ローンの合否を決める機関ではありません。
開示情報に問題が見当たらなくても、住宅ローンの承認を保証するものではありません。
金融機関は、年収、勤務状況、物件、返済負担率なども含めて総合的に判断します。
登録期間を自己判断しない
信用情報の保有期間は、情報の種類や信用情報機関によって異なります。
例えば、CICでは新規申込みに関する情報は照会日から6か月間、契約内容や支払い状況に関する情報は契約中および契約終了後の一定期間保有されます。
「5年経ったから、絶対に消えている」
「完済したから、すぐ反映される」
とは限りません。
起算日や情報の種類を誤解している可能性があるからです。
ネット上の体験談だけで判断せず、自分の開示情報を確認してください。
内容に誤りがあると思われる場合は、登録元の会社や信用情報機関の案内に従って確認する必要があります。
相談会社が勝手に信用情報を確認できるわけではない
信用情報は重要な個人情報です。
住宅相談アドバイザーが、本人の同意なく自由に信用情報を見ることはできません。
相談者が相談会社へ話す範囲と、金融機関へ正式に提出する情報は分けて考える必要があります。
相談会社には、最初から開示報告書の全ページを渡すのではなく、
-
- 住宅ローンに不安がある
- 過去に支払い遅れの可能性がある
- 現在、借入れがある
- 金融機関へ先に相談したい
と伝える方法もあります。
そのうえで、誰へ、何を、どこまで共有するのかを本人が決めてください。
住宅会社へ紹介される前に整理する理由
過去の延滞や借入れを確認せず住宅会社へ紹介されると、相談者は次の行動へ進みます。
-
- モデルハウスを見学する
- 土地を探してもらう
- 間取りを作ってもらう
- 見積りを受け取る
- 住宅設備を選ぶ
- 家族で入居後の生活を考える
仮に3社と3回ずつ、各2時間面談すれば、面談だけで18時間です。
移動、土地見学、家族会議まで含めれば、さらに多くの時間を使います。
その後に融資否認となれば、相談者だけでなく住宅会社も時間を失います。
最初に確認すれば、住宅計画を止めるのではなく、
-
- 借入れを整理する
- 建築総額を下げる
- 自己資金を増やす
- 申込み時期を調整する
- 適切な金融機関へ相談する
という現実的な準備ができます。
配偶者の借入れも確認する
夫婦で収入合算、連帯債務、ペアローンを利用する場合は、双方の状況を確認する必要があります。
夫婦でも、相手の借入れをすべて把握していないことがあります。
-
- 独身時代のカードローン
- 自動車ローン
- 奨学金
- リボ払い
- キャッシング
- スマートフォンの分割払い
- 家族に話していない延滞
が残っている可能性があります。
住宅相談の席で初めて明らかになると、夫婦関係にも影響します。
事前に二人だけで、責めるのではなく事実を整理してください。
確認の目的は、過去を追及することではありません。
安全な資金計画を作ることです。
自営業者・会社経営者は早めに専門家へ相談する
自営業者や会社経営者の場合、個人の住宅ローン審査でも、事業の状況や借入れについて確認される可能性があります。
-
- 個人名義の借入れ
- 事業用ローン
- 法人借入れの連帯保証
- 自動車や設備のリース
- 税金・社会保険料
- 申告所得
- 直近の業績
- 役員報酬
などを早めに整理してください。
売上が大きくても、申告所得や会社の経営状態によって希望どおりにならない場合があります。
住宅会社を決めてから慌てるのではなく、決算書や確定申告書を準備し、金融機関へ事前相談することが重要です。
延滞があった場合の正しい順序
過去の延滞や未払いが確認できた場合は、次の順序で進めます。
-
- 開示情報の内容を正確に確認する
- 未払いがあれば放置せず対応する
- 登録内容に誤りがあれば登録元へ確認する
- 新たな延滞を発生させない
- 既存借入れを整理する
- 生活予備費を残す
- 希望借入額を再検討する
- 金融機関へ正直に相談する
- 申込み時期を検討する
- 計画総額を現実的に見直す
「審査に通る銀行を数多く探す」ことから始めてはいけません。
現在の状況を整理し、改善できることへ取り組むほうが先です。
信用情報を消せるという勧誘に注意する
インターネット上には、
「信用情報を消します」
「ブラックでも必ず住宅ローンを通します」
「特別な金融機関を紹介します」
といった広告があります。
登録内容に誤りがある場合の訂正手続きはあります。
しかし、事実として正しく登録されている情報を、都合よく消せるとは限りません。
高額な費用を求められたり、不正確な申告を勧められたりした場合は注意してください。
住宅ローンを通すために虚偽の申告を行ってはいけません。
相談会社へ確認すべき10の質問
-
- 事前審査の前に、現在の借入れを確認しますか
- 過去の延滞に不安がある場合、誰へ相談しますか
- 信用情報の本人開示方法を案内できますか
- 開示結果を誰と共有する必要がありますか
- 相談会社が情報を保管しますか
- 申込先の金融機関をどのように選びますか
- 複数行へ同時に申し込みますか
- 延滞があった場合も、改善手順を提案しますか
- 否認後まで支援してくれますか
- 住宅会社を紹介する前に確認しない理由は何ですか
重要な個人情報を扱うため、経験の浅いアドバイザーへ安易にすべてを渡さないでください。
金融機関、信用情報機関、必要に応じて法律・金融の専門家へ相談するべきです。
結論
過去の延滞や現在の借入れは、住宅会社との具体的な打合せを始める前、遅くとも最初の事前審査前に確認してください。
確認すべきなのは、
-
- 現在の借入残高
- 毎月返済額
- 完済予定
- 過去の支払い遅れ
- 使っていないローン契約
- 信用情報の登録内容
- 夫婦双方の借入状況
です。
理想の家を見てから現実を確認するのではなく、現実を確認してから実現できる家を設計するべきです。
過去に延滞があっても、それだけで住宅取得を諦める必要があるとは限りません。
しかし、事実を隠したり、何行も手当たり次第に申し込んだりすれば、問題の整理が難しくなります。
早く確認すれば、借入れの整理、総額の見直し、申込時期の調整など、取れる対策が増えます。
相談者をすぐ住宅会社へ送る相談先ではなく、最初に資金と信用の状況を整理し、建てられる時期と総額を正直に示す相談先を選んでください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










