住宅会社が倒産したら「30年・60年保証」はどうなる?
A. 住宅会社自身が提供する30年・60年保証は、その会社が倒産すれば継続できない可能性があります。倒産後も残るのは、第三者の保険・保証会社が引き受け、施主名義の保証証書が発行されている保証です。
住宅会社の広告には、
- 構造60年保証
- 初期30年保証
- 最長60年保証
- 永年保証
- 生涯サポート
- 60年間無料点検
など、大きな数字が並びます。
長い保証期間は安心材料になります。
しかし、保証は住宅そのものから自動的に発生するものではありません。保証書に記載された会社が、不具合の調査や補修を行う約束です。
保証する住宅会社が倒産すれば、約束を履行する相手がいなくなる可能性があります。
60年保証があるから安心
ではなく、
その住宅会社が倒産した場合、残りの保証を誰が引き継ぐのか
まで確認しなければ、本当の保証内容は分かりません。
「60年保証」と「60年間無料修理」は違う
60年保証と聞くと、60年間に発生した不具合をすべて無料で修理してくれるように感じます。
しかし、長期保証には一般的に次のような条件があります。
- 保証対象は構造部分と防水部分だけ
- 定期点検を受ける必要がある
- 指定された補修工事を行う必要がある
- 延長時の点検は有料
- 延長に必要なメンテナンス工事も有料
- 住宅会社以外の工事で保証が終了する
- シロアリ対策を継続する必要がある
- 災害・経年劣化・使用上の問題は対象外
- 設備や内装は別の短期保証
- 一定年数ごとに保証を更新する
つまり「最長60年保証」は、
60年間、何でも無料で直す
という意味ではなく、
条件を満たしながら保証を延長すれば、最長60年まで保証を継続できる
という制度であることがあります。
大手住宅会社でも長期保証には条件がある
長期保証に条件があること自体は問題ではありません。
重要なのは、その条件が契約前に明確に説明されているかです。
例えば積水ハウスは、初期30年保証を継続するために10年・20年点検を受けること、30年経過後の保証延長には有料点検・有償補修が必要になることなどを公式サイトで明示しています。積水ハウス「長期保証制度」
大和ハウス工業も、初期保証終了後に保証を延長するためには、点検・診断に基づく有料メンテナンス工事が必要になることを明示しています。大和ハウス工業「長期保証・アフターサポート」
問題なのは、住宅会社が「60年保証」という大きな数字だけを強調し、
- 初期保証は何年か
- 何年目から有料か
- 延長工事はいくらかかるか
- 何を断ると保証が切れるか
- 住宅会社が倒産したらどうなるか
を説明しないことです。
住宅会社独自保証は倒産で履行不能になる
住宅会社独自の保証は、その会社と施主との契約です。
住宅会社が倒産して破産手続きに入れば、保証期間が残っていても、現実には無料補修を行う会社がなくなります。
例えば、引き渡しから12年後に雨漏りが発生したとします。
- 住宅会社の独自保証:30年
- 法律に基づく新築住宅の瑕疵保険:引き渡しから10年
- 住宅会社:11年目に倒産
- 雨漏り発生:12年目
この場合、住宅会社独自の30年保証は残り18年あるように見えます。
しかし、住宅会社が倒産していれば、補修を求める相手がありません。
さらに、通常の新築住宅瑕疵保険が10年で終了していれば、保険法人へ請求できない可能性があります。
結果として、施主が別の住宅会社を探し、自己負担で補修することがあります。
保証書に30年と書かれていても、保証会社が存在しなければ修理費は支払われません。
法律上の10年保証はどうなる?
新築住宅では、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引き渡しから10年間の責任が住宅会社に課されます。
住宅会社が住宅瑕疵担保責任保険へ加入している場合、住宅会社が倒産して補修できなくても、施主が保険法人へ保険金を直接請求できる可能性があります。
国土交通省も、住宅会社が倒産して補修できない場合、保険付き住宅の取得者は保険法人へ瑕疵補修費用を直接請求できると案内しています。国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」
ただし、この制度で守られるのは主に、
- 基礎・柱・梁・耐力壁などの構造部分
- 屋根・外壁・開口部などの防水部分
です。
次のようなものまで30年・60年間保証する制度ではありません。
- クロス
- 床材
- 建具
- キッチン
- トイレ
- エコキュート
- 換気設備
- エアコン
- 太陽光設備
- 経年劣化による外壁塗装
- シーリングの通常劣化
法律上の10年責任と、住宅会社が広告する30年・60年保証は別です。
10年経過後も第三者保険を付けられる場合がある
新築時の瑕疵保険が終了した後、検査や必要な補修を行い、延長保証保険へ加入する方法があります。
国土交通省が案内する延長保証保険には、次のような仕組みがあります。
- 新築後10年経過時などに検査を行う
- 必要な補修工事を実施する
- 5年または10年の保険へ加入する
- 住宅会社が倒産した場合、住宅所有者から直接請求できる商品がある
ただし、延長保証保険も、自動的に30年・60年続くわけではありません。
検査、補修、保険加入、保険料支払いなどの手続きが必要です。国土交通省「延長保証保険」
長期保証を比較するときは、
11年目以降の保証は住宅会社独自保証ですか。それとも国土交通大臣指定の保険法人が引き受ける延長保証保険ですか。
と確認してください。
「第三者機関が検査する」と「第三者が30年保証する」は違う
住宅会社から、
第三者機関の検査を受けるため、30年間安心です
と説明されることがあります。
しかし、第三者機関が建築中に検査したことと、その第三者機関が30年間の補修費用を支払うことは別です。
確認すべきなのは、
- 第三者機関は検査だけを行うのか
- 保険契約も引き受けているのか
- 保証期間は何年か
- 施主から直接保険金を請求できるか
- 施主名義の保険付保証明書があるか
です。
検査済証、住宅性能評価書、長期優良住宅認定書も、住宅会社の倒産後に補修費用を負担する保証書ではありません。
住宅会社が事業譲渡されれば保証は引き継がれる?
