解体業者を自分で手配する(分離発注)メリット・デメリットと分離発注の注意点。
こんなご相談をいただきました
「建築会社に解体工事まで依頼するより、自分で解体業者を探した方が安くなるのでしょうか。分離発注で注意することも教えてください」
A. 分離発注は費用を抑えられる可能性があります。ただし、解体工事と新築工事の境目を施主が管理できなければ、追加費用や工期の遅れによって、かえって高くなることがあります。
分離発注とは?
建替え工事には、主に次の2つの発注方法があります。
- 一括発注:建築会社に解体工事もまとめて依頼する
- 分離発注:施主が解体業者と直接契約し、新築工事とは別に発注する
一括発注では建築会社が工程や責任の調整を行います。分離発注では、その調整を原則として施主自身が行います。
分離発注のメリット
最大のメリットは、解体費用の内訳が分かりやすく、複数の解体業者を比較できることです。
建築会社を経由しないため、管理や手配にかかる費用を抑えられる可能性もあります。また、庭木、井戸、浄化槽、擁壁、大型家具などについて、解体業者と直接相談できる点もメリットです。
ただし、建築会社の管理費用には、工程調整や現場確認、トラブル対応の費用も含まれます。単なる「上乗せ」とは限りません。
注意したいデメリット
分離発注で最も多い問題は、解体業者と建築会社の責任範囲が曖昧になることです。
例えば、解体後に古い基礎や地中埋設物が残っていた場合、解体業者は「契約範囲外」、建築会社は「このままでは着工できない」と判断することがあります。
その結果、追加撤去費用だけでなく、着工延期による仮住まい費用の増加まで発生する可能性があります。
また、次のような項目も見積書に含まれているか確認が必要です。
- 建物本体、基礎、土間コンクリートの撤去
- 庭木、物置、門、塀、カーポートの撤去
- 井戸、浄化槽、地中配管の処理
- 電気、ガス、水道の停止・切り離し
- 整地、埋戻し、転圧、仕上がり地盤の高さ
- 地中障害物が見つかった場合の追加単価
- 隣家や道路を傷つけた場合の補償
- アスベストの事前調査・報告・除去費用
解体工事ではアスベストの事前調査が必要です。一定規模以上の工事では調査結果の報告も求められるため、見積金額だけでなく、調査資格や処理方法まで確認してください。環境省「石綿飛散防止対策」
契約前に三者で現場を確認する
分離発注を選ぶなら、解体契約を結ぶ前に、施主・解体業者・建築会社の三者で現地確認を行うことが重要です。
少なくとも、次の内容を書面や図面に残します。
- 何を撤去し、何を残すのか
- 基礎をどの深さまで撤去するのか
- 境界杭や隣地との塀をどう扱うのか
- 解体後の地盤高さと整地状態
- 地中障害物が出た場合の連絡・承認方法
- いつまでに建築会社へ現場を引き渡すのか
一定規模以上の対象工事では、着工7日前までに建設リサイクル法に基づく届出が必要です。誰が手続きを行うのかも確認しましょう。国土交通省「建設リサイクル法に関する届出」
分離発注が向いている人
分離発注は、複数の見積書を比較し、工事範囲や工程を自分で管理できる人に向いています。
一方、狭い敷地、古い擁壁、隣家との距離が近い土地、アスベストや地中障害物の可能性がある建物では、責任窓口を一本化した方が安心な場合があります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
解体費用だけを見て「30万円安くなった」と判断しても、残置物の撤去費用や仮住まいの延長で、その差がなくなることがあります。
比較するべきなのは、解体工事の見積額ではなく、退去から新築工事の着工までにかかる総費用です。
分離発注を検討するときは、解体業者へ依頼する前に建築会社にも見積書と撤去範囲を確認してもらいましょう。安さだけで決めず、工事の境目と責任の所在を明確にすることが、建替えを予定どおり進める一番の対策です。










