Q. 無料相談サービスを利用しない人も、紹介費用を負担している?
A. 住宅会社が紹介費用を年間広告費として全体の価格へ含めている場合、利用していない人も間接的に負担している可能性があります。一方、紹介された人の価格へ個別に反映する会社や、自社の利益で吸収する会社もあります。どの方法かは、住宅会社の価格設定を確認しなければ分かりません。
住宅相談サービスを利用すると、相談者自身は相談料を支払いません。
紹介された住宅会社と契約した場合、住宅会社が相談会社へ広告費等を支払う場合があります。
それでは、住宅相談サービスを使わず、住宅会社へ直接問い合わせた人は、その費用と無関係なのでしょうか。
必ずしも、そうとは限りません。
住宅会社が紹介費用を会社全体の広告宣伝費として処理し、年間に必要な経費をすべての住宅価格へ含めているなら、紹介サービスを利用していない人も間接的に負担している可能性があります。
紹介費用の負担方法は三つある
住宅会社が紹介費用を支払う方法は、大きく三つに分けられます。
1.紹介されたお客様だけへ反映する
紹介経由のお客様の価格、値引き、サービス内容などへ個別に反映する方法です。
この場合、住宅相談サービスを利用していない人は、その紹介費用を直接負担しない可能性があります。
2.全契約者で広く負担する
年間広告費として計算し、すべての住宅価格へ少しずつ含める方法です。
この場合、直接問い合わせた人も、会社全体の広告費を間接的に負担する可能性があります。
3.住宅会社が利益を削って負担する
住宅価格や仕様を変えず、住宅会社が自社の利益から支払う方法です。
この場合、購入者の価格へ直接反映されない可能性があります。
ただし、会社の利益や将来の経営体力は減ります。
どの方法を採用しているかは住宅会社によって異なります。
全契約者へ分散する場合
具体例で考えてみましょう。
ある住宅会社が年間30棟を建築し、そのうち6棟が無料相談サービスからの紹介だったとします。
一棟の平均建築金額を3,500万円、相談会社へ支払う費用を5%と仮定します。
一棟当たりの支払額は175万円です。
紹介経由が6棟なら、年間支払額は1,050万円になります。
| 内容 | 数字 |
|---|---|
| 年間建築棟数 | 30棟 |
| 紹介経由の成約 | 6棟 |
| 平均建築金額 | 3,500万円 |
| 5%相当額 | 175万円 |
| 年間支払額 | 1,050万円 |
この1,050万円を会社全体の広告費として30棟へ均等に配分すると、一棟当たり35万円です。
| 年間紹介費用 | 全建築棟数 | 一棟当たりの単純配分 |
|---|---|---|
| 1,050万円 | 30棟 | 35万円 |
この考え方なら、紹介サービスを利用していない24組も、紹介費用を含む会社全体の広告経費を間接的に負担する計算になります。
ただし、住宅会社が実際に一棟当たり35万円をそのまま加算していると断定するものではありません。
住宅価格は、原価、競合、商品戦略、利益率などを含めて決められるからです。
「紹介経由でも直接でも同じ価格」の意味
住宅会社から、
「紹介経由でも、直接問い合わせでも価格は同じです」
と説明されることがあります。
これは、一見すると公平です。
しかし、同じ価格になる方法には、いくつかあります。
すべてのお客様へ同じ広告費を含める
年間の広告費を全契約者へ広く配分すれば、紹介経由でも直接でも同じ価格にできます。
この場合、直接問い合わせた人も紹介費用を間接的に負担します。
紹介経由だけ会社の利益を減らす
価格を同じにしたまま、紹介経由の契約だけ住宅会社が利益を削って費用を支払う方法です。
この場合、直接問い合わせた人が紹介費用を負担しているとは限りません。
別の部分で条件を調整する
本体価格は同じでも、紹介経由では値引き、サービス工事、オプション価格などが異なる場合があります。
価格表だけでは、実質的に同じ条件か判断できません。
「同じ価格です」と言われたら、
本体価格だけでなく、値引き、仕様、付帯工事、サービス内容まで同じですか?
と確認してください。
定額価格の住宅会社ではどうなる?
住宅会社が全顧客へ同じ価格表を使用し、紹介経由でも直接問い合わせでも価格を変えない場合があります。
この価格制度では、特定のお客様だけに紹介費用を加算しにくくなります。
そのため、紹介費用は次の方法で処理される可能性があります。
- 会社全体の広告費として価格へ含める
- 紹介経由の契約だけ利益を減らす
- 年間の広告予算内で調整する
- ほかの広告費を減らす
定額価格だから紹介費用が存在しないわけではありません。
どこで吸収しているかが見えにくいだけです。
注文住宅は同じ条件で比較しにくい
注文住宅では、一棟ごとに間取り、面積、設備、土地条件が異なります。
そのため、紹介経由と直接問い合わせで価格差があっても、簡単には比較できません。
例えば、
- 延床面積が違う
- 窓の数が違う
- 住宅設備のグレードが違う
- 付帯工事の範囲が違う
- 外構費が違う
- 地盤改良費が違う
- 値引きやサービス工事が違う
という理由で、見積金額は変わります。
住宅会社が紹介費用をどこかへ含めても、相談者が見積書だけで発見するのは困難です。
だからこそ、価格差を推測するのではなく、住宅会社へ価格制度を確認する必要があります。
利用していない人が広告費を負担するのは普通?
