引き渡し時の「竣工検査(施主検査)」で不具合を見落とさないためのチェックリスト
A. 施主検査は、クロスの傷を探すだけの時間ではありません。契約図面・見積書どおりに完成しているか、住宅設備が正常に作動するか、未施工部分がないかを確認する最終機会です。引き渡し当日ではなく、1~2週間前に実施してください。
引き渡し当日に施主検査を行うと、不具合が見つかっても補修する時間がありません。
「住み始めてから直します」と言われ、そのまま対応が遅れるケースもあります。補修後の再確認日まで確保して検査日を設定しましょう。
行政の完了検査とは別物
行政や指定確認検査機関が行う完了検査は、建物が建築確認申請の内容や建築基準法へ適合しているかを確認するものです。
次のような項目まで、すべて確認してくれるわけではありません。
- クロスや床の傷
- 建具の調整不良
- 設備機器の型番違い
- コンセントの付け忘れ
- 契約した収納棚の未施工
- 水栓からの漏水
- 外構や給排水工事の不足
「検査済証が出たから、施工不良は一切ない」という意味ではありません。
検査当日に用意するもの
- 最終の平面図・電気図・設備図
- 契約見積書と変更契約書
- 仕様書、設備一覧表
- スマートフォン・カメラ
- マスキングテープ
- メモ用紙・筆記具
- メジャー
- スマートフォンの充電器
- ティッシュやキッチンペーパー
検査は明るい時間帯に行い、最低でも2~3時間確保します。夫婦だけで不安な場合は、子どもや第三者の住宅診断士へ同行を依頼する方法もあります。
外部のチェック項目
- 外壁の傷、割れ、へこみ
- シーリングの切れ、隙間、施工忘れ
- 基礎表面の大きなひび割れ
- 雨樋の外れや傾き
- 屋根・板金の浮きや傷
- 給湯器、室外機の設置位置
- 換気フードの位置と仕上がり
- 配管周囲の防水処理
- 敷地から道路・隣地への排水
- 外部水栓、コンセント、照明
- カーポート、フェンス、ポストなどの施工範囲
雨水が建物側へ流れる勾配になっていないかも確認します。外構工事が後施工なら、引き渡し時点で未完成となる範囲と完成予定日を書面に残します。
室内仕上げ・建具
- 床、壁、天井の傷や汚れ
- クロスの剥がれ、隙間、膨れ
- 床鳴り、沈み、傾き
- 巾木や見切り材の隙間
- ドア、引き戸、収納扉の開閉
- 窓、網戸、シャッターの作動
- 玄関ドア、窓、勝手口の施錠
- 手すりのぐらつき
- 棚板、ハンガーパイプの不足
- 畳、建具、設備の色や品番
すべての窓と扉を実際に開閉します。引き戸が重い、扉が自然に動く、鍵が掛かりにくい場合は調整を依頼してください。
電気・照明・換気
- すべての照明が点灯するか
- スイッチと照明の組み合わせ
- コンセントの位置と数
- 人感センサーの反応範囲
- インターホンの映像と通話
- 分電盤の表示
- テレビ・LAN配線
- 火災警報器
- 換気扇・第一種換気の運転
- エアコン、給湯器、太陽光発電の作動
スマートフォンの充電器などを使い、主要なコンセントへ通電しているか確認します。
換気設備は、スイッチを入れるだけでなく、各給排気口が開いているか、異音がないか、フィルターを自分で交換できるかまで説明を受けましょう。
水回り・住宅設備
- すべての水栓から水とお湯が出るか
- シンクや洗面台の排水速度
- 配管接続部から漏れていないか
- トイレの洗浄と止水
- 浴槽の湯張り・追い焚き・排水
- 浴室暖房・乾燥・換気
- キッチン換気扇
- 食器洗い乾燥機、IH、レンジフード
- 洗濯機用水栓と排水口
- 床下点検口周辺の漏水
水を数分間流した後、収納内部や配管の接続部をティッシュで触れると、小さな漏水を確認しやすくなります。
床下・小屋裏も確認する
点検口から見える範囲で、次の点を確認します。
- 床下に水、木くず、ゴミがないか
- 配管から漏水していないか
- 断熱材が落下していないか
- 小屋裏に雨漏り跡がないか
- 断熱材や気密処理に大きな欠損がないか
- 配線やダクトが乱雑に放置されていないか
施主が無理に床下や小屋裏へ入るのは危険です。内部まで確認したい場合は、第三者検査を利用します。
ただし、壁内の断熱材、防水、構造金物などは完成後には見えません。重要な施工品質は、基礎・構造・断熱・防水の各工事中に確認しておく必要があります。
書類・保証関係
引き渡し時には、次の資料も受け取ります。
- 検査済証
- 最終図面・構造図
- 構造計算書
- 住宅性能評価書
- 長期優良住宅の認定書類
- 地盤調査報告書・地盤保証書
- 気密測定報告書
- 瑕疵保険証券
- 完成保証関係書類
- 設備機器の保証書・取扱説明書
- 鍵、カードキー、リモコンの一覧
- 定期点検とメンテナンス予定表
契約した耐震等級、断熱等級、UA値、C値などを、口頭ではなく書類で確認してください。
不具合は口約束で終わらせない
不具合を見つけたら、マスキングテープを貼り、全体と接写の両方を撮影します。
補修一覧には次の内容を記載します。
- 不具合の場所
- 状況
- 補修方法
- 補修期限
- 担当者
- 再確認日
住宅会社と施主の双方で同じ一覧を保管します。「後日直します」という言葉だけで、引き渡し確認書へ安易に署名しないことが重要です。
大きな未施工や契約内容との相違がある場合は、最終代金や引き渡しの扱いを住宅会社と協議し、必要に応じて専門家へ相談してください。施主の判断だけで支払いを止めると契約上の問題になる可能性があります。
デザインハウス甲府では、社内検査を行ったうえで施主検査を実施し、指摘事項を引き渡しまでに補修・再確認します。また、完成時に見えなくなる構造や断熱部分は、工事中の検査と写真記録を重視しています。
完成した家の傷は直せます。しかし、確認しないまま「問題ありません」と署名した記録は残ります。引き渡しはお祝いの日である前に、契約どおりの家を受け取る検査の日です。










