Q. 一度紹介されると、直接契約へ切り替えられない?
A. 住宅の建築請負契約そのものは、通常、相談者と住宅会社が直接結びます。しかし、一度紹介会社を通して接点ができると、その後に相談者が住宅会社へ直接連絡して契約しても、住宅会社と紹介会社の間では「紹介案件」として扱われ、紹介料や成約連動費の対象になる可能性があります。相談者だけの判断で紹介扱いを外せるとは限りません。
無料住宅相談サービスから住宅会社を紹介された後、
「紹介会社を通さず、住宅会社と直接話したほうが早い」
「直接契約へ切り替えれば、紹介料分を安くしてもらえるのではないか」
と考える人がいます。
しかし、ここには二つの意味が混在しています。
一つは、住宅会社と直接、設計や見積りの打合せを進めること。
もう一つは、紹介会社の関与と紹介料の対象から外れることです。
前者は通常の商談として行われます。
後者は、相談者だけで決められない可能性があります。
住宅の契約相手は誰なのか
無料住宅相談会社が住宅を建てるわけではない場合、一般的には次の関係になります。
| 関係 | 主な内容 |
|---|---|
| 相談者と紹介会社 | 相談、情報提供、住宅会社紹介 |
| 紹介会社と住宅会社 | 掲載、送客、広告、成約報告、費用 |
| 相談者と住宅会社 | 設計、見積り、建築請負契約、施工、保証 |
住宅の建築請負契約は、相談者と住宅会社が直接結ぶことが多いでしょう。
つまり、最初から契約そのものは「住宅会社との直接契約」です。
紹介会社は、契約当事者ではなく、両者をつなぐ立場です。
そのため、
「住宅会社と直接契約へ切り替える」
というより、
「紹介案件としての扱いを外せるか」
が本当の問題になります。
紹介扱いは住宅会社側の契約で決まる可能性
住宅会社が紹介会社と提携する際、次のような条件を定めている可能性があります。
- 顧客情報を受け取った時点で紹介案件とする
- 初回面談を行った時点で対象とする
- 一定期間内に契約した場合は費用が発生する
- 紹介後に直接問い合わせても対象とする
- 別店舗や別商品で契約しても対象とする
- 本人だけでなく家族名義の契約も対象とする
- 土地契約後の建築契約も対象とする
- 契約金額変更後の最終金額で費用を計算する
具体的な条件は契約ごとに異なります。
相談者が、
「もう紹介会社を使わないので、直接客として扱ってください」
と住宅会社へ伝えても、住宅会社が紹介会社との契約を一方的に無視できるとは限りません。
直接連絡へ変えても紹介料が消えるとは限らない
紹介後は、住宅会社の営業担当者と直接連絡することが一般的です。
- 電話
- メール
- チャット
- オンライン面談
- モデルハウス
- 住宅会社の事務所
で直接打合せをしても、それだけで紹介会社との関係がなくなるわけではありません。
住宅会社が、
- 誰から紹介された顧客か
- 紹介日はいつか
- 初回面談日はいつか
- 商談状況
- 見積額
- 契約予定日
- 最終契約金額
を管理している可能性があります。
相談会社を経由せず直接連絡することと、紹介費用の対象外になることは別です。
紹介料分を値引きしてもらえるとは限らない
相談者が、
「直接契約にするので、紹介料分を値引きしてください」
と住宅会社へ求めても、応じてもらえるとは限りません。
住宅会社がすでに紹介案件として登録している場合、直接契約へ進んでも紹介会社への費用が発生する可能性があるからです。
仮に建築金額3,000万円に対して5%相当の費用が発生する契約なら、150万円です。
| 建築金額 | 5%相当の費用 |
|---|---|
| 2,500万円 | 125万円 |
| 3,000万円 | 150万円 |
| 4,000万円 | 200万円 |
| 5,000万円 | 250万円 |
住宅会社が150万円を支払う必要があるのに、さらに150万円を値引きすれば、合計300万円分が収益へ影響します。
そのため、相談者が紹介会社との連絡を止めただけで、その金額が自動的に値引きされるとは考えないほうがよいでしょう。
住宅会社が紹介料を隠れて回避することにも問題がある
住宅会社から、
「紹介会社には言わず、直接来店したことにしましょう」
「ご家族の別名義で契約しましょう」
「一定期間空ければ分かりません」
と提案された場合は注意してください。
住宅会社と紹介会社の契約へ抵触する可能性があります。
後から紹介経路が判明すれば、
- 住宅会社と紹介会社の紛争
- 費用の追加請求
- 契約関係の悪化
- 相談者への事実確認
- 個人情報や商談履歴の照合
が発生する可能性があります。
相談者が、事業者間の費用回避に協力する必要はありません。
紹介扱いを外せるかは、隠れて行うのではなく、関係者間で正式に確認するべきです。
以前から知っていた住宅会社でも紹介扱いになるのか
相談会社から紹介された住宅会社が、
- 以前から知っていた
- 過去に資料請求をした
- 展示場へ行ったことがある
- SNSをフォローしていた
- 数年前に商談したことがある
- 知人からも紹介されていた
会社である場合、紹介経路が重複します。
このとき、誰の紹介案件として扱われるかは、住宅会社と紹介会社の契約条件や過去の接触記録によって異なります。
相談会社から正式に紹介を受ける前に、
「この住宅会社とはすでに接点があります」
と申告してください。
住宅会社にも、
- 過去の問い合わせ日
