掃除の手間を劇的に減らす「収納の配置」と「床材・壁紙」の選び方
A. 掃除を楽にする最も効果的な方法は、収納を増やすことではなく「床に物を置かなくて済む家」にすることです。収納の場所、床の段差、建具のレール、ロボット掃除機の動線まで設計段階で決めましょう。
シニア世代の建て替えでは、豪華な設備よりも、毎日の掃除にかかる時間と体力を減らすことが重要です。
収納が広くても、使う場所から離れていれば、物は床やテーブルの上へ置かれます。床に物が増えるほど掃除機をかける前の片付けが必要になり、転倒リスクも高くなります。
収納は「量」より「使う場所」
おすすめは、家全体を次のように分けて考える方法です。
| 場所 | 収納する物 |
|---|---|
| 玄関 | 靴、傘、上着、杖、防災用品 |
| LDK | 書類、薬、文房具、掃除用品 |
| キッチン | 食品、食器、調理家電、ゴミ箱 |
| 洗面脱衣室 | 下着、タオル、洗剤、着替え |
| 寝室 | 普段着、寝具、介護用品 |
| トイレ | 紙、清掃用品、衛生用品 |
| 廊下 | 掃除機、日用品の予備 |
大きな納戸を一か所つくるだけでは、必要な物を毎回取りに行かなければなりません。
掃除機やフローリングワイパーも、家の中央や生活動線上へ収納すれば、汚れに気づいたときすぐ使えます。
収納を増やし過ぎない
収納が多い家ほど片付くとは限りません。空いている収納があると、「いつか使うかもしれない物」が増えます。
建て替え前に、荷物を次の3つへ分けます。
- 新居で毎日使う物
- 季節ごとに使う物
- 処分・売却・譲渡する物
古い家の荷物量を基準に収納を設計すると、新居まで物置化します。まず物を減らし、残った物の寸法を測って収納を決める方が、床面積も建築費も抑えられます。
シニアが使いやすい収納の高さ
高い吊戸棚や床近くの奥深い収納は、年齢とともに使いにくくなります。
日常的に使う物は、床からおおむね70~150cm程度の範囲へ収納すると、かがんだり踏み台へ乗ったりする回数を減らせます。
おすすめは次の仕様です。
- 開き戸より引き戸
- 棚より引き出し
- 奥行きを深くし過ぎない
- 可動棚で高さを変更できる
- 収納内部に照明を付ける
- 重い物は腰より低い位置
- 踏み台を使わない高さにする
ウォークインクローゼットも、歩くための通路が必要です。収納量だけを考えるなら、壁面収納の方が面積効率に優れる場合があります。
床材は掃除しやすさと安全性を両立する
LDKや廊下には、表面が強く、溝が深過ぎないフローリングが向いています。
無垢材は質感が魅力ですが、水分や傷、反りへの配慮が必要です。掃除の手間を優先するなら、耐傷性・耐水性のある複合フローリングも比較しましょう。
水回りは次の素材が使いやすくなります。
- クッションフロア
- 耐水性フローリング
- 長尺シート
- 滑りにくい水回り用床材
ただし、柔らかければ安全とは限りません。足が沈み込み過ぎる床は、すり足歩行や車椅子の移動に負担となることがあります。
ショールームでは、裸足だけでなく、靴下やスリッパでも滑りにくいか確認してください。
色は白過ぎても黒過ぎても掃除が大変
真っ白な床は髪の毛や黒い汚れが目立ち、濃い床はホコリや白い傷が目立ちます。
掃除の負担を抑えるなら、木目の中間色や、細かな柄のある床材が現実的です。汚れがまったく見えない色ではなく、「汚れに気づけるが、少しのホコリでストレスにならない色」を選びます。
壁紙は凹凸の少ない表面強化タイプ
壁紙は、デザインだけでなく次の機能を確認します。
- 汚れを拭き取りやすい
- 表面が傷つきにくい
- 抗菌・防カビ性能
- 凹凸が深過ぎない
- 部分補修しやすい
- 将来同じ品番を入手しやすい
玄関、廊下、トイレ、ペットのいる部屋には、表面強化や汚れ防止タイプが向いています。
キッチンや洗面台周辺は、壁紙よりキッチンパネルなどの拭き取れる面材を使うと、水はねや油汚れの掃除が楽になります。
ただし、機能性壁紙でも汚れが完全に付かないわけではありません。派手な特殊素材を家全体へ使うより、汚れやすい場所へ限定した方が費用を抑えられます。
ロボット掃除機が止まらない家にする
ロボット掃除機を使うなら、後から購入するのではなく、間取りと家具計画へ組み込みます。
- 室内の床段差をなくす
- 上吊り引き戸を採用する
- 床に建具レールをつくらない
- 電気コードを床へ這わせない
- 家具の脚下を通れる高さにする
- 充電基地用のコンセントを設置する
- Wi-Fiが届く位置にする
- 充電基地前のスペースを確保する
- 床置きのドアストッパーを減らす
水拭き・自動洗浄タイプを使う場合は、給排水が必要な機種もあります。洗面室や収納内部へ設置場所を準備しておくと、基地がLDKへ露出しません。
掃除しにくい設備を増やさない
掃除の負担を増やしやすいのは、次のような設備です。
- 段差のある小上がり
- 凹凸の多い飾り壁
- 高所の窓や照明
- 吹き抜けの梁
- オープン棚
- 床置き収納
- 複雑な形の照明器具
- タイルの細かな目地
- 使わないバルコニー
「おしゃれに見える家」と「80歳でも掃除できる家」は、必ずしも同じではありません。高所清掃を業者へ頼む設備は、将来の維持費まで確認してください。
デザインハウス甲府では、収納面積を増やすのではなく、使う場所、手の届く高さ、ロボット掃除機の経路まで確認して間取りを設計します。
掃除を楽にする家とは、汚れない家ではありません。物を動かさず、かがまず、高い場所へ登らずに、短時間で掃除を終えられる家です。










