Q. 紹介料を原価へ上乗せしなくても、会社の利益は減らない?
A. 売上、工事原価、その他の経費が同じなら、紹介料を支払った分だけ会社の利益は減ります。利益を減らさないためには、ほかの広告費を削る、受注棟数を増やす、業務を効率化する、販売価格全体で回収するなど、別の方法で補う必要があります。
住宅会社から、
「紹介会社へ支払う費用は広告宣伝費なので、建築原価へ上乗せしていません」
と説明されることがあります。
建築原価へ上乗せしないのであれば、お客様の住宅価格にも、会社の利益にも影響しないように聞こえるかもしれません。
しかし、紹介会社へ実際にお金を支払う以上、会社から現金が出ていきます。
売上も、そのほかの費用も変わらなければ、最終的に残る利益は減ります。
これは費用の名称が紹介料でも、広告費でも、業務委託料でも同じです。
建築原価と販売経費は違う
住宅会社が使う費用は、大きく次の二つに分けられます。
建築に直接必要な原価
- 木材
- 断熱材
- 窓
- キッチン
- ユニットバス
- トイレ
- 基礎工事
- 大工工事
- 屋根・外壁工事
- 電気・給排水工事
- 職人の施工費
会社運営や販売に必要な経費
- 営業担当者の人件費
- 設計・経理・総務の人件費
- 店舗・事務所費
- 車両・通信費
- 広告宣伝費
- 住宅展示場費
- 紹介関連費用
- 保証・アフターサービス費
紹介会社へ支払う費用は、通常、建物を実際に施工するための直接原価とは別の販売経費として考えられます。
しかし、原価へ入っていないから、利益へ影響しないわけではありません。
会社の利益は、売上から原価と販売経費の両方を引いた後に残る金額だからです。
3,000万円の住宅で考える
分かりやすくするため、単純化した仮定で考えます。
建築金額3,000万円、工事原価2,250万円、粗利益750万円とします。
さらに、この一棟に対応する人件費や会社経費などを550万円と仮定します。
紹介費用がなければ、残る利益は200万円です。
| 内容 | 紹介費用なし |
|---|---|
| 売上 | 3,000万円 |
| 工事原価 | ▲2,250万円 |
| 粗利益 | 750万円 |
| 人件費・会社経費など | ▲550万円 |
| 利益 | 200万円 |
ここから、建築金額の5%に当たる150万円を紹介関連費用として支払ったとします。
| 内容 | 紹介費用あり |
|---|---|
| 売上 | 3,000万円 |
| 工事原価 | ▲2,250万円 |
| 粗利益 | 750万円 |
| 人件費・会社経費など | ▲550万円 |
| 紹介関連費用 | ▲150万円 |
| 利益 | 50万円 |
紹介費用を建築原価へ上乗せしていなくても、利益は200万円から50万円へ減りました。
減少額は150万円、利益の減少率は75%です。
これは仕組みを説明するための仮定であり、実際の原価率や利益率は住宅会社によって異なります。
しかし、売上とほかの経費が同じなら、紹介費用の分だけ利益が減るという原則は変わりません。
粗利益と最終利益を混同してはいけない
住宅会社が、
「この住宅では十分な粗利益があるので、紹介費用を会社で負担できます」
と説明することがあります。
しかし、粗利益は最終的に会社へ残る利益ではありません。
粗利益から、次の費用を支払います。
- 営業・設計・経理の給与
- 社会保険料
- 事務所の家賃
- 光熱費
- 車両費
- システム費
- 広告費
- 保証対応費
- 税金
粗利益750万円から紹介費用150万円を払っても600万円残るように見えます。
しかし、その600万円から会社運営費を支払う必要があります。
「粗利益があるから問題ない」という説明だけでは、会社の最終的な負担は分かりません。
利益を減らさない方法1.ほかの広告費を削る
紹介サービスを利用する代わりに、住宅会社が従来の広告を減らせば、会社全体の販売経費は増えない可能性があります。
例えば、
