リバースモーゲージの「極度額」は途中で変わりますか?担保価値の下落にはどう備えるべきですか?
質問
61歳です。建て替え後の老後資金としてリバースモーゲージを検討しています。金融機関から「極度額」という説明を受けましたが、将来、家の価値が下がると借入限度額も減るのでしょうか?
回答
結論から言えば、極度額は「将来必ず借りられることが保証された金額」ではありません。
商品によっては担保評価を定期的に見直し、評価額が下がると、追加借入の停止や極度額の減額が行われる場合があります。
ただし、住宅金融支援機構の「リ・バース60」のように住宅資金を一括で借りる商品と、必要なときに極度額の範囲内で追加借入する一般的なリバースモーゲージでは、仕組みが異なります。
最初に、どちらの商品なのかを確認する必要があります。
極度額とは何か
極度額とは、金融機関が設定する借入上限です。
ただし、次の3つは同じ金額とは限りません。
- 契約上の極度額
- 現時点で借りられる金額
- 実際に口座へ入る融資額
融資額は、一般的に次の条件から決まります。
- 土地と建物の担保評価
- 金融機関が定める融資率
- 年齢
- 年金などの収入
- 金利上昇後も利息を払えるか
- 資金の使い道
- 既存の借入
- 物件の売却可能性
「極度額2,000万円」と説明されても、無条件で2,000万円を自由に使えるとは限りません。
「リ・バース60」は生活費へ自由に使える商品ではない
住宅金融支援機構の「リ・バース60」は、建て替え、住宅購入、リフォーム、住宅ローンの借り換えなどに利用する住宅ローンです。
原則として、日常生活費や旅行費などの自由な老後資金へ使う商品ではありません。
一般的な銀行のリバースモーゲージには生活資金へ使える商品もありますが、資金使途、追加借入、担保評価の見直し方法は金融機関ごとに異なります。
「建て替え資金として借りるのか」「建て替え後の生活費も借りたいのか」を分けて確認してください。
リ・バース60の融資額は担保評価額の一部
2026年8月現在、リ・バース60の融資限度額は、満60歳以上の場合、原則として担保評価額の50%または60%です。長期優良住宅では55%または65%となる場合があります。
このほか、所要資金、商品上の限度額、金融機関の審査による制限があります。住宅金融支援機構「リ・バース60」
例えば、土地と完成後の建物の担保評価が3,000万円で、融資率が60%なら、計算上の上限は1,800万円です。
建て替え総額が2,200万円なら、少なくとも400万円に加え、融資対象外となる費用を自己資金で準備しなければなりません。
しかし、金融機関の担保評価が2,000万円なら、60%で1,200万円です。同じ2,200万円の建て替えでも、必要な自己資金は大きく変わります。
建築費と担保評価額は一致しない
ここが最も大きな誤解です。
2,200万円をかけて新築しても、金融機関が土地と建物を2,200万円以上で評価するとは限りません。
担保評価では、建築原価だけでなく、死亡後にその住宅を売却して融資金を回収できるかが見られます。
次のような費用は、そのまま担保評価へ反映されない場合があります。
- 高額なオーダーキッチン
- 特殊な間取り
- 大き過ぎる平屋
- 趣味専用の部屋
- 豪華な外構
- 太陽光発電や蓄電池
- 施主の好みに偏った内装
住宅会社にとって2,200万円の価値がある家でも、中古住宅を探す人が同じ価格で買うとは限りません。
山梨県では再販性が厳しく見られる
山梨県では、立地によって中古住宅の需要に大きな差があります。
次のような土地では、担保評価が低くなったり、融資自体を断られたりするケースがあります。
- 市街地から離れている
- 市街化調整区域にある
- 接道条件が悪い
- 旗竿地や高低差がある
- 古い擁壁がある
- 浸水・土砂災害リスクがある
- 周辺に空き家が多い
- 上下水道などの条件が悪い
- 売買の成約事例が少ない
- 建物を解体しないと売りにくい