企業の広告費を、広告を見ていない人も間接的に負担することは、住宅業界だけの特別な話ではありません。
テレビCMを見ていない人が、その会社の商品を買うこともあります。
住宅展示場へ行かなかった人が、展示場を運営する住宅会社と契約することもあります。
会社全体の広告費を商品価格へ含めることは、一般的な経営方法です。
したがって、
「紹介サービスを利用していない人も間接的に負担する可能性がある」
こと自体を、直ちに不当とは言えません。
問題は、広告費の大きさと説明の仕方です。
一件当たり100万~250万円規模になる費用を、
「無料なので誰にも負担はありません」
と受け取らせることには疑問が残ります。
広告費によって販売棟数が増えるメリットもある
紹介サービスへの支払いが、すべて購入者の不利益になるとは限りません。
紹介によって住宅会社の契約棟数が増えれば、次の効果が生まれる可能性があります。
- 建材や設備をまとめて仕入れられる
- 職人の仕事を安定して確保できる
- 一棟当たりの固定費を下げられる
- 社員やアフターサービス体制を維持できる
- 商品開発や技術向上へ投資できる
- 会社の経営が安定する
年間10棟の会社が20棟を受注できるようになれば、事務所費や社員人件費などの固定費を、より多くの住宅へ分散できます。
紹介費用が発生しても、それ以上に経営効率が上がる場合もあります。
だからこそ、
紹介費用があるから必ず住宅が高くなる
とは断定できません。
重要なのは、住宅会社が紹介費用を含めても、価格、性能、品質、保証に競争力があるかどうかです。
利益で吸収しても購入者と無関係ではない
住宅会社が紹介費用をすべて利益で吸収すれば、直接的には価格へ反映されない可能性があります。
しかし、会社の利益は、経営者だけの取り分ではありません。
次のためにも必要です。
- 将来の保証対応
- アフターサービス
- 不具合発生時の補修
- 社員教育
- 職人の確保
- 工具・設備への投資
- 不況や資材高騰への備え
- 会社存続のための内部留保
紹介費用によって利益が大きく減れば、長期的には保証やサービス体制へ影響する可能性があります。
住宅は、契約して終わる商品ではありません。
引渡し後も住宅会社が存続し、点検や補修へ対応できる経営体力が必要です。
紹介サービスを使わない人だけ割引できる?
直接問い合わせた人には紹介費用が発生しないため、その分を値引きしてほしいと考える人もいるでしょう。
しかし、住宅会社が紹介経由と直接経由で異なる価格を提示すると、価格制度が複雑になります。
さらに、一度相談サービスから紹介された人が直接契約へ切り替えても、住宅会社には紹介費用が発生する場合があります。
そのため、住宅会社へ問い合わせる前に、どの窓口を利用するか考える必要があります。
すでに紹介を受けた後で、紹介経路を隠して契約することは避けるべきです。
住宅会社と相談会社との契約上の問題になる可能性があります。
比較すべきなのは紹介費用だけではない
紹介費用がない住宅会社でも、別の広告費が高額な場合があります。
例えば、
- 大型住宅展示場
- テレビCM
- 豪華なモデルハウス
- 大量の営業担当者
- 有料ポータルサイト
- 芸能人を使った広告
- 高額なキャンペーン
一方、紹介サービスを利用することで、自社広告を減らしている会社もあります。
住宅会社を比較するときは、紹介費用だけを見て判断してはいけません。
最終的に比較すべきなのは、
- 建物本体
- 付帯工事
- 土地関連費用
- 外構
- 住宅性能
- 使用する建材
- 保証
- 将来の修繕費
- 諸費用
- 総支払額
です。
広告費が高くても、総額と品質に納得できるなら選択肢になります。
広告費が低くても、追加費用が多ければ安い住宅とは言えません。
住宅会社へ確認する質問
紹介サービスを利用していない人も費用を負担するのか確認するため、住宅会社へ次の質問をしてください。
- 紹介関連費用は年間広告費として処理しますか
- 紹介された顧客だけに価格を反映しますか
- 全契約者の価格へ広く含めますか
- 住宅会社が利益を削って負担しますか
- 直接問い合わせと紹介経由で価格は同じですか
- 値引きやサービス工事も同じですか
- 紹介費用がなければ価格は下がりますか
- 年間広告費は一棟当たりいくらですか
- 広告費の削減分を性能や保証へ還元していますか
- 紹介費用を含めた総額でも他社より競争力がありますか
住宅会社が内部の経費をすべて公開できるとは限りません。
それでも、紹介経由によって購入条件が変わるかどうかは、契約前に確認できます。
「無料」の負担者は一人とは限らない
無料住宅相談の費用を負担する人は、必ずしも紹介された相談者一人とは限りません。
- 紹介された相談者が個別に負担する
- 全契約者が少しずつ負担する
- 住宅会社が利益で負担する
- 関連事業の収益で負担する
さまざまな方法があります。
だからこそ、
「相談者は無料です」
という説明だけでは、費用の本当の負担者は分かりません。
最終結論
住宅会社が紹介費用を年間広告費として全体の価格へ含めている場合、無料相談サービスを利用していない人も間接的に負担している可能性があります。
一方、紹介されたお客様の価格へ個別に反映する会社や、自社の利益で吸収する会社もあります。
どの方法なのかは、住宅会社の価格制度を確認しなければ分かりません。
全顧客で負担することが、直ちに悪いわけではありません。
企業の広告費を商品価格によって回収することは、一般的な経営方法だからです。
問題は、
相談者が無料だから、誰も費用を負担していないように説明することです。
住宅会社へ直接問い合わせた人は、こう質問してください。
「私は紹介サービスを利用していませんが、御社が支払う紹介関連費用は、私の住宅価格にも含まれていますか?」
無料サービスの費用は、見えなくなっているだけかもしれません。
誰が、どのような方法で負担しているかを確認してから、住宅会社の価格を比較してください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










