Q13. シニアの建て替えで「退職金」をすべて充当するのが危険な理由
Q
65歳で定年退職し、退職金が2,000万円ほど入りました。築48年の家を平屋に建て替えたいので、住宅ローンを組まずに退職金をすべて使おうと思っています。借金がなくなるなら安心だと思うのですが、本当にそれが一番良い方法なのでしょうか?
結論
退職金をすべて建て替え費用に使うことは、おすすめできません。
住宅ローンがなくなる安心感はありますが、その後の医療費・介護費・住宅の維持費・物価上昇などに対応できなくなる可能性があります。
シニア世代の建て替えでは、「住宅ローンをゼロにすること」よりも、老後資金をしっかり残すことの方が重要です。
なぜ退職金を残した方がいいの?
退職金は、老後の生活を支える大切な資金です。
建て替え後も、次のような支出が続きます。
- 医療費
- 介護サービスの自己負担
- 固定資産税
- 火災保険・地震保険
- 車の買い替え
- 家電製品の更新
- 冠婚葬祭費
これらは予測が難しく、一度使った退職金は簡単には取り戻せません。
介護にはどのくらいお金がかかる?
生命保険文化センターの調査では、介護に要する費用は、
- 住宅改修などの一時費用:平均約74万円
- 介護サービスなどの月額費用:平均約9万円
という結果が公表されています。
介護期間が長くなるほど、必要な資金も増えていきます。
そのため、退職金をすべて住宅に使ってしまうと、将来の介護費用に困る可能性があります。
建て替え後も予想外の出費はある
新築住宅でも、長く住めばメンテナンスが必要になります。
例えば、
- 給湯器の交換
- エアコンの買い替え
- 外構の補修
- 太陽光発電設備や蓄電池の更新(設置している場合)
など、10年から20年後にはまとまった費用が必要になることがあります。
建て替え後も「お金はかからない」というわけではありません。
生活予備資金はいくら残すべき?
家族構成や年金収入によって異なりますが、
一般的には、
最低500万円、できれば1,000万円程度
の生活予備資金を残しておくことをおすすめします。
例えば、
退職金が2,000万円なら、
- 建て替え資金 1,200万円
- 手元資金 800万円
というように、余裕を持った資金計画を立てる方が安心です。
不足分は、
- 一般的な住宅ローン
- リ・バース60
- 高齢者向け返済特例
などを活用する方法もあります。
「ローンがない=安心」とは限らない
「借金はない方が安心」と考える方は多いでしょう。
もちろん、その考え方自体は間違いではありません。
しかし、
預貯金がほとんど残らない状態で生活を始めると、
急な病気や介護、物価上昇などに対応できず、生活が苦しくなるケースもあります。
大切なのは、
**「住宅ローンをなくすこと」ではなく、「安心して生活できる資金を残すこと」**です。
性能の高い住宅は将来の支出も抑えられる
建築費を抑えるために性能を下げてしまうと、
住み始めてからの光熱費や健康リスクが増える可能性があります。
建て替えるなら、
- 耐震等級3(許容応力度計算)
- 断熱等性能等級6(HEAT20 G2レベル・UA値0.46以下が目安)
- 気密測定によるC値1.0以下(できれば0.7以下)
- 段差5mm以下
- 廊下有効幅780mm以上
など、将来の安心につながる性能を備えることも重要です。
法律・制度の根拠
老後資金については、金融庁の「高齢社会における資産形成・管理」で、生活資金を計画的に確保する重要性が示されています。
また、介護費用については、生命保険文化センターや厚生労働省が調査結果を公表しています。
住宅ローンについては、住宅金融支援機構が、無理のない返済計画を立てることの重要性を案内しています。
デザインハウス甲府からのアドバイス
山梨県でも、「退職金が入ったから住宅ローンは組みたくない」というご相談をよくいただきます。
しかし、私たちは退職金をすべて建築費に充てることはおすすめしていません。
建て替えで本当に大切なのは、
「住宅ローンをなくすこと」ではなく、「老後も安心して暮らせること」です。
そのためには、
- 手元資金を残す
- 無理のない借入額にする
- 高性能住宅で光熱費を抑える
という3つのバランスが重要です。
住宅は完成した日がゴールではありません。
その後20年、30年と安心して暮らし続けられる資金計画こそ、シニア世代の建て替え成功のポイントです。










