断熱性能を高めることで、毎月の電気代・ガス代(光熱費)はどれくらい浮きますか?
A. 古い住宅から高断熱・高気密住宅へ建て替えた場合、現在の光熱費から月5,000円~1万5,000円程度削減できる可能性があります。ただし、家族構成、延床面積、設定温度、太陽光発電の有無によって大きく変わります。
「高断熱住宅なら光熱費が半額になる」といった説明は、そのまま信用してはいけません。
断熱性能が直接減らすのは、主に冷暖房に使うエネルギーです。給湯、調理、照明、冷蔵庫、家電などの使用量まで、断熱だけで減るわけではありません。
現在の光熱費から削減額を考える
例えば、現在の電気・ガス・灯油代の合計が次の金額だった場合の試算です。
| 現在の月額光熱費 | 20%削減 | 30%削減 | 40%削減 |
|---|---|---|---|
| 2万円 | 4,000円 | 6,000円 | 8,000円 |
| 3万円 | 6,000円 | 9,000円 | 1万2,000円 |
| 4万円 | 8,000円 | 1万2,000円 | 1万6,000円 |
月1万円削減できれば年間12万円、20年間で240万円です。
ただし、エネルギー単価は変動します。将来の削減額を20年間保証する数字ではありません。
古い家で我慢していた人は、料金が大きく下がらない場合もある
古い家では、次のような暮らしをしている世帯があります。
- リビングだけ暖房する
- 廊下やトイレは寒いまま
- 脱衣所の暖房を使わない
- 電気代を気にしてエアコンを止める
- 夏の夜も暑さを我慢する
新居で24時間に近い冷暖房を行い、廊下や洗面所まで快適にすれば、高性能住宅でも光熱費が半額にならない可能性があります。
それでも、同じ程度の光熱費で家全体の温度差が小さくなるなら、単なる節約ではなく、ヒートショックや室内熱中症のリスクを抑える効果があります。
UA値だけでは光熱費は決まらない
断熱性能はUA値で示され、数値が小さいほど熱が逃げにくい住宅です。しかし、UA値が同じでも実際の光熱費は変わります。
確認するべき項目は次のとおりです。
- UA値
- C値
- 窓の断熱性能と面積
- 建物の方位
- 夏の日射遮蔽
- 換気方式と熱回収率
- 冷暖房設備の効率
- 給湯器の種類
- 延床面積
- 太陽光発電量
特にC値は設計図だけでは分かりません。完成した建物で気密測定を行う必要があります。
断熱材を厚くしても、隙間が多ければ暖めた空気が逃げ、換気も計画どおりに働きません。
甲府盆地では冬だけでなく夏対策が重要
甲府盆地は冬の朝に冷え込み、夏は日射が強く高温になります。
冬の断熱性能だけを考えて南側の窓を大きくし過ぎると、夏の冷房費が増える可能性があります。
- 軒や庇
- アウターシェード
- 外付けブラインド
- 窓の方位と大きさ
- 適切なガラス仕様
を組み合わせ、夏の日射を窓の外側で遮る必要があります。
樹脂サッシを採用すればすべて解決するわけでもありません。窓の性能、耐久性、地域の暑さ、開閉方法、日射遮蔽を総合的に判断すべきです。
太陽光発電の効果は断熱と分けて考える
太陽光発電を搭載すると、昼間の購入電力を減らし、光熱費をさらに抑えられる可能性があります。
ただし、太陽光による削減は「断熱で電気を使わなくなった効果」ではなく、「自宅で発電して買う電気を減らした効果」です。
住宅会社には、次の数字を分けて出してもらいましょう。
- 太陽光発電なしの年間消費電力量
- 太陽光発電による自家消費量
- 電力会社から買う年間電力量
- 売電収入
- パワーコンディショナーなどの交換費用
「実質光熱費ゼロ」という説明でも、基本料金、燃料費調整額、再エネ賦課金、天候、設備交換費までゼロになるわけではありません。
目安光熱費は実際の請求額ではない
国の省エネ性能ラベルでは、住宅の省エネ性能から算出した年間エネルギー消費量に、全国統一の単価を掛けた「目安光熱費」が表示されます。国土交通省「省エネ性能表示制度」
比較には役立ちますが、実際の家族人数、在宅時間、地域の気候、契約プラン、設定温度を反映した請求額ではありません。
住宅会社から光熱費シミュレーションを受け取る際は、前提条件を確認してください。
断熱へ投資する順番
光熱費を抑えるなら、次の順番が基本です。
- 建物を必要以上に大きくしない
- 断熱性能を高める
- 気密施工を行い、完成後に測定する
- 窓と日射遮蔽を計画する
- 熱交換換気を採用する
- 高効率な冷暖房・給湯設備を選ぶ
- 太陽光発電で購入電力を減らす
高性能エアコンや太陽光発電を先に付けても、断熱・気密性能が低い家ではエネルギーが逃げ続けます。
デザインハウス甲府では、断熱等性能等級6・UA値0.46以下、C値0.7以下を目標とした全棟気密測定、第一種熱交換換気を基本とし、8kW以上の太陽光発電も含めて光熱費を考えます。
高断熱住宅の本当の価値は、月1万円を浮かせることだけではありません。寒さと暑さを我慢して節約する生活から、家全体を快適にしても光熱費を抑えられる生活へ変えることです。










