Q. アドバイザーの経歴・資格・選定基準は公開されている?
A. 公開状況は相談会社によって異なります。担当者の顔や名前は掲載していても、建築資格、住宅実務の経験、住宅会社を評価する基準までは公開していない場合があります。住宅会社を「厳選」する人が、どのような根拠で判断しているのかを確認することが重要です。
住宅相談サービスのホームページには、
「経験豊富なアドバイザーが対応」
「住宅のプロが中立にサポート」
「専門家がお客様に合う会社を厳選」
といった言葉が並びます。
しかし、
- 何をもって経験豊富なのか
- 何の専門家なのか
- どの資格を持っているのか
- 住宅業界で何年働いたのか
- 建築現場を経験しているのか
- 何を基準に住宅会社を評価しているのか
まで確認できるでしょうか。
肩書や笑顔の写真だけでは、その人の専門性は判断できません。
「住宅のプロ」の意味が曖昧
住宅業界には、さまざまな仕事があります。
- 住宅営業
- 設計
- 構造計算
- 施工管理
- 大工・職人
- 不動産仲介
- 住宅ローン
- ファイナンシャルプランニング
- インテリア
- アフターサービス
どれか一つを経験していても、住宅のすべてを判断できるとは限りません。
例えば、住宅営業を10年間経験した人は、商談や契約には詳しいかもしれません。
しかし、構造計算、断熱施工、防水、換気計画まで正確に評価できるとは限りません。
反対に、設計経験が豊富な建築士でも、住宅ローンや住宅会社の経営状態には詳しくない場合があります。
「住宅業界経験10年」という表示だけでは、何を経験した10年なのか分かりません。
公開されている情報を確認する
アドバイザー紹介ページを見るときは、次の情報があるか確認してください。
- 氏名
- 顔写真
- 保有資格
- 資格番号
- 住宅業界の経験年数
- 過去に担当した業務
- 相談実績
- 得意分野
- 苦手・対応外の分野
- 住宅会社との利害関係
- 研修内容
- 説明内容を確認する責任者
名前と写真だけでは、専門家としての能力は分かりません。
「資格保有者在籍」という会社全体の表示ではなく、実際に自分を担当する人の情報を見る必要があります。
「資格保有者在籍」と担当者の資格は別
相談会社のホームページに、
「建築士在籍」
「ファイナンシャルプランナー在籍」
「宅地建物取引士在籍」
と表示されていても、自分の担当者がその資格を持っているとは限りません。
会社に一人だけ有資格者が在籍し、実際の相談は無資格の担当者が行っている可能性もあります。
次の違いを確認してください。
| 表示 | 実際に確認したいこと |
|---|---|
| 建築士在籍 | 自分の相談を建築士が確認するか |
| FP在籍 | 資金計画を誰が作成するか |
| 宅建士在籍 | 土地の説明を誰が行うか |
| 専門家が監修 | 何を、いつ、どこまで監修したか |
| 有資格者がサポート | 面談へ同席するか、質問時だけか |
資格者が名義だけ存在し、担当者の説明を確認していないのであれば、相談者が受けるサービスは「有資格者による相談」とは言い切れません。
民間資格と国家資格を分けて確認する
住宅相談に関する資格には、さまざまなものがあります。
名称が立派でも、取得条件は同じではありません。
- 国家試験や登録が必要な資格
- 業界団体が認定する資格
- 民間企業が運営する資格
- 講座受講で取得できる資格
- 社内研修修了者に付ける肩書
民間資格が役に立たないという意味ではありません。
家づくりの流れや接客方法を学ぶ機会にはなります。
しかし、数日間の講習で取得した資格と、長期の学習・実務経験を必要とする資格を同じように評価することはできません。
資格名だけでなく、
- 誰が認定しているか
- 試験があるか
- 実務経験が必要か
- 更新制度があるか
- 継続研修があるか
- 資格者にどのような責任があるか
まで確認してください。
アドバイザーの前職によって助言の傾向が変わる
アドバイザーの過去の勤務先や職種によって、得意分野や考え方が変わる可能性があります。
例えば、
- 大手ハウスメーカーの営業経験者
- 地元工務店の営業経験者
- 不動産会社の営業経験者
- 金融機関の勤務経験者
- 保険営業の経験者
- 建築設計の経験者
- 施工管理の経験者
- 異業種から転職した人
では、住宅を見る角度が違います。
大手ハウスメーカー出身者なら、大手の営業体制や商品には詳しいかもしれません。
不動産出身者なら、土地取引には詳しくても、建物の施工品質は専門外かもしれません。
金融機関出身者なら、融資の考え方に詳しくても、間取りや断熱施工までは判断できない可能性があります。
経歴による偏りが悪いわけではありません。
自分の得意分野と限界を明確に説明できるかが重要です。
住宅会社の選定基準は公開されているか
アドバイザー個人の資格と同じくらい重要なのが、住宅会社を選ぶ基準です。
紹介会社が「厳選」と宣伝するなら、次のような項目を確認しているか聞いてください。
- 建設業許可
- 建築士事務所登録
- 会社の経営状態
- 年間施工棟数
- 施工可能エリア
- 断熱性能
- 気密測定
- 耐震等級
- 構造計算方法
- 現場検査
- 保証内容
- アフターサービス
- 契約後の追加費用
- 顧客からの苦情
- 紹介料・広告費の支払い条件
単に、
「当社独自の厳しい審査基準」
