Q. 建築金額に連動する広告費は、実質的な紹介料ではない?
A. 特定のお客様が住宅会社と契約した場合だけ発生し、建築金額に応じて支払額が増えるのであれば、経済的には成約連動型の紹介料・顧客獲得費に近い仕組みです。ただし、契約上・会計上の名称まで一律に「紹介料」と断定することはできません。名称ではなく、支払い条件と業務内容で判断する必要があります。
住宅相談会社から、
「住宅会社に請求しているのは紹介料ではありません。広告費です」
と説明されたとします。
確かに、情報誌やウェブサイトへの掲載、記事制作、会社情報の発信など、実際に広告業務を提供しているのであれば、広告費という名称を使うことには理由があります。
しかし、次のような条件だったらどうでしょうか。
- 特定のお客様を住宅会社へ紹介する
- そのお客様が契約しなければ支払いは0円
- 契約した場合だけ費用が発生する
- 費用は建築金額の一定割合
- 契約金額を相談会社へ報告する
この場合、支払いの直接的なきっかけは広告掲載ではありません。
紹介したお客様との住宅契約成立です。
請求書に広告費と書かれていても、住宅会社にとっては、そのお客様を獲得したことによって発生する販売経費になります。
名称だけでは費用の性質は分からない
同じ費用でも、契約書や請求書にはさまざまな名称が使われます。
- 広告掲載料
- 広告協賛費
- 販売促進費
- 業務委託料
- 顧客紹介料
- 成約手数料
- マーケティング費
- コンサルティング費
名称が違えば、契約上の業務内容や会計処理も異なる可能性があります。
したがって、
「広告費と書いてあるから紹介料ではない」
とも、
「成約に連動するから法律上も必ず紹介料だ」
とも、一言では決められません。
消費者が確認すべきなのは、名称ではなく次の三つです。
- 何の業務に対して支払うのか
- いつ支払い義務が発生するのか
- 何を基準に金額を計算するのか
本来の広告費は契約しなくても発生する
一般的な広告では、広告を掲載したこと自体に対して料金を支払います。
例えば、
- 情報誌へ1ページ掲載する
- ウェブサイトへ1年間掲載する
- 検索結果の上位へ表示する
- 動画広告を制作・配信する
- イベントへ広告を掲示する
という業務です。
広告を見た人が住宅会社と契約しなくても、広告掲載という業務はすでに提供されています。
したがって、住宅契約が0件でも広告料は発生します。
例として、
年間掲載料120万円。契約件数にかかわらず金額は同じ。
という条件なら、一般的な定額広告に近いと判断できます。
成約連動型は契約が成立して初めて発生する
一方、次の条件なら性質が変わります。
紹介したお客様が契約しなければ0円。
契約した場合は建築金額の5%。
この場合、情報誌やウェブサイトへの掲載だけでは、大きな費用は発生しません。
特定のお客様との契約成立によって、支払い義務が発生します。
仮に建築金額が3,000万円なら150万円。
4,000万円なら200万円です。
広告を掲載した期間やページ数が同じでも、契約金額によって支払額が変わります。
住宅会社から見れば、
このお客様との契約を獲得した結果として発生した費用
です。
経済的な機能は、成約型の紹介料や販売手数料に近いと考えられます。
実質を判断する5項目
次の5項目を確認すると、費用の実質が見えてきます。
| 確認項目 | 「はい」の場合に示す性質 |
|---|---|
| 特定の相談者と費用がひも付いているか | 顧客紹介との関連が強い |
| 契約しなければ費用は0円か | 成約報酬との関連が強い |
| 契約した場合だけ請求されるか | 契約成立が支払条件 |
| 建築金額の一定割合で計算するか | 売上連動型の報酬 |
| 契約金額を相談会社へ報告するか | 成約費用を計算する目的がある |
この5項目すべてに該当するなら、名称が広告費であっても、住宅会社側から見れば成約連動型の顧客獲得費という性格が強くなります。
逆に、
- 契約件数と無関係
- 特定顧客とひも付かない
- 掲載期間やページ数で金額が決まる
- 契約金額を報告しない
のであれば、一般的な広告掲載料に近いと判断できます。
広告業務と紹介業務が混ざっている場合もある
実際の住宅相談サービスでは、広告と紹介が完全に分かれているとは限りません。
例えば、相談会社が次の業務をまとめて提供します。
- 情報誌への掲載
- ウェブページの制作
- 施工写真の掲載
- 住宅会社の特徴説明
- 相談者への紹介
- 面談日程の調整
- 商談状況の確認
- 契約後の報告管理
この場合、広告業務も紹介業務も実際に行われています。
そのため、費用全体を広告費と呼ぶことが直ちに間違いとは限りません。
しかし、料金が特定顧客の契約成立と建築金額に連動するなら、少なくとも成約報酬の性質も含まれています。
消費者へ説明するときは、
「広告費なので紹介料ではありません」
と切り分けるより、
「広告掲載と住宅会社紹介を行い、紹介したお客様が契約した場合に、住宅会社から契約金額連動の費用を受け取ります」
と説明するほうが実態に近く、透明です。
なぜ建築金額に連動させるのか
広告掲載の仕事量は、住宅の契約金額によって大きく変わるとは限りません。
2,500万円の住宅でも、5,000万円の住宅でも、
- 相談者へのヒアリング
