国が推奨する「長期優良住宅」の認定基準を、シニアも満たすべきですか?
A. 住宅の基本性能を高めることには賛成ですが、シニア世代が長期優良住宅の認定を取得しても、必ず大きな経済的メリットが得られるとは限りません。重要なのは、認定という肩書より、実際の性能と将来の使い方です。
長期優良住宅とは、「長期間、良好な状態で使用できる住宅」として、所管行政庁から計画の認定を受けた住宅です。
主な認定基準には、次の項目があります。
- 構造躯体を長く使用するための劣化対策
- 地震に対する安全性
- 断熱・省エネルギー性能
- 配管などを点検・交換しやすい維持管理対策
- 一定以上の住戸面積
- 地域の景観や居住環境への配慮
- 災害リスクへの配慮
- 定期点検や修繕を行う維持保全計画
つまり、耐震性や断熱性だけ高ければ認定されるわけではありません。建築前に申請し、完成後も認定された計画に基づいて点検・修繕を続け、記録を保存する必要があります。国土交通省「長期優良住宅のページ」
シニアにとってメリットが小さくなる場合があります
長期優良住宅には、住宅ローン減税、登録免許税や固定資産税の特例、住宅ローン金利の優遇などがあります。
しかし、60代・70代の建替えでは、借入額が少ない、返済期間が短い、年金中心で所得税額が少ないといったケースもあります。その場合、制度上の優遇枠があっても、実際に受けられる減税額は限定的です。
現金で建てる方が「減税になるから」と追加費用を払って認定を取得しても、申請費用を回収できないことがあります。
本当にその家を再販するのでしょうか?
「長期優良住宅なら高く売れる」と説明されることがありますが、認定があるだけで売却価格が大幅に上がるとは限りません。
特に山梨県では、建物の認定よりも、立地、接道、土地の形状、生活利便性、買い手の数が再販価格を大きく左右します。郊外で買い手が少なければ、長期優良住宅でも希望価格で売れない可能性があります。
自分たちの代で住み切る家なのか、子が相続して住むのか、将来売却するのかを先に考えるべきです。
維持保全計画を実行できますか?
認定取得時には、点検や修繕の計画を作ります。しかし、本当の問題は、その計画を10年、20年と実行できるかです。
外壁、屋根、防水、給排水設備などの点検と修繕には費用がかかります。高齢になって管理が難しくなった後、誰が点検を依頼し、記録を保管し、修繕費を負担するのかまで決めなければ、計画は書類だけになります。
認定より先に確保すべき性能があります
長期優良住宅の認定を取っても、気密性能を示すC値や、全棟の気密測定まで保証されるわけではありません。制震装置も認定の必須条件ではありません。
デザインハウス甲府では、長期優良住宅に対応しながら、許容応力度計算による耐震等級3、制震装置evoltz、断熱等級6・UA値0.46以下、全棟気密測定でC値0.7以下を基本としています。
長期優良住宅は、取得することが目的ではありません。税制効果、再販の可能性、維持保全を続ける人と費用まで確認し、そのうえで取得する価値があるかを判断する制度です。認定証より、老後に本当に暖かく、安全で、無理なく維持できる家を優先すべきです。