と書かれているだけでは、何を審査したのか分かりません。
建築品質の審査なのか。
経営状態の審査なのか。
相談者への営業対応の審査なのか。
紹介料を支払えるかという提携条件なのか。
これらを分けて公開する必要があります。
選定基準が非公開では検証できない
紹介会社が、
「基準は社外秘です」
「詳細はお答えできません」
と説明する場合があります。
企業独自の審査方法をすべて公開できない事情はあるでしょう。
しかし、相談者が判断するための基本項目まで非公開なら、「厳選」という言葉を検証できません。
少なくとも、
- 必須条件
- 主な評価項目
- 評価する人
- 現場確認の有無
- 定期的な再審査
- 掲載停止の条件
は説明できるはずです。
基準をまったく説明できない「厳選」は、選定結果だけを信じてもらう仕組みになってしまいます。
選定する人と紹介する人は同じなのか
住宅会社を審査する担当者と、相談者へ紹介するアドバイザーが同じとは限りません。
会社本部が掲載先を決め、店舗のアドバイザーは登録された住宅会社の中から紹介するだけという可能性があります。
その場合、担当アドバイザーへ、
「なぜこの住宅会社は優良なのですか」
と聞いても、本部資料に書かれた内容しか答えられないかもしれません。
確認すべきなのは、
- 誰が提携住宅会社を選定したか
- 誰が建築品質を確認したか
- 担当アドバイザーに選定権限があるか
- 地域の住宅会社を担当者自身が調査したか
- 紹介理由を自分の言葉で説明できるか
です。
住宅会社を評価した人が誰か分からなければ、その評価の専門性も判断できません。
成約率や収益が選定へ影響していないか
アドバイザーの評価制度も重要です。
担当者が、
- 紹介件数
- 面談件数
- 来場件数
- 成約件数
- 成約率
- 成約金額
- 紹介会社の売上
によって評価されるなら、相談者へ契約しやすい住宅会社を勧める動機が生まれる可能性があります。
この仕組みだけで、中立性がないとは断定できません。
しかし、中立を掲げるなら、
- 担当者に売上目標があるか
- 成約数が給与や賞与へ影響するか
- 報酬条件を担当者が知っているか
- 顧客満足度をどの時点で測るか
- 契約後の結果も評価へ反映するか
を説明する必要があります。
契約を取るまでしか評価されない担当者と、引渡し後の満足度まで評価される担当者では、提案の方向が変わる可能性があります。
相談実績の数字にも注意する
「相談実績1万件」
「年間相談件数3,000組」
という数字は、サービスの規模を判断する材料になります。
しかし、その数字だけで担当者個人の経験は分かりません。
会社全体で1万件でも、担当者は入社1か月かもしれません。
また、「相談件数」の定義も確認が必要です。
- 問い合わせ件数
- 資料請求件数
- 電話相談件数
- 初回面談件数
- 継続相談件数
- 住宅会社の紹介件数
- 成約件数
のどれを数えているかで意味が変わります。
会社全体の実績と、担当者個人の実績を分けて確認してください。
担当者へ直接確認すべき10の質問
- 建築に関する資格を持っていますか
- 資格名と取得時期を教えてください
- 住宅業界で何年、どの仕事を経験しましたか
- 設計や施工管理の経験はありますか
- 建築中の現場を何棟程度見ましたか
- これまで何組の相談を担当しましたか
- 住宅会社を選ぶ際、どの項目を比較しますか
- 自分で判断できない内容は誰に確認しますか
- 成約件数が自分の評価や給与へ影響しますか
- 今回紹介する会社の弱点も説明できますか
この質問に対して、担当者が正直に自分の得意分野と限界を話せるなら、一定の信頼材料になります。
何を聞いても「大丈夫です」「当社が厳選しています」としか答えない場合は注意が必要です。
ホームページで公開してほしい情報
中立性と専門性を掲げる相談会社なら、次の内容を公開してほしいところです。
- 各アドバイザーの氏名と顔写真
- 保有資格
- 住宅業界での経歴
- 得意分野
- 相談実績の定義
- 住宅会社の選定基準
- 現場確認の方法
- 再審査の頻度
- 紹介停止の基準
- 収益構造
- 利益相反を防ぐ仕組み
- 誤説明があった場合の責任体制
これらが公開されていれば、相談者は担当者とサービスの質を比較できます。
相談者の個人情報、年収、借入れ、勤務先まで詳しく聞くのであれば、相談を受ける側も自分たちの資格、経歴、収益関係を説明するのが公平ではないでしょうか。
結論
アドバイザーの経歴、資格、住宅会社の選定基準が、十分に公開されているとは限りません。
名前と写真だけ。
「住宅のプロ」という肩書だけ。
会社全体の資格者数だけ。
非公開の独自審査だけ。
これでは、相談者が本当の専門性を判断できません。
相談者の年収や借入れを聞く前に、アドバイザー自身の資格、経歴、評価基準を公開するべきです。
無料で相談できることより、
- 誰が相談に答えるのか
- 何を経験してきたのか
- どこまで判断できるのか
- 何を基準に住宅会社を選ぶのか
- 間違った場合に誰が責任を負うのか
を確認してください。
住宅会社の選定を任せる相手を、肩書と笑顔の写真だけで選んではいけません。
住宅会社を審査する人も、相談者から審査されるべきです。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