住宅会社が倒産した後、別会社が事業やブランドを買い取ることがあります。
しかし、新会社が、
- 過去の住宅の保証
- 定期点検
- 無償修理
- 既存顧客のアフターサービス
まで引き継ぐとは限りません。
新会社が引き継ぐのは、ブランド名、展示場、従業員、顧客情報などだけで、過去の保証債務は引き継がない契約になっている可能性があります。
「会社名が残った」「同じ担当者が働いている」というだけで判断せず、新会社から保証承継書を受け取ってください。
確認すべき内容は次のとおりです。
- どの住宅の保証を引き継ぐか
- どの保証項目を引き継ぐか
- 保証期間はそのままか
- 点検履歴は引き継がれるか
- 有料メンテナンス条件は変わるか
- 新しい保証書が発行されるか
保証の承継が書面で確認できなければ、以前の30年・60年保証が続くとは限りません。
フランチャイズ本部が保証を引き継ぐとは限らない
フランチャイズ加盟店が提供した長期保証も注意が必要です。
保証書の発行者が地元加盟店なら、加盟店の倒産によって保証を受けられなくなる可能性があります。
本部のブランド名が書かれていても、本部が保証契約の当事者とは限りません。
契約前には、
加盟店が倒産した場合、本部が30年・60年保証を引き継ぐことが契約書に記載されていますか。
と確認してください。
本部が点検会社を紹介することと、本部が無料補修費用を負担することは別です。
60年間のメンテナンス費用も確認する
長期保証を維持するため、指定された有料工事が必要になる場合があります。
例えば、次の計算を考えます。
- 15年目の外壁・シーリング工事:180万円
- 20年目の防蟻・屋根点検補修:40万円
- 30年目の屋根・防水・外装工事:250万円
- 40年目の防蟻・防水補修:60万円
- 50年目の外装・屋根補修:280万円
合計730万円です。
これは仮の計算例ですが、「60年保証を継続するための工事」がすべて無償とは限りません。
契約前には、
60年間保証を継続した場合、過去の実績でメンテナンス費用はいくらかかっていますか。
と質問してください。
住宅会社が、
状態を見なければ分かりません
と答える場合でも、標準的な点検項目、工事項目、現在価格による概算は提示できるはずです。
保証年数だけでなく、保証を維持するための総額を比較する必要があります。
契約前に確認すべき12項目
- 保証書を発行する会社はどこ?
- 初期保証は何年?
- 「最長60年」は自動継続?
- 構造・防水以外も対象?
- 設備や内装の保証期間は?
- 定期点検を受けないと保証が切れる?
- 指定された有料工事を断ると保証が切れる?
- 他社で修理・リフォームすると保証が切れる?
- 延長保証の点検・工事費用はいくら?
- 住宅会社が倒産したら誰が保証を引き継ぐ?
- 11年目以降に第三者保険は付く?
- 保証承継の記載が約款にある?
最も重要な質問はこれです。
御社が倒産した場合、残りの30年・60年保証を履行する第三者の会社名と、施主から直接請求できる保証証書を見せてください。
この質問に書面で回答できなければ、長期保証は住宅会社が存続していることを前提とした約束です。
倒産後に確保する書類
住宅会社が倒産したら、次の書類を確保してください。
- 長期保証書
- 保証約款
- 瑕疵保険付保証明書
- 延長保証保険証書
- 定期点検記録
- メンテナンス工事記録
- 修理履歴
- 竣工図
- 構造計算書
- 工事中の施工写真
- 設備メーカー保証書
- 地盤・防蟻・防水保証書
第三者保険が付いている場合は、住宅会社を通さず、保険法人へ直接連絡します。
住宅会社独自保証しかない場合は、破産管財人へ保証債務や補修費用について確認し、必要に応じて債権届出を検討します。
デザインハウス甲府の考え方
保証期間の長さは重要です。
しかし、それ以上に重要なのは、保証へ頼らなくても長持ちする構造と、将来他社でも点検・修理できる記録を残すことです。
デザインハウス甲府では、
- 許容応力度計算による耐震等級3
- 断熱等級6
- 全棟気密測定
- 第一種熱交換換気
- 長期優良住宅
- 全棟完成保証
- 総額の契約前提示
- 図面・性能・保証内容の書面化
を重視しています。
「60年保証」という大きな数字だけで住宅を売るのではなく、
- 何を保証するのか
- 誰が保証するのか
- 継続条件は何か
- 維持費はいくらか
- 会社がなくなったらどうなるか
まで説明することが、正直な家づくりだと考えています。
30年・60年保証は、住宅の寿命を保証する数字ではありません。
保証会社が、その期間中に約款の範囲で責任を負う約束です。
見るべきなのは保証年数ではなく、保証の履行者、倒産時の承継先、そして保証を維持するための総額です。










