Q. 地震保険を安くする方法とは?
A. 最も効果が大きいのは、耐震等級3による50%割引です。補償額を削る前に、耐震性能・建物構造・長期契約・税控除を確認してください。
地震保険料を安くする方法は、単純に保険金額を下げることだけではありません。
主な方法は次の5つです。
- 耐震等級割引を利用する
- 省令準耐火構造など、保険上有利な構造にする
- 5年の長期契約を検討する
- 建物と家財の保険金額を適正化する
- 地震保険料控除を利用する
最も避けたいのは、保険料を安くするために必要な保障まで削り、地震発生後に住宅ローンと修理費の両方を抱えることです。
地震保険料は保険会社によって変わる?
地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営する制度です。
同じ都道府県、同じ建物構造、同じ保険金額、同じ割引条件であれば、地震保険料は基本的に保険会社によって変わりません。
そのため、複数の保険会社から見積もりを取っても、地震保険部分だけが大幅に安くなることはありません。
保険会社によって差が出るのは主に次の部分です。
- 火災保険料
- 水災補償
- 破損・汚損補償
- 個人賠償責任特約
- 地震火災費用特約
- 地震上乗せ特約
- 事故対応サービス
「地震保険が安い保険会社」を探すより、割引制度を正しく適用する方が効果的です。
耐震等級3なら保険料が50%割引
地震保険には、住宅の耐震性能に応じた割引制度があります。
| 耐震等級 | 地震保険料の割引率 |
|---|---|
| 耐震等級1 | 10% |
| 耐震等級2 | 30% |
| 耐震等級3 | 50% |
耐震等級3であれば、地震保険料を50%割引できます。
例えば、割引前の地震保険料が年間2万円なら、耐震等級3の適用後は年間1万円です。
5年間では約5万円、35年間では単純計算で約35万円の差になります。
ただし、耐震等級3を住宅会社が口頭で説明するだけでは、割引を受けられない場合があります。
一般的には、次のような確認資料が必要です。
- 住宅性能評価書
- 長期優良住宅の認定通知書など
- 耐震等級を確認できる所定の証明書
- 建設住宅性能評価書
- 設計住宅性能評価書
必要書類は保険会社によって確認方法が異なるため、契約前に保険代理店へ提出書類を確認してください。
「耐震等級3相当」では割引できない可能性がある
住宅広告には、「耐震等級3相当」と書かれていることがあります。
しかし、「相当」は正式に耐震等級3を取得したことを意味するとは限りません。
- 構造計算をしていない
- 住宅性能評価を取得していない
- 耐震等級を証明する書類がない
- 会社独自の計算だけで判断している
このような場合、地震保険の耐震等級割引を受けられない可能性があります。
確認すべき質問は次のとおりです。
「耐震等級3ですか」ではなく、
「地震保険の50%割引に使える証明書が発行されますか」
デザインハウス甲府では、全棟で許容応力度計算による耐震等級3を標準としています。
構造の安全性だけでなく、地震保険料の削減にもつながります。
建物構造によって保険料が変わる
地震保険料は、建物の所在地と構造によって決まります。
大きく分けると次の2区分です。
| 構造区分 | 主な建物 |
|---|---|
| イ構造 | 耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物など |
| ロ構造 | イ構造に該当しない一般的な木造建物など |
一般的に、イ構造の方がロ構造より保険料が安くなります。
木造住宅でも、省令準耐火構造など所定の基準を満たせば、保険上の構造区分がイ構造になる場合があります。
ただし、「火に強い仕様です」という説明だけでは判断できません。
住宅会社へ次の内容を確認してください。
- 省令準耐火構造に該当するか
- 火災保険上の構造区分
- 保険会社へ提出する確認書類
- 火災保険料と地震保険料の差
- 追加工事費はいくらか
省令準耐火構造にするための追加費用と、長期間の保険料削減額を比較して判断します。
山梨県の保険料を具体的に比較
財務省が公表している保険料例では、山梨県の地震保険について、保険期間1年、地震保険金額1,000万円、割引なしの場合、次の金額が示されています。
| 構造 | 割引なし | 耐震等級3・50%割引 |
|---|---|---|
| イ構造 | 年1万1,600円 | 年5,800円 |
| ロ構造 | 年1万9,500円 | 年9,750円 |
耐震等級3による年間削減額は次のとおりです。
- イ構造:約5,800円
- ロ構造:約9,750円
35年間の単純計算では、ロ構造の場合、約34万円の差になります。
さらに、省令準耐火などの要件を満たしてイ構造となり、耐震等級3割引も適用できれば、保険料を大きく抑えられる可能性があります。
なお、地震保険料は今後改定される可能性があります。
割引制度は原則として重複できない
地震保険には、主に次の割引があります。
| 割引制度 | 割引率 |
|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% |
| 耐震等級3割引 | 50% |
| 耐震等級2割引 | 30% |
| 耐震等級1割引 | 10% |
| 耐震診断割引 | 10% |
| 建築年割引 | 10% |
これらの割引は、基本的に重複して適用できません。
例えば、耐震等級3割引50%と建築年割引10%を合計して、60%割引にはできません。