| 費用 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| チラシ・ポータルサイト等 | 180万円 | 30万円 |
| 紹介関連費用 | 0円 | 150万円 |
| 販売経費合計 | 180万円 | 180万円 |
この場合、紹介会社へ150万円支払っても、従来の広告費を150万円削減しているため、販売経費の合計は変わりません。
利益も減らない計算です。
住宅会社にとって紹介サービスが従来の広告より効率的なら、この方法は成立します。
利益を減らさない方法2.受注棟数を増やす
紹介サービスによって契約棟数が増えれば、会社全体の利益が増える可能性があります。
例えば、紹介費用を払って一棟当たりの利益が200万円から50万円へ減ったとしても、契約件数が増えれば会社全体の利益を確保できる場合があります。
| 内容 | 紹介前 | 紹介後 |
|---|---|---|
| 年間契約棟数 | 20棟 | 30棟 |
| 一棟当たり利益 | 200万円 | 150万円 |
| 年間利益 | 4,000万円 | 4,500万円 |
一棟当たりの利益は減っても、契約棟数が増えた結果、年間利益は増えています。
この場合、住宅会社にとって紹介サービスを利用する合理性があります。
ただし、棟数が増え過ぎれば、設計、施工管理、アフターサービスが追いつかなくなる可能性があります。
利益だけでなく、適正な施工体制を維持できるかも重要です。
利益を減らさない方法3.固定費を分散する
住宅会社には、建築棟数が少なくても発生する固定費があります。
- 事務所
- 経理・総務
- 基本的なシステム
- 車両
- 許可・保険
- 管理部門
年間固定費6,000万円の会社で考えます。
| 年間建築棟数 | 一棟当たりの単純な固定費 |
|---|---|
| 20棟 | 300万円 |
| 30棟 | 200万円 |
| 40棟 | 150万円 |
紹介サービスによって建築棟数が増えれば、一棟当たりの固定費は下がります。
固定費の削減効果が紹介費用を上回れば、価格や利益へ大きな影響を与えずに吸収できる可能性があります。
利益を減らさない方法4.業務を効率化する
紹介会社が相談者の希望や予算を整理し、契約可能性の高いお客様を紹介すれば、住宅会社は営業活動を効率化できます。
例えば、次の費用を減らせる可能性があります。
- 問い合わせ獲得の広告費
- 初期対応の人件費
- 契約可能性の低い商談
- 面談日程の調整
- 長期間の追客
- 営業担当者の集客活動
住宅会社が自力で一件の契約を獲得するために200万円かかっていたところ、紹介サービスなら150万円で獲得できるなら、50万円の経費削減になります。
紹介費用の金額だけでなく、自社集客と比べて効率的かを確認する必要があります。
本当に契約可能性の高い顧客か
紹介会社が高額な費用を受け取る合理性は、住宅会社へ質の高い商談機会を提供できるかにかかっています。
少なくとも、次の内容が整理されていることが望まれます。
- 家族が建築に同意している
- 希望地域が決まっている
- 建築時期がある程度明確
- 土地と建物の予算配分ができている
- 現在の借入れを確認している
- 住宅ローンの可能性を確認している
- 無理なく返済できる金額を理解している
当社が過去に紹介を受けた中には、本格的な商談後に住宅ローンの事前審査で否認された事例が立て続けにありました。
相談者の家づくりへの意欲が高くても、資金計画が成立しなければ契約できません。
住宅会社の営業時間だけでなく、最もつらい思いをするのは期待を膨らませた相談者です。
利益を減らさない方法5.住宅価格全体で回収する
住宅会社が年間の広告費をあらかじめ計算し、すべての住宅価格へ含めている場合があります。
この場合、紹介されたお客様へ個別に加算しなくても、会社全体として必要な利益を確保できます。
例えば、年間紹介関連費用1,200万円、年間建築棟数40棟なら、一棟当たりの単純平均は30万円です。
| 年間紹介関連費用 | 年間建築棟数 | 一棟当たり |
