自営業は、売上が多ければ借りられる?
結論 :売上の大きさだけでは判断されない
A 自営業の住宅ローンは、売上が多ければ希望額を借りられるわけではありません。売上から必要経費等を差し引いた所得、事業の継続性、既存借入、納税、物件等を確認します。税務上も事業の総収入と所得は別の数字です。口座へ入った年間入金額を、そのまま年収として申告しないでください。[資料18]
銀行がどの年度のどの所得を使うか、申告書にどの追加資料が必要かは商品によります。赤字や経費の調整について独自の確認がある場合も、本人が勝手に有利な数字へ計算し直してはいけません。正式な申告資料を示し、その商品では何を収入として扱うか確認することが出発点です。
売上は事業が受け取る対価であり、その全額が本人の返済へ回るわけではありません。原価、外注、家賃、人件費、税、借入返済等が続きます。銀行がどの所得と資料を使うか確認する一方、家庭では事業を続ける現金を先に確保します。「売上の何割なら借りられる」という推測より、本人の申告所得、事業の資金繰り、家計の収支を分けることが重要です。
売上と利益と現金残高を分ける
例えば売上1,500万円、必要経費1,100万円なら、差引きは400万円です。これは単純化した例で、実際の税務・審査上の所得は正式資料で確認します。売上1,500万円を給与年収1,500万円と同じに扱うと、借入可能額と返済余力を大きく見誤るおそれがあります。
さらに、所得が出ていても売掛金が未入金、設備代や借入元金の支払いが多い等で、手元現金が少ないことがあります。所得、入金、支払い、家計へ回せるお金を別にします。事業の運転資金を頭金へ入れすぎると、仕事の資金不足が住宅返済へ波及するため、個人の住居費と分けて管理してください。
仮定例で年間売上1,200万円、経費800万円なら単純差は400万円です。ただし税務上の所得、借入元金の支払い、設備購入、税・社会保険等まで含む現金とは一致しません。通帳に残る額も、後で支払う税や仕入の資金かもしれません。毎月の家計へ移す金額と事業へ残す金額を分け、所得が高くても資金が不足する理由を説明できるようにします。
必要な年数の申告書を一式で用意する
確定申告書、決算書、収支内訳等について、銀行が求める年数とページを確認します。黒字の年だけを選んだり、表紙だけ提出したりしないでください。必要な納税証明や追加説明も一覧にします。銀行の必要書類案内では、確定申告をする人に過年度資料を求める例があります。[資料03]
所得が上下している場合は、受注の変化、設備更新、取引先、事業開始時期等を年別に整理します。単に「今年は良い」と伝えるより、どの実績があり、何が未確定なのかを示す方が説明になります。帳簿と申告書に違いがあれば、税理士等へ確認して正しい資料を整えましょう。
申告書は表紙だけでなく、銀行が求める決算書、内訳、公的証明等を一式で用意します。必要な年数は商品ごとに確認します。各年の売上・所得が大きく違うなら、事業の変化と対応する資料を添えます。見込みの受注は実績と区別します。税務申告と本人の説明に差がある場合、銀行向けに数字を作り替えず、税理士等へ確認して正しい資料に沿って説明してください。
事業の支払いと住宅の返済を重ねて確認する
事業用借入、設備の割賦、リース、税金、家賃等を整理し、銀行の質問に沿って申告します。審査での算入方法と、実際の資金繰りは分けて確認してください。申告書上の所得があるから、年間の住宅返済へ同額を回せるわけではありません。事業を続けるための支出が先に必要です。
家計は売上の良い月だけでなく、閑散期や入金が遅れた月も試します。例えば取引先からの入金が二か月後になる仮定なら、その間の仕入れ、生活費、住宅返済をどの現金で払うかを確認します。住宅ローン承認と事業継続は別の判断なので、両方の現金残高を見える形にしましょう。
事業借入の最終回に大きな支払いがある人は、毎月返済だけでなく満期の資金も残します。住宅の完成と近い時期なら、入金予定と支払日を具体的に照合してください。決算上の所得が十分でも、その月の預金が不足することを防ぐため、年次の資料と月次の資金繰りを併用しましょう。
年間合計で余裕があっても、仕入先への支払いが先、売上入金が後なら現金は一時的に減ります。月ごとの資金表に、事業返済、納税、住宅の着手金等を重ねます。仮定例で売掛金200万円の入金が2か月後なら、その200万円を今月の頭金に使うことはできません。予定どおりの入金と遅れた場合を分け、事業の運転資金を住宅へ流しすぎないことが大切です。
所得を増やすための不正な申告はしない
融資のために売上を架空計上する、必要経費を事実と違う形にする、修正した申告書を本物のように提出する方法は採りません。誤りのある申告を直す必要がある場合は、税務の正式な手続きで訂正し、その経緯も銀行へ説明します。数字を大きく見せれば解決する問題ではありません。
適正な節税と住宅資金の計画を両立させたい場合は、税理士と金融機関で役割を分けます。税理士には実態に合う申告と事業資金を、銀行にはその所得の取扱いを確認します。住宅会社の担当者へ税務判断を任せず、必要な資料を整えるための相談として進めてください。
融資を受ける目的で架空売上や経費除外を行い、事実と違う申告を作ることは避けます。正しい申告の誤りがあれば税務の手続きで確認・訂正します。「審査用と税務用の二種類」を用意する提案には応じません。所得を増やす実際の事業改善と、書類上の数字だけを変える行為は別です。申告内容と事業実態、借入の説明を一致させることが準備の前提になります。
家庭へ残るお金から借入額を決める
銀行へは「売上ではなくどの所得欄を使うか」「何年分必要か」「事業借入と変動をどう確認するか」を聞きます。住宅会社には、建物の総額に加え、税金や修繕等を含む持家後の支出も確認し、事業と家計の両方に予備資金を残す予算を伝えましょう。
自営業の家づくりでは、最大売上の年を基準に家を大きくするより、事業が落ち着いた年も返済を続けられることが重要です。審査で認められる数字と、家族へ安定して残せる数字を並べてください。売上の自信だけで契約を急がず、仕事を続けながら住み続けられる総額を選びましょう。
住宅予算は、通常年と売上が落ちた年で、事業を維持しながら家庭へ残せる額から決めます。仮定例で住宅費のため事業口座が毎月5万円不足すれば、一年で60万円を別途用意する必要があります。承認額が大きくても運転資金を借り増す計画は再検討します。住宅会社には、家の総額と途中払いを早めに提示してもらい、事業の現金周期と合わせてください。
関連URL
1 国税庁 事業所得の課税のしくみ
売上から必要経費を差し引く事業所得の仕組みを確認できます。売上額だけを住宅ローンの年収に使わないための資料です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm
2 SBI新生銀行 審査のお申し込み方法および条件
自営業者等の申込みと必要資料を確認できます。採用する年度と所得額を申込先へ質問するときに使います。
https://www.sbishinseibank.co.jp/retail/housing/flow/examination/?intcid=hou1_snavi_34