- 資料請求
- 来場記録
- 面談記録
- 担当者名
を確認してもらいます。
紹介後に過去の接点を主張しても、認識の違いが起きる可能性があります。
紹介対象になる期間を確認する
紹介会社と住宅会社の契約には、紹介後の対象期間が設定されている可能性があります。
例えば、
- 紹介から6か月以内
- 紹介から1年以内
- 紹介から2年以内
- 期間を定めず、契約時まで
- 商談が継続している間
- 一度失注しても一定期間内は対象
などです。
具体的な期間は、事業者間の契約によって異なります。
相談者が半年後、1年後に直接住宅会社へ問い合わせても、紹介案件として扱われる可能性があります。
紹介を受ける前に、次の点を確認してください。
- いつから紹介案件になるか
- いつまで紹介扱いが続くか
- 一度断った後の再相談も対象か
- 家族名義で契約した場合はどうなるか
- 別の商品や店舗でも対象か
紹介会社のサービスを使わなくなっても費用対象になり得る
相談者が紹介後に、
- 相談会社への連絡をやめる
- 面談調整を自分で行う
- 断り代行を使わない
- 資金計画も住宅会社へ依頼する
- 契約後の支援を受けない
としても、紹介の事実が消えるとは限りません。
紹介会社側は、
「住宅会社と相談者を最初につないだこと」
に対して費用が発生すると考えている可能性があります。
相談者が紹介会社の支援をどこまで使ったかではなく、紹介をきっかけに契約したかが基準になる場合があるからです。
相談者へ紹介料の支払い義務が移るのか
通常、住宅会社と紹介会社の間で定めた紹介料や広告費を、相談者が直接支払う契約でなければ、相談者へ当然に支払い義務が生じるとは限りません。
しかし、利用規約や申込書に、
- 紹介後の直接取引を禁止する
- 規約違反時の費用負担
- 紹介先との契約報告義務
- 違約金
などが記載されている可能性はあります。
無料だから利用規約を読まなくてよいわけではありません。
住宅会社へ直接連絡する前に、自分が同意した規約を確認してください。
内容に疑問がある場合は、紹介会社へ書面で質問する必要があります。
直接契約へ変えたい理由を整理する
相談者が紹介会社を外したい理由には、次のようなものがあります。
- 連絡が遅い
- 情報共有に不安がある
- 住宅会社と直接話したほうが早い
- 個人情報を広げたくない
- 紹介会社の助言が不要になった
- 紹介料が住宅価格へ影響するのが心配
- 契約後の支援がない
- 中立性に疑問を感じた
理由によって対応が変わります。
単に連絡経路を住宅会社へ一本化したいだけなら、紹介案件のまま直接商談を続ける方法があります。
紹介料の対象から外したいなら、相談者の希望だけでなく、紹介会社と住宅会社の合意が必要になる可能性があります。
紹介を受ける前に確認するのが最も安全
住宅会社名を聞いた後では、すでに紹介成立として扱われる可能性もあります。
そのため、紹介を受ける前に次の質問をしてください。
- 会社名を聞いただけで紹介扱いになりますか
- 個人情報を渡した時点ですか
- 面談した時点ですか
- 紹介扱いはいつまで続きますか
- 後から直接契約しても費用対象ですか
- 以前から接点がある会社は対象外ですか
- 紹介会社を利用しない場合、解除できますか
- 相談者に費用や違約金が発生する場合はありますか
「無料です」という説明だけでなく、紹介後の拘束関係まで確認してください。
住宅会社へ直接確認する質問
紹介された住宅会社へは、次のように確認します。
今回は相談会社から紹介を受けましたが、建築請負契約は御社と直接締結する理解でよいですか。また、紹介経由であることによって、見積り、値引き、仕様、契約条件に違いがありますか。
さらに、
今後、相談会社を介さず御社と直接連絡を取っても、紹介案件として扱われますか。相談会社へ支払う費用の有無によって、私たちの見積り条件は変わりますか。
と聞いてください。
住宅会社が事業者間の具体的な料率を開示できない場合もあります。
それでも、紹介経由で見積り条件が変わるかは確認できます。
結論
一度紹介された後でも、住宅会社と直接打合せを行い、住宅会社と建築請負契約を結ぶことは一般的です。
しかし、それによって紹介会社との関係や、住宅会社が負担する紹介料が自動的になくなるとは限りません。
一度、紹介案件として登録されると、
- 直接問い合わせた場合
- 紹介会社の支援を使わない場合
- 一度断ってから再度相談した場合
- 一定期間が経過した場合
でも、費用対象として扱われる可能性があります。
直接契約と、紹介料の対象外になることは別の話です。
紹介料分を安くしたいからと、紹介経路を隠したり、別名義を使ったりしてはいけません。
紹介扱いを外したい場合は、相談者、住宅会社、紹介会社の三者で正式に確認してください。
最も安全なのは、紹介を受ける前に、
- いつ紹介成立になるのか
- 紹介扱いがいつまで続くのか
- 直接契約後も費用対象になるのか
- 見積り条件が変わるのか
を確認することです。
無料相談は、住宅会社名を聞くだけの軽いサービスに見えます。
しかし、一度紹介を受けた瞬間から、住宅会社側では百万円単位の費用が発生する可能性があります。
紹介を受ける前に、その後の契約関係まで理解しておくことが重要です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










