Q. 住宅ローン返済中に失業したら?
A. 失業しても住宅ローン返済は止まりません。延滞する前に金融機関へ連絡し、失業給付の申請と家計の緊急見直しを同時に行ってください。
最も危険なのは、預金で数か月しのぎ、残高が尽きてから銀行へ相談することです。
失業した時点では、まだ住宅を守れる可能性があります。しかし、住宅ローンの延滞、カードローン、税金滞納が重なるほど選択肢は少なくなります。
失業したら「次の仕事探し」だけでなく、「何か月返済を続けられるか」を当日から計算する。
これが重要です。
失業しても住宅ローンは免除されない
団体信用生命保険は、一般的に死亡や所定の障害・疾病などを保障する制度です。
通常の団信では、失業しただけで住宅ローンが完済されたり、返済が免除されたりすることはありません。
金融機関や保険会社が提供する失業保障・返済支援保険へ加入している場合は、支払条件を確認します。
- 会社都合退職だけが対象か
- 自己都合退職も対象か
- 免責期間はあるか
- 何か月分支払われるか
- 月額上限はいくらか
加入しているだけでは自動的に支払われない場合があるため、すぐに金融機関や保険会社へ連絡してください。
最初の7日間にすること
1.家計が何か月持つか計算する
次の金額をすべて確認します。
- 普通預金・定期預金
- 退職金
- 配偶者の収入
- 失業給付の見込額
- 住宅ローン返済額
- 生活費
- 自動車ローン
- 保険料
- 教育費
- 税金・社会保険料
例えば、預金300万円、毎月の生活費30万円、住宅ローン9万円なら、
300万円÷39万円=約7.7か月
収入がなければ、約8か月で預金がなくなる計算です。
ただし、固定資産税、車検、学費、修繕費があれば、実際にはさらに短くなります。
2.延滞前に金融機関へ相談する
金融機関によっては、状況や審査に応じて次の対応を相談できる場合があります。
- 返済期間の延長
- 毎月返済額の一時的な軽減
- 元金据置
- ボーナス返済の取り止め
- 返済日の変更
住宅金融支援機構には、一定条件を満たす人について、返済期間を最長15年延長する返済方法変更などがあります。失業中または収入が20%以上減少した場合の特例も設けられています。住宅金融支援機構
ただし、返済期間を延長すれば総利息は増える可能性があります。元金据置も借金が免除される制度ではありません。
それでも、延滞を避けて生活を立て直す時間を確保する意味があります。
3.ハローワークで失業給付を申請する
雇用保険の基本手当は、自動的には支給されません。離職票などを準備し、住所地を管轄するハローワークで手続きをします。
一般の離職者の所定給付日数は、雇用保険の加入期間などにより90日、120日、150日などに分かれます。ハローワーク・基本手当の所定給付日数
自己都合退職、会社都合退職、年齢、加入期間によって、受給開始時期や日数は異なります。
「給料と同じ金額がすぐ支給される」と考えてはいけません。
すぐ止める支出・止めてはいけない支出
| 優先して見直す支出 | 安易に止めない支出 |
|---|---|
| サブスクリプション | 火災・地震保険 |
| 過剰な通信プラン | 必要な医療保険 |
| 外食・レジャー | 自動車保険 |
| 不要な積立投資 | 税金・社会保険料 |
| 追加の繰上返済 | 住宅ローン返済 |
| 高額な習い事 | 最低限必要な教育費 |
税金や社会保険料が払えない場合も、放置せず、自治体や年金事務所などへ減免・猶予制度を相談してください。
絶対にしてはいけないこと
カードローンで住宅ローンを払う
低金利の住宅ローンを、高金利のカードローンで返すことになります。
一時的に延滞を隠せても、借金総額と毎月返済額が増え、問題は悪化します。
銀行からの連絡を無視する
督促を無視しても返済義務はなくなりません。早い段階ほど、返済方法を相談できる可能性があります。
預金や退職金を全額返済へ使う
住宅ローンを減らしても、生活費がなくなれば、別の借金が必要になります。
退職金は、次の就職が決まるまでの生活資金でもあります。一括返済は、再就職後の収入が安定してから判断してください。
失業を隠して新しい借入れをする
申込内容に虚偽があれば、信用上の問題になります。収入状況や退職について正確に伝えてください。
3か月後までに判断すること
失業直後に慌てて家を売る必要はありません。しかし、再就職の見込みと資金残高を楽観的に考えるのも危険です。
次の3つの計画を作ります。
| 計画 | 内容 |
|---|---|
| A案 | 3か月以内に再就職できる場合 |
| B案 | 再就職まで6か月かかる場合 |
| C案 | 収入が以前より20~30%下がる場合 |
C案でも住宅ローン、生活費、教育費を払えるか確認します。
再就職できても、以前と同じ年収に戻るとは限りません。新しい収入で赤字が続くなら、住宅の維持方法を見直す必要があります。
売却を検討するタイミング
次の状態なら、早めに査定と金融機関への相談を始めます。
- 再就職後も毎月赤字になる
- 預金が6か月以内に尽きる
- カードローンを使い始めた
- 住宅ローン残高がほとんど減っていない
- 車や教育費を含めると返済継続が難しい
- 夫婦の収入だけでは生活できない
家を売っても、売却代金が住宅ローン残高を下回れば借金が残ります。売却価格、ローン残高、仲介手数料などを計算し、金融機関と調整してください。
返済に困っている人を対象に、全国銀行協会相談室でも無料カウンセリングを実施しています。全国銀行協会相談室
俺流結論
住宅ローン返済中に失業したら、守るべきものは「家」だけではありません。
家族の生活費、教育費、再就職までの時間、手元の現金を守る必要があります。
行動する順番は次のとおりです。
- 家計が持つ月数を計算する
- 延滞前に金融機関へ相談する
- ハローワークで手続きする
- 不要な支出を止める
- 3か月・6か月後の収支を作る
- 継続困難なら早期に売却も検討する
住宅ローンを組む前にも、夫婦どちらかが6か月失業した条件でシミュレーションしておくべきです。
失業そのものが住宅ローン破綻を起こすのではありません。失業時に耐えられる現金を残さず、限界まで借りていることが破綻を招きます。










