敷地内に「送電線」が通っている、または「地中埋設物」がある土地の建替え制限
A. 送電線や地中埋設物があっても建て替えできる場合はありますが、建物の高さ・配置・基礎・重機作業が制限される可能性があります。住宅会社との契約前に、電力会社への設備照会、登記簿の地役権、地中埋設物の位置まで確認してください。
現在の家が問題なく建っているからといって、新居も同じ条件で建てられるとは限りません。
新居は建物の高さや配置が変わり、解体重機、クレーン、足場、地盤改良機なども使用します。完成後の建物だけでなく、工事中の安全距離も確認する必要があります。
送電線と引込線は区別する
敷地上空の電線には、次のような種類があります。
- 鉄塔間を結ぶ高圧・特別高圧の送電線
- 電柱間を結ぶ配電線
- 電柱から住宅へ電気を引く引込線
- 通信会社の電話線・光ケーブル
送電線が敷地上空を通っている場合、電力会社が土地の一部へ「地役権」を設定していることがあります。
登記事項証明書の乙区や契約書を確認し、次の内容を調べます。
- 地役権が設定されている範囲
- 建物の高さ制限
- 工作物や植栽の制限
- 電力会社が敷地へ立ち入る権利
- 補償金や契約期間
- 土地を売却した場合の承継
- 建築時の事前協議義務
地役権が登記されていなくても、過去の所有者と電力会社の契約が存在する場合があります。登記簿だけで判断せず、電力会社へ照会してください。
建物だけでなくクレーン作業も制限される
送電線から建物までの必要な離隔距離は、電圧、電線の位置、たるみ、建物の高さなどによって異なります。
工事中は、クレーンのブーム、足場、長い鉄筋、屋根材などが電線へ近づく危険があります。そのため、次の対策が必要になる場合があります。
- 建物位置や屋根形状の変更
- 2階建てから平屋への変更
- クレーンを使わない施工方法
- 電線への防護管設置
- 電力会社の立ち会い
- 作業範囲・時間の制限
- 工事用車両の位置変更
建物が法的に建てられても、通常の上棟方法が使えず、施工費が上がる可能性があります。
電線は簡単に移設できない
引込線や電柱は、条件によって移設できる場合があります。しかし、高圧送電線や鉄塔を、個人住宅の建て替えのために簡単に動かすことはできません。
移設できる場合でも、費用負担、近隣の承諾、道路占用、工期などの問題があります。
「邪魔なら電力会社が無料で移してくれる」と考えず、次の順番で確認します。
- 設備の所有者を確認
- 電圧・線種・管理部署を確認
- 新居の配置図と高さを提示
- 必要な離隔距離と工事条件を確認
- 移設可否・費用・期間を書面で確認
東京電力パワーグリッドには、送電線や埋設設備の照会・施工協議窓口があります。東京電力パワーグリッド「設備照会・施工協議」
地中に埋まっている可能性があるもの
古い住宅の敷地では、図面にない埋設物が見つかることがあります。
- 旧浄化槽・便槽
- 使われていない井戸
- 古い給水・排水管
- ガス管・電気ケーブル
- 灯油タンク
- 以前の建物の基礎
- コンクリート片・瓦・建築廃材
- 庭石や大木の根
- 農業用水路・暗渠排水
- 隣家へつながる共同配管
特に、増改築を繰り返した家や、昔の図面が残っていない土地は注意が必要です。
公共配管と私設配管を確認する
道路に上下水道やガス管があっても、自宅へ引き込む管がどこを通っているか分からない場合があります。
また、自分の敷地内を隣家の水道管が通っていたり、自宅の排水管が隣地を通っていたりすることもあります。
確認先は設備ごとに異なります。
| 設備 | 主な確認先 |
|---|---|
| 上下水道 | 市町村・水道事業者 |
| ガス管 | ガス事業者 |
| 電力線 | 電力会社・送配電事業者 |
| 通信線 | 電話・通信事業者 |
| 農業用水 | 土地改良区・自治体 |
| 私設配管 | 所有者・隣地所有者 |
設備台帳に記載された位置と、実際の位置がずれていることもあります。基礎や地盤改良杭と干渉する可能性がある場合は、試掘や探査を行います。
埋設物の撤去費は解体見積もりに含まれないことが多い
解体工事の見積書に「建物解体一式」と書かれていても、地中埋設物の撤去費まで含まれているとは限りません。
契約前に次の費用区分を確認します。
- 旧浄化槽・便槽の撤去
- 井戸の埋め戻し
- 地下タンクの撤去
- 古い基礎の撤去
- コンクリートガラの処分
- 土壌汚染が見つかった場合の対応
- 公共配管の移設・切り回し
- 撤去後の埋め戻しと地盤補強
地中から大量のコンクリートや廃材が出れば、数十万~100万円以上の追加費用になる場合もあります。
撤去前後の写真、数量、処分伝票を提出してもらい、「出てきた分を後で請求します」だけで終わらせないことが重要です。追加工事の単価と承認方法を契約書へ記載しましょう。
井戸や浄化槽跡は基礎へ影響する
古井戸や浄化槽を撤去した部分は、周囲より地盤が緩くなる可能性があります。新居の基礎直下に重なる場合は、適切な埋め戻し、転圧、地盤調査が必要です。
単に土を入れて表面を平らにするだけでは、将来の沈下につながる恐れがあります。
建物配置を少し変更して避けるのか、撤去して地盤補強するのかを、構造設計者と地盤会社が判断します。
契約前の調査手順
- 登記事項証明書・公図・測量図を確認
- 過去の建物図面・配管図を探す
- 売主や親族から旧設備の聞き取り
- 電力・水道・ガス事業者へ設備照会
- 現地で電柱・鉄塔・マンホールを確認
- 必要に応じて地中探査・試掘
- 建物配置と基礎計画へ反映
- 移設・撤去費を含めた総額を確認
デザインハウス甲府では、目に見える敷地条件だけでなく、送電線、地役権、給排水経路、旧浄化槽、井戸などを確認し、追加費用の可能性を契約前に整理します。
敷地で最も高くつくのは、見えている送電線より、解体後に初めて見つかる「誰も見積もっていなかった地中の障害物」です。










