工事の進捗以上に代金を支払っていたら、取り戻せる?
Q. 住宅会社が倒産した時点で、工事の進捗以上に代金を支払っていた場合、払い過ぎたお金は取り戻せますか?
A. 払い過ぎた分を請求できる可能性はあります。しかし、返還を請求できることと、実際に現金を取り戻せることは別です。完成保証がなければ、全額回収できない可能性があります。
住宅会社の倒産で最も大きな損失になりやすいのが、工事出来高を超えて支払った「前払い部分」です。
払い過ぎた金額はどう計算する?
基本的な考え方は、次のとおりです。
支払済み金額-完成している工事の価値=実質的な前払い金
例えば、2,400万円の住宅で、倒産時点の状況が次のようになっていたとします。
- 支払済み金額:1,200万円
- 完成している工事の価値:700万円
- 実質的な前払い:500万円
この500万円について、住宅会社に返還を求める可能性があります。
住宅あんしん保証も、完成保証における前払金を「発注者の支払済み金額から、既施工部分の出来高を差し引いた金額」としています。
住宅あんしん保証「住宅完成保証制度」
重要なのは、契約金・着手金・中間金という名称ではありません。合計でいくら支払い、それに対してどこまで家ができているかです。
返還請求できても、会社にお金が残っていない
住宅会社が通常営業していれば、契約解除後に出来高を精算し、払い過ぎた分の返還を交渉できます。
しかし、倒産後は状況が大きく変わります。
破産手続では、破産管財人が会社の財産を換価し、法律上の優先順位に従って債権者へ配当します。施主が返還を求めるお金も、原則として破産手続の中で届け出ることになります。
裁判所「破産手続について」
ところが、倒産する会社には、すでに十分な現金や資産が残っていない場合があります。
返還請求額が500万円と認められても、実際の配当が500万円になるとは限りません。配当できる財産がなければ、回収できない可能性もあります。
つまり、
「払い過ぎた分は返還請求できる」
=「払い過ぎた分が全額戻ってくる」ではありません。
倒産後は債権届出が必要になる
裁判所や破産管財人から破産手続開始の通知が届いた場合は、内容と提出期限を確認します。
一般的に必要になる資料は次のようなものです。
- 工事請負契約書・契約約款
- 見積書と工事内訳書
- 支払予定表
- 振込明細・領収書
- 現場写真
- 工程表
- 設計図書
- 住宅会社とのメールや打ち合わせ記録
- 完成保証の保証書・確認書
払い過ぎた金額を主張するには、「いくら払ったか」だけでなく、「倒産時にどこまで工事が完成していたか」の確認が必要です。
施主側だけで出来高を判断せず、建築士や保証機関など、第三者による現場確認を受けることが重要です。
完成保証があれば、払い過ぎた分も守られる?
完成保証の内容によって違います。
住宅あんしん保証では、前払金と増嵩工事費用を合わせて、請負金額の30%または1,100万円のいずれか低い金額を限度としています。
一方、JIO完成サポートはタイプによってサポート範囲が異なり、前払金と出来高の差額が対象になるタイプと、対象外になるタイプがあります。さらに、定められた支払条件を超えて支払った金額は、保証されない場合があります。
JIO「完成サポート」
したがって、「完成保証があるから全額安心」とは限りません。
契約前に確認するべきなのは、次の3点です。
- 前払いによる損失が保証対象か
- いくらまで保証されるか
- 工程ごとの支払上限を超えていないか
前倒し払いを求められたら要注意
次のような説明をされた場合は、その場で支払わず、完成保証機関へ確認してください。
- 「資材を先に確保するので中間金を早めてほしい」
- 「今月中に払えば値引きする」
- 「銀行融資が入るまで一時的に協力してほしい」
- 「工事は遅れているが、契約どおりの期日に払ってほしい」
- 「完成保証があるから先払いしても問題ない」
工事が遅れているのに、支払いだけ予定どおり進めれば、施主側のリスクが急速に膨らみます。
**支払予定日が来たから払うのではなく、支払条件となる工程が本当に完了しているかを確認してから払う。**これが倒産被害を防ぐ基本です。
倒産が疑われたときに行うこと
住宅会社と連絡が取れない、工事が突然止まった、下請業者が現場から撤退したなどの異変があれば、次の支払いを一旦止めて確認します。
- 現場を写真と動画で記録する
- 工事出来高を第三者に確認してもらう
- 完成保証機関へ連絡する
- 住宅ローンを扱う金融機関へ相談する
- 破産管財人や弁護士からの通知を確認する
- 契約書類と支払証明をまとめる
自己判断で別会社に工事を依頼したり、現場の資材を移動したりすると、契約・所有権・保証手続に影響する可能性があります。工事再開を急ぐ場合でも、先に専門家と保証機関へ確認してください。
デザインハウス甲府からのアドバイス
倒産後に500万円を取り戻すことを考えるより、最初から500万円を払い過ぎない契約にするべきです。
住宅会社には契約前に、こう質問してください。
「各支払い時点の予定出来高を、金額で示してください」
「工事が遅れた場合、支払いも延期できますか?」
「出来高を超えて払った金額は、完成保証の対象ですか?」
デザインハウス甲府では、全棟に完成保証を付け、工事の進捗から支払いが大きく先行しないように支払条件を設定しています。
倒産時に施主を守るのは、住宅会社の『大丈夫です』という言葉ではありません。
工事より先にお金を渡さない支払条件と、書面で確認できる完成保証です。