|---|---|---|
| 1,200万円 | 40棟 | 30万円 |
一棟当たり30万円を会社全体の価格設定へ含めれば、紹介経由の一棟だけに150万円を加算しなくても済みます。
この場合、紹介サービスを利用していない人も間接的に費用を負担する可能性があります。
利益を減らさない方法6.原価やサービスを調整する
住宅価格を上げず、利益も減らしたくない場合、住宅会社が建築原価やサービス経費を調整することも考えられます。
- 仕入価格を交渉する
- 標準設備を変更する
- 職人への発注価格を見直す
- 現場管理を効率化する
- 設計対応範囲を限定する
- 点検回数を減らす
- 無料サービスを減らす
適正な仕入れ交渉や業務効率化は企業努力です。
しかし、過度に原価を削れば、施工品質、社員の負担、協力業者の経営、アフターサービスへ影響する可能性があります。
利益が減っていないから、購入者に影響がないとは限りません。
「利益で負担します」を長期間続けられるか
一件だけなら、住宅会社が利益を削って紹介費用を吸収できるでしょう。
しかし、紹介サービスへの依存度が高くなれば、年間負担も増えます。
一件150万円として、
- 年間5件:750万円
- 年間10件:1,500万円
- 年間20件:3,000万円
です。
毎年数千万円を利益で負担し続けても、
- 保証対応
- アフターサービス
- 社員教育
- 現場管理
- 内部留保
を維持できるか確認する必要があります。
住宅会社の利益を極端に減らすことは、購入者にとって必ずしも良いことではありません。
会社が倒産すれば、長期保証やアフターサービスにも影響するからです。
当社が過去に提示された条件
当社が過去に提携した一部の住宅相談サービスでは、紹介されたお客様が契約した場合、建築金額の4%ないし5%相当を広告費等として支払う条件が提示されました。
建築金額3,000万円なら120万~150万円です。
この費用を価格へ反映せず、そのほかの経費も一切変えなければ、会社の利益はその分だけ減ります。
契約時期、地域、サービス、住宅会社によって条件は異なります。
すべての住宅相談サービスや住宅会社が同じ条件ではありません。
重要なのは、紹介費用を支払っても利益を維持できる根拠があるかどうかです。
消費者が確認すべき質問
住宅会社へ、次の質問をしてください。
- 紹介費用は建築原価と販売経費のどちらですか
- 紹介費用を価格へ反映しない場合、どこで吸収しますか
- ほかの広告費を削減していますか
- 自社集客と紹介経由では、どちらの費用が安いですか
- 紹介によって契約棟数は増えていますか
- 棟数増加に施工体制は対応できていますか
- 会社の利益を削って負担していますか
- 原価や標準仕様で調整していませんか
- 保証・アフターサービスへ影響しませんか
- 紹介経由と直接問い合わせで契約条件は同じですか
「原価へ上乗せしません」という回答だけでなく、利益を減らさずに吸収できる仕組みを聞いてください。
最終結論
紹介料を建築原価へ上乗せしなくても、住宅会社が支払う費用はなくなりません。
売上、工事原価、その他の経費がすべて同じなら、紹介費用の分だけ会社の利益は減ります。
利益を減らさないためには、
- ほかの広告費を削る
- 自社集客より効率化する
- 契約棟数を増やす
- 固定費を分散する
- 会社全体の価格で回収する
- 原価やサービスを調整する
など、別の対応が必要です。
したがって、
「原価へ上乗せしていないから、誰にも影響しない」
という説明は成立しません。
無料住宅相談を利用するときは、住宅会社へこう質問してください。
「紹介費用を価格へ載せず、利益も減らさないのであれば、その金額をどこで生み出しているのですか?」
費用は、名前を変えても消えません。
価格、利益、原価、効率化のどこで負担しているかを確認してください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










