将来、親が施設へ入った後は親世帯を賃貸にできますか?「インカム住宅」を見据えた二世帯住宅の考え方
A. 条件を整えれば賃貸できます。ただし、普通の二世帯住宅をそのまま貸せるとは限りません。
将来の賃貸を考えるなら、建築時から親世帯を「独立した一戸の住宅」として使えるように設計し、住宅ローン、建築法規、税金、賃貸借契約まで確認しておく必要があります。
賃貸しやすい親世帯の条件
最低限、次の設備を親世帯だけで利用できるようにします。
- 独立した玄関と郵便受け
- キッチン
- トイレ
- 浴室またはシャワー
- 洗面設備
- 洗濯機置き場
- 専用収納
- 施錠できる世帯間の境界
- 駐車場
- エアコン設置場所
玄関や浴室を子世帯と共用する一部共用型では、親族以外へ貸しにくくなります。
音とプライバシー対策が重要
親子で暮らす場合は気にならなかった生活音も、入居者には大きな問題になります。
- 世帯間の壁や床を防音する
- 寝室同士を隣接させない
- 給排水管の音を抑える
- 玄関や駐車場の動線を分ける
- 窓の向きや室外機の位置を調整する
- 世帯間の扉を二重化する
親子の気配を感じる二世帯住宅と、他人へ貸せる賃貸住宅では、必要なプライバシー性能が違います。
光熱費を分けられるようにする
電気、水道、ガスの使用量を分けられないと、毎月の料金精算で揉めやすくなります。
建築時に、次の方法を検討します。
- 電気メーターを分ける
- 水道の子メーターを設置する
- 給湯器を世帯別にする
- 太陽光発電の使用範囲を決める
- インターネット回線を分けられる配管にする
後から配線や配管を分離すると高額になるため、少なくとも分離できる経路を残しておきましょう。
建築法規を確認する
設計上は二世帯でも、建築確認上は「一戸建て住宅」として扱われている場合があります。
賃貸化によって、建物用途、防火区画、避難経路、界壁、駐車場などの確認が必要になる可能性があります。建築時と利用方法が変わる場合は、設計者と自治体の建築指導担当へ相談してください。
単に玄関へ鍵を付ければ、合法的な賃貸住宅になるわけではありません。
住宅ローン返済中は金融機関へ確認する
自己居住用の住宅ローンは、本人や親族が住むことを前提としている場合があります。
親世帯を第三者へ貸すと、融資条件に抵触する可能性があるため、募集を始める前に金融機関の承諾を得てください。
【フラット35】も原則として投資用住宅の取得資金には利用できません。親が施設へ入った後の一部賃貸をどのように扱うかは、取扱金融機関へ個別確認が必要です。【フラット35】の利用条件
補助金や住宅ローン控除を利用している場合も、賃貸部分の扱いによって適用額などが変わる可能性があります。税務署や税理士へ確認しましょう。
親が認知症になる前に管理方法を決める
親名義の建物を貸す場合、原則として親が賃貸借契約の当事者になります。
施設入居時に認知症などで契約内容を判断できなければ、子どもが親名義の家を自由に貸せるとは限りません。
- 誰が建物を所有するのか
- 誰が入居者募集や家賃管理をするのか
- 修繕費を誰が負担するのか
- 任意後見や家族信託を利用するのか
元気なうちに、司法書士や弁護士へ相談しておく必要があります。
親が自宅へ戻る可能性も考える
一般的な賃貸借契約では、貸主の都合だけで簡単に退去してもらえるとは限りません。
親が施設から自宅へ戻る可能性がある場合は、契約期間が決まった定期建物賃貸借などを検討します。ただし、成立させるための書面や事前説明などに要件があるため、不動産会社や専門家へ依頼してください。
「親が戻ることになったら出てもらえばよい」という口約束は危険です。
家賃がそのまま施設費になるわけではない
仮に月7万円で貸せても、年間84万円がすべて手元に残るわけではありません。
- 空室期間
- 不動産会社への管理料
- 入退去時の修繕費
- 設備交換費
- 固定資産税
- 火災保険
- 所得税など
これらを差し引いた手取り額で、施設費をどこまで補えるか計算します。
山梨県では、家賃だけでなく、勤務先や学校への距離、駐車場の台数が入居率を大きく左右します。二世帯住宅だから自動的に借り手が見つかるわけではありません。
デザインハウス甲府では、将来の賃貸を考える場合、最初から「親族と暮らす間取り」と「他人へ貸せる間取り」を分けて考えます。
**インカム住宅とは、空いた部屋を貸す家ではありません。玄関・水回り・音・契約・権利関係まで、他人に貸せる状態へ準備された家です。**将来の家賃収入を建築予算へ組み込む前に、地域の賃貸需要と手取り額を確認しましょう。