山梨県では、住宅の再販が難しいことを理由にリバースモーゲージを断られるケースも少なくありません。
年齢条件を満たしていることと、実際に融資を受けられることは別です。
極度額は途中で減ることがある
必要なときに追加で借りるタイプのリバースモーゲージでは、金融機関が数年ごとなどに担保評価を見直すことがあります。
担保価値が下がると、契約内容によって次のような影響が考えられます。
- 未使用枠が減る
- 新たな借入ができなくなる
- 極度額が引き下げられる
- 契約更新が難しくなる
- 借入残高が新しい限度額を超えた場合に対応を求められる
すでに借りた元金を直ちに返す必要があるかどうかも、商品や契約によって異なります。
一方、住宅建築時に融資額が確定するリ・バース60は、一般的な追加借入型と同じように、いつでも極度額まで引き出せる仕組みではありません。
「途中で評価が下がったらどうなるか」だけでなく、「そもそも追加借入できる商品なのか」を確認してください。
長期優良住宅なら必ず有利とは限らない
リ・バース60では、満60歳以上で担保物件が長期優良住宅の場合、融資率が通常より5ポイント高くなる場合があります。
例えば、担保評価3,000万円なら、60%で1,800万円、65%で1,950万円となり、計算上の差は150万円です。
しかし、長期優良住宅の認定には申請費用がかかり、完成後も維持保全計画に沿った点検や修繕が求められます。
考えるべきなのは、次の点です。
- 追加で借りられる金額はいくらか
- 認定取得費用はいくらか
- 維持保全計画を実行できるか
- 将来、本当に売却しやすくなるのか
- 子どもが維持管理を引き継ぐのか
長期優良住宅や高性能住宅だからといって、山梨県で必ず高く再販できるわけではありません。
認定のために建築費を増やし、その増額分を借りるためにリバースモーゲージを利用するのであれば、本当にメリットがあるのか慎重に計算する必要があります。
担保価値の下落へ備える6つの方法
1.極度額を老後資金として数えない
まだ借りていない枠を、自分の預貯金のようにキャッシュフロー表へ入れてはいけません。
2.上限まで借りない
金利上昇や担保価値の下落に備え、借入額に余裕を持たせます。
3.現金を残す
生活費、医療・介護費、設備交換費は、追加借入できなくても支払えるようにします。
4.建物を大きくし過ぎない
夫婦2人なら、使わない部屋や過剰な設備を削り、建て替え総額そのものを抑えます。
5.不動産会社にも査定を依頼する
金融機関の担保評価だけでなく、周辺の成約事例や実際の売却期間も確認します。
6.ノンリコース型を優先する
死亡後の売却額が残債を下回った場合に、相続人へ不足分を残さない契約を優先して検討します。
契約前に金融機関へ確認する10項目
- これは一括融資型ですか、追加借入型ですか
- 契約上の極度額はいくらですか
- 実際に借りられる金額はいくらですか
- 担保評価額と融資率はいくらですか
- 担保評価は途中で見直されますか
- 見直しは何年ごとですか
- 評価が下がった場合、既存借入はどうなりますか
- 未使用の借入枠は減額されますか
- ノンリコース型ですか
- 生活費や介護費への追加借入はできますか
口頭説明だけでなく、契約書、約款、商品説明書へ記載された部分を確認します。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、極度額を建て替え予算へそのまま入れることはしません。
建物、解体、仮住まい、往復引っ越しを含む総額を出し、金融機関の正式な担保評価と事前審査を確認します。そのうえで、90歳までの年金、利息、医療・介護費、住宅修繕費をキャッシュフロー表へ反映します。
山梨県では再販性の問題から希望額を借りられないこともあるため、融資の見通しが立つ前に建築契約を進めるべきではありません。
極度額は預金ではなく、金融機関が条件付きで設定した上限です。「将来借りればよい」という計画ではなく、借りられなくても暮らせる計画を先につくってください。