複数の割引条件に該当する場合は、通常は割引率の高い制度を選びます。
新築だから10%割引で契約するのではなく、耐震等級3を証明できるなら50%割引が適用されているか確認してください。
5年の長期契約を検討する
地震保険の保険期間には、1年契約と2~5年の長期契約があります。
長期契約では、契約期間に応じた長期係数が使用されます。
| 保険期間 | 長期係数 |
|---|---|
| 2年 | 1.90 |
| 3年 | 2.85 |
| 4年 | 3.75 |
| 5年 | 4.70 |
年間保険料が1万円の場合、1年契約を5回続けると、保険料は単純計算で5万円です。
5年契約なら次の計算になります。
1万円×4.70=4万7,000円
単純比較では3,000円安くなります。
山梨県・イ構造・地震保険金額1,000万円・耐震等級3割引を例にすると、年間保険料は約5,800円です。
5年契約の単純計算は次のとおりです。
5,800円×4.70=約2万7,260円
1年契約を5回続けた場合の2万9,000円と比べ、約1,740円安くなります。
割引額は大きくありませんが、更新手続きの回数も減らせます。
ただし、一括払いによって手元資金が不足しないかも確認してください。
建物の保険金額を下げすぎない
地震保険金額は、火災保険金額の30~50%の範囲で設定します。
例えば、建物の火災保険金額が2,200万円の場合、地震保険金額は次の範囲です。
| 設定割合 | 地震保険金額 |
|---|---|
| 30% | 660万円 |
| 40% | 880万円 |
| 50% | 1,100万円 |
30%にすれば保険料は安くなります。
しかし、地震で全損しても受け取れる保険金は最大660万円です。
住宅ローンが2,500万円残っている状態で住宅を失えば、660万円だけで住宅再建、解体、仮住まい、引っ越しを行うのは困難です。
保険料を安くするために地震保険金額を下げる場合は、次の資金を確認してください。
- 預金
- 住宅ローン残高
- 解体費用
- 仮住まい費用
- 引っ越し費用
- 修理・再建費用
- 家財の買い替え費用
- 被災後の収入減少
自己資金が少なく、住宅ローン残高が多い時期ほど、50%設定の必要性が高くなります。
家財の保険金額を適正化する
地震保険料を抑えるために、家財保険を外す人もいます。
しかし、地震では建物が倒壊しなくても、家具や家電が壊れる可能性があります。
- 冷蔵庫
- テレビ
- 洗濯機
- パソコン
- エアコン
- 食器棚
- ベッド
- 衣類
- 食器
- 子どもの学用品
家財保険金額は、保険会社が示す家族人数別の目安をそのまま採用するのではなく、実際に所有している家財を一覧にして決めます。
高額な家財が少ない家庭なら、保険金額を適正化することで保険料を抑えられる可能性があります。
ただし、建物の地震保険だけでは家財は補償されません。
家財補償をゼロにする前に、地震後に自費で買い直せるかを確認してください。
火災保険の不要な特約を見直す
地震保険料自体は、同じ条件なら保険会社による差が基本的にありません。
一方、火災保険部分や特約は見直せます。
確認する項目は次のとおりです。
- 水災補償
- 破損・汚損補償
- 個人賠償責任特約
- 類焼損害特約
- 携行品特約
- 弁護士費用特約
- 地震火災費用特約
- 臨時費用特約
例えば、高台で洪水・内水氾濫・土砂災害リスクが低い土地なら、水災補償を外せる可能性があります。
ただし、ハザードマップを確認せず、保険料だけを理由に水災補償を外すのは危険です。
また、自動車保険やクレジットカード付帯保険と、個人賠償責任特約などが重複している場合があります。
家族全体の保険契約を並べて確認してください。
地震保険料控除を利用する
支払った地震保険料は、一定の範囲で地震保険料控除の対象になります。
控除限度額は次のとおりです。
| 税金 | 所得控除の上限 |
|---|---|
| 所得税 | 最高5万円 |
| 住民税 | 最高2万5,000円 |
注意したいのは、支払った保険料がそのまま税金から戻る制度ではないことです。
地震保険料控除は、所得から一定額を差し引く所得控除です。
実際に軽減される税額は、所得や適用税率によって変わります。
会社員は年末調整、自営業者などは確定申告で手続きを行います。
保険会社から届く控除証明書を保管してください。
安くする順番
地震保険を見直すときは、次の順番がおすすめです。
- 耐震等級3の50%割引を適用する
- 建物の保険構造区分を確認する
- 5年の長期契約を比較する
- 重複している火災保険特約を外す
- 家財評価額を適正化する
- 地震保険料控除を利用する
- 最後に地震保険金額を検討する
最初から補償額を削るのではなく、住宅性能と契約方法によって保険料を下げます。
俺流結論
地震保険を安くする最善の方法は、保障を減らすことではありません。
耐震等級3を正式に取得し、50%割引を受けることです。
さらに、保険上の構造区分、長期契約、重複特約、家財評価、地震保険料控除を確認します。
最も危険なのは、
月数千円を惜しんで、地震後に数百万円の生活再建資金を失うことです。
デザインハウス甲府では、全棟で許容応力度計算による耐震等級3と制震装置evoltzを標準としています。
地震に強い家を建て、耐震等級割引で保険料を抑え、地震後の生活資金も確保する。
性能を下げて保険に頼るのでも、保険を外して性能だけに頼るのでもありません。
耐震・制震・保険を組み合わせ、必要な保障を残しながら保険料を下げることが正しい方法です。