- 住宅会社の説明
- 面談の設定
- 商談状況の確認
- 断りの代行
といった基本業務は大きく変わらない場合があります。
それでも費用を建築金額へ連動させるのは、住宅会社が得る売上の一定割合を報酬とする考え方だからです。
仮に5%なら、次のようになります。
| 建築金額 | 相談会社へ支払う金額 |
|---|---|
| 2,500万円 | 125万円 |
| 3,000万円 | 150万円 |
| 4,000万円 | 200万円 |
| 5,000万円 | 250万円 |
建築金額が2倍になれば、相談会社が受け取る金額も2倍です。
広告掲載の量が2倍になったわけではありません。
この点からも、単なる掲載料より、売上連動型の成約報酬に近い仕組みだと考えることができます。
当社が過去に提示された条件
当社が過去に提携した一部の住宅相談サービスでは、紹介されたお客様が契約した場合、建築金額の4%ないし5%相当を広告費等として支払う条件が提示されました。
契約しなければ、その成約部分の費用は発生しません。
契約時期、地域、サービス、住宅会社によって条件は異なる可能性があります。
すべての住宅相談サービスが、同じ条件であると断定するものではありません。
ただし、住宅会社側の感覚としては、情報誌へ掲載するだけの固定広告料ではありません。
特定のお客様との契約が成立した結果として発生する、顧客獲得費です。
「広告費だから住宅価格へ影響しない」は別問題
費用を広告費と呼ぶか、紹介料と呼ぶか。
それと住宅価格へ影響するかどうかは、別の問題です。
住宅会社が負担する費用である以上、次のいずれかの方法で処理されます。
- 紹介された顧客の見積りへ反映する
- 全契約者の販売価格へ広く含める
- 値引き可能額を減らす
- 標準仕様やサービス内容で調整する
- 住宅会社が利益を削って負担する
個別のお客様へ、そのまま4~5%を加算しているとは限りません。
しかし、会社の売上や利益から支払われる販売経費である以上、住宅価格や経営と完全に無関係とは言えません。
費用の名称を変えても、住宅会社が負担する金額は消えないのです。
中立性を考えるうえで重要な理由
建築金額連動の費用が問題になるのは、中立性との関係です。
仮に料率が同じなら、相談会社の収益は次のように変わります。
- 2,500万円の住宅会社と契約:125万円
- 5,000万円の住宅会社と契約:250万円
高額な契約ほど収益が増えます。
そのため、相談者は次の疑問を持つべきです。
- 高額な住宅会社ほど優先されないか
- 予算を下げる助言もしてくれるか
- 建築金額を上限まで使う提案にならないか
- 契約しないという結論も勧められるか
- 報酬条件の違う会社を同じ基準で比較するか
建築金額連動だから、必ず不公正になるという意味ではありません。
しかし、中立を掲げるのであれば、報酬と紹介判断を分離する仕組みを説明する必要があります。
成約報酬であることを隠す必要はない
成約報酬型の事業モデル自体が悪いわけではありません。
住宅会社にとっては、契約できない段階で高額な広告費を払わずに済みます。
相談会社にとっては、住宅会社との契約成立まで支援する動機になります。
相談者にとっても、自分で住宅会社を探す手間を減らせます。
問題は、成約連動の収益があることを説明せず、
「広告費なので紹介料ではありません」
「相談者には一切関係ありません」
「完全に中立です」
とだけ説明することです。
収益構造を明確にしたうえで利用者に選んでもらえばよいのです。
利用者が確認すべき質問
建築金額連動の費用について、相談会社へ次の質問をしてください。
- 私が契約しなければ、住宅会社の支払いは0円ですか
- 契約した場合だけ広告費が発生しますか
- 特定の相談者と請求金額はひも付いていますか
- 広告費は定額ですか、建築金額連動ですか
- 契約金額を住宅会社から報告してもらいますか
- 追加工事や外構工事も計算対象ですか
- 住宅会社ごとに料率は同じですか
- 高額な契約ほど相談会社の収益は増えますか
- 報酬条件が紹介順位へ影響しない仕組みはありますか
- 収益構造を相談前に書面で確認できますか
「紹介料ではありません」という回答だけでは、仕組みを説明したことになりません。
最終結論
建築金額に連動する広告費が、法律上・契約上、必ず紹介料になるとは一律に断定できません。
広告掲載、記事制作、顧客紹介、面談調整など、複数の業務が含まれている場合があるからです。
しかし、
- 特定のお客様とひも付く
- 契約しなければ0円
- 契約した場合だけ発生する
- 建築金額に連動する
- 契約金額を報告する
という条件なら、経済的には成約連動型の紹介料・顧客獲得費に近い仕組みです。
重要なのは、広告費か紹介料かという言葉の争いではありません。
誰が、何を条件に、いくら支払い、その収益関係が住宅会社の紹介へ影響しないかという実態です。
無料住宅相談を利用するときは、こう質問してください。
「広告費という名称ではなく、私が契約したことで、住宅会社はいくら支払うのですか?」
名称ではなく、お金が動く条件を見る。
それが、無料住宅相談の仕組みを見抜く方法です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










