自治体(都道府県・市区町村)が独自に行っている「建替え・不燃化補助金」の調べ方
こんなご相談をいただきました
70歳で古い木造住宅を平屋へ建て替える予定です。国の省エネ補助金とは別に、県や市町村から建て替え・解体・不燃化などの補助金を受けられると聞きました。どのように調べればよいでしょうか?
A. 自治体の建て替え補助金はありますが、「新築住宅」という言葉だけで検索すると見つからないことがあります。耐震、防災、不燃化、省エネ、空き家、浄化槽など、工事目的ごとに調べる必要があります。
ただし、補助金は年度、地域、建物、世帯条件によって異なります。前年に利用できた制度が、今年も続くとは限りません。
自治体補助金は目的別に分かれている
建て替えに関連する補助金は、一つの制度にまとまっていません。
| 補助制度の種類 | 主な対象 |
|---|---|
| 耐震建替え | 旧耐震基準で耐震性が不足する住宅 |
| 不燃化・除却 | 密集市街地や防災指定区域内の住宅 |
| 危険空き家解体 | 倒壊などの危険がある空き家 |
| 省エネ住宅 | 自治体が定める断熱・省エネ基準を満たす住宅 |
| 移住・定住支援 | 市外・県外から転入する世帯 |
| 子育て・新婚支援 | 年齢、婚姻、子どもの人数などを満たす世帯 |
| バリアフリー | 高齢者や要介護者が行う一定の改修 |
| 浄化槽設置 | 下水道区域外で合併処理浄化槽を設置する場合 |
| 再生可能エネルギー | 太陽光、蓄電池、V2Hなどの設置 |
「建替え補助金はありません」と言われても、耐震、防災、省エネなど別の部署に対象制度がある可能性があります。
公式サイトで使う検索キーワード
市町村名と次の言葉を組み合わせて検索します。
- 「〇〇市 木造住宅 耐震建替え 補助金」
- 「〇〇市 旧耐震 除却 補助」
- 「〇〇市 住宅 不燃化 助成」
- 「〇〇市 省エネ住宅 補助金」
- 「〇〇市 危険空き家 解体補助」
- 「〇〇市 浄化槽 設置補助」
- 「〇〇市 太陽光 蓄電池 補助金」
- 「〇〇市 移住 住宅取得支援」
民間の補助金まとめサイトは、終了した制度が残っている場合があります。必ず自治体の公式ページで、対象年度と更新日を確認してください。
市役所では複数の部署へ確認する
補助制度によって担当部署が違います。
- 建築指導課
- 住宅政策課
- 防災担当課
- 環境政策課
- 空き家対策担当
- 障害福祉・介護担当
- 農政・上下水道担当
- 移住定住担当
電話するときは、「新築の補助金はありますか」だけでは不十分です。
次のように伝えます。
昭和50年に建てた木造住宅を解体し、同じ土地に平屋を建てる計画です。耐震診断、建替え、除却、省エネ住宅、浄化槽など、利用できる制度はありますか。まだ工事契約はしていません。
築年数、構造、所在地、居住状況、工事予定時期まで伝えると確認が早くなります。
山梨県・甲府市の具体例
山梨県と市町村では、昭和56年5月以前に着工された一定の木造住宅について、耐震診断や建て替えを支援しています。
2026年度の甲府市では、耐震性が不足する一定の木造住宅を除却し、同一敷地内に住宅を新築する場合、耐震改修・建て替え費用について上限143万7,500円の補助制度があります。甲府市「木造住宅耐震改修・建替え補助」
また、甲府市には、一定の認定基準と施工会社要件などを満たす「やまなしKAITEKI住宅」に最大120万円を補助する制度があります。甲府市「やまなしKAITEKI住宅普及促進事業」
一方、甲斐市の省エネルギー住宅等普及促進事業費補助金は受付を終了し、制度自体も終了すると案内されています。甲斐市「省エネルギー住宅等普及促進事業費補助金」
このように、隣接する市でも制度と金額が違い、年度途中で終了することがあります。
不燃化補助金は地域指定が重要
不燃化補助金は、古い木造住宅ならどこでも利用できる制度ではありません。
一般的には、次のような区域が対象です。
- 木造住宅が密集する地域
- 防災上危険と指定された区域
- 不燃化促進区域
- 緊急輸送道路の沿道
- 自治体が指定する重点整備地区
対象区域内でも、耐火・準耐火性能、接道、建物用途、敷地面積などの条件があります。
「省令準耐火構造にすれば補助金が出る」という単純な制度ではないため、住所を伝えて対象区域か確認してください。
最も危険なのは契約・着工を先にすること
自治体の補助金は、原則として工事前の申請が必要です。制度によっては、工事着手だけでなく、契約前の申請を求められることもあります。
基本的な流れは次のとおりです。
- 自治体へ事前相談
- 対象条件を確認
- 耐震診断や認定を取得
- 設計図と見積書を作成
- 補助金を申請
- 交付決定を受ける
- 契約・着工
- 完了報告と検査
- 補助金を受け取る
先に古家を解体すると、耐震診断や現況写真を用意できず、補助対象外になる可能性があります。
国と自治体の補助金は併用できる?
国の省エネ住宅補助金と自治体の耐震建替え補助金を併用できる場合はありますが、必ず利用できるとは限りません。
確認すべきなのは次の3点です。
- 財源に同じ国費が含まれていないか
- 同じ工事費を重複して申請していないか
- それぞれの制度が併用を認めているか
例えば、解体部分は自治体、断熱・省エネ部分は国というように、対象経費を分けられる場合があります。申請窓口と住宅会社の双方へ確認してください。
補助金を建築予算の前提にしない
補助制度は、予算上限に達すると年度途中で終了することがあります。また、完了期限に間に合わなければ受け取れない場合もあります。
資金計画は、まず補助金を含めずに成立させます。そのうえで交付決定を受けた金額を、予備費または借入額の削減に充てる方が安全です。
「最大120万円」と書かれていても、住宅の仕様や加算条件によって、実際の補助額が30万円、50万円になることもあります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
補助金は、お客様のためのお金であって、住宅会社が契約を急がせるための道具ではありません。
デザインハウス甲府では、建築地、旧宅の築年数、耐震診断、世帯条件を確認し、対象になりそうな制度を工事契約前に調べます。ただし、補助金ありきで建築総額を増やすことはしません。
補助金が100万円増えても、建築費が200万円上がれば損です。比較すべきなのは補助額ではなく、補助金を差し引いた後の最終総額です。










