建替え費用を払った後、老後資金として手元に最低限残すべき現金の計算式
A. 一律に「500万円残せば安心」とは言えません。建て替え後に残す現金は、生活費の不足額、医療・介護費、住宅修繕費、車の買い替え費を合計して決めます。一般的には最低500万円、できれば1,000万~1,500万円程度を残したいところです。
年金収入が多く、毎月黒字になる世帯と、年金だけでは毎月3万円不足する世帯では、必要な老後資金がまったく違います。
建築会社が「現金を多く入れれば住宅ローンが減ります」と勧めても、退職金や預金をすべて建築費へ使ってはいけません。住宅資金は借りられても、70代、80代になってから生活費や介護費を借りるのは難しいためです。
手元に残す現金の計算式
次の5項目を合計します。
必要な老後資金=生活予備費+毎月の赤字累計+医療・介護予備費+住宅修繕費+車・大型支出費
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 生活予備費 | 生活費の1~2年分 |
| 毎月の赤字累計 | 月間不足額×12か月×想定年数 |
| 医療・介護予備費 | 夫婦で300万~500万円程度 |
| 住宅修繕費 | 150万~300万円程度 |
| 車・家電などの更新費 | 100万~300万円程度 |
これとは別に、建て替え工事の追加費用として100万~200万円程度の予備費も確保しておくと安全です。
具体的な計算例
夫婦の年金手取りが月22万円、建て替え後の生活費が月25万円なら、毎月3万円の赤字です。
25年間生活すると仮定した場合、
3万円×12か月×25年=900万円
さらに、
- 生活予備費:250万円
- 医療・介護費:300万円
- 住宅修繕費:200万円
- 車・家電の更新費:150万円
を加えると、必要資金は合計1,800万円になります。
一方、年金手取りが月28万円、生活費が月23万円で毎月黒字なら、赤字補填資金は必要ありません。この場合は、生活予備費や医療・介護、修繕費として700万~1,000万円程度を確保する考え方もできます。
平均的な高齢世帯も毎月赤字
総務省の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、月の可処分所得が約22万2,000円、消費支出が約26万4,000円でした。単純比較では月約4万2,000円の不足です。総務省「2025年家計調査報告」
月4万円の不足が20年間続けば約960万円です。
もちろん全国平均をそのまま自分の家計へ当てはめることはできません。しかし、「住宅ローンがなければ年金だけで生活できる」と思い込まず、実際の支出を使って計算する必要があります。
500万円でよい世帯、足りない世帯
手元資金500万円でも成立しやすいのは、次のような世帯です。
- 年金収入だけで毎月黒字
- 住宅ローンが残らない
- 車の買い替え予定がない
- 民間保険や預金で介護費に備えている
- 子どもの支援を確実に受けられる
- 住宅の修繕費を別に確保している
反対に、次の場合は1,000万円でも不足する可能性があります。
- 年金だけでは毎月赤字
- 70歳以降も住宅ローンが残る
- 車が生活に欠かせない
- 夫婦どちらかに持病がある
- 子どもへ資金援助を予定している
- 将来、有料老人ホームへの入居を希望している
- 夫死亡後に妻の年金収入が大きく減る
自宅の売却代金を当てにしない
「将来困ったら新築した家を売ればよい」という資金計画も危険です。
山梨県の戸建住宅は、立地によっては建築費に見合う価格で再販できません。建物が高性能でも、駅、病院、買い物、道路条件などの需要が弱ければ、希望価格で売れない可能性があります。
老後資金の計算では、自宅の想定売却価格を現金と同じように扱わず、預貯金や換金しやすい金融資産を中心に考えます。
建築予算を下げる順番
必要な老後資金が残らない場合は、住宅性能を最初に落とすべきではありません。
- 延床面積を小さくする
- 使わない部屋をなくす
- 外観の凹凸やバルコニーを減らす
- 設備の過剰なグレードアップをやめる
- 外構工事を必要範囲に絞る
- 建築時期や借入額を再検討する
断熱、気密、耐震性能を削ると、光熱費、健康リスク、将来の修繕負担へ影響します。まず、広さと設備を見直すべきです。
デザインハウス甲府では、希望する建物が建つかだけでなく、90歳以降までの収支と資産残高を確認します。老後資金が不足する場合は、性能を落とさず、面積・設備・外構・資金配分を再設計します。
建て替え後に預金がほとんど残らない計画は、家を建てられても老後を守れません。完成時の満足より、90歳時点でも現金が残ることを優先してください。










