Q. なぜ樹脂サッシは高いのか?
A. 材料費だけでなく、断熱性能を高める複雑な構造、製造工程、ガラス仕様、金物などにコストがかかるからです
樹脂サッシが高い最大の理由は、単にフレームの材料が樹脂だからではありません。
熱を伝えにくくする多層構造、フレームの強度を保つための設計、高性能ガラス、気密性を高める部品などを組み合わせて製造するため、一般的なアルミサッシより価格が高くなります。
しかし、窓は住宅の中でも熱が出入りしやすい場所です。
サッシの価格だけを下げても、冷暖房費が増えたり、窓際が寒くなったり、結露が発生しやすくなったりすれば、長期的に得とは限りません。
重要なのは「樹脂サッシだから高い」と判断するのではなく、窓全体の性能と住宅総額のバランスで選ぶことです。
樹脂はアルミより熱を伝えにくい
アルミは軽く、強度があり、加工しやすい優れた材料です。
しかし、熱を伝えやすいという弱点があります。
冬は室内の熱が窓枠から外へ逃げやすく、夏は外の熱が室内へ伝わりやすくなります。室内側の窓枠が冷えると、結露の原因にもなります。
樹脂はアルミと比べて熱を伝えにくいため、窓枠からの熱の出入りを抑えやすい材料です。
この断熱性能の違いが、樹脂サッシの価格に反映されています。
フレームの構造が複雑になる
樹脂サッシは、樹脂を単純な板状にして組み立てているわけではありません。
フレーム内部を複数の空間に分けた多層構造にして、熱が伝わりにくい設計が採用されています。
サッシの強度、気密性、水密性を確保しながら、長期間の使用に耐えられる形状にする必要があります。
窓の開閉に必要な金物、戸車、パッキンなどにも精度が求められます。
断熱性能を高めながら、安全性や耐久性も確保するため、一般的なアルミサッシより構造が複雑になり、製造コストも上がります。
フレームを太くする必要がある
樹脂は熱を伝えにくい一方で、同じ形状で比較するとアルミほどの剛性を確保しにくい材料です。
そのため、必要な強度を持たせるために、フレームを厚くしたり、内部構造を工夫したりする必要があります。
大きな窓では、ガラス自体の重量も増えます。トリプルガラスを採用すれば、さらに重くなります。
重いガラスを支えながら、スムーズに開閉できる強度と金物が必要です。
材料の使用量や部品数が増えることも、価格が高くなる理由です。
高性能ガラスとセットになっていることが多い
樹脂サッシが高く見える理由の一つは、比較条件が同じではないことです。
一般的なアルミサッシにはペアガラス、樹脂サッシにはLow-Eトリプルガラスという組み合わせで見積もられていることがあります。
この場合、価格差はフレームだけではありません。
ガラスが1枚増え、Low-E金属膜、アルゴンガスやクリプトンガス、断熱性の高いスペーサーなどが加われば、その分だけ価格も上がります。
樹脂サッシの価格を比較するときは、次の条件をそろえる必要があります。
- ペアガラスかトリプルガラスか
- Low-Eガラスか
- ガラス間に封入されるガスの種類
- ガラス間のスペーサーの材質
- 引違い窓か縦すべり出し窓か
- 窓の大きさと枚数
- 網戸やシャッターを含むか
- 取付工事費を含むか
「樹脂サッシは何万円高い」と一律に判断することはできません。
生産量と流通量の違いも価格に影響する
日本では長い間、アルミサッシが広く使われてきました。
生産設備、流通、施工方法なども、アルミサッシを中心に整えられてきた背景があります。
一方、樹脂サッシは寒冷地を中心に普及し、現在は全国的に採用が広がっていますが、商品や地域によって価格差があります。
住宅会社が日常的に仕入れている商品であれば、まとめて発注できるため価格を抑えやすくなります。
反対に、標準仕様ではない樹脂サッシを一棟だけ特別に採用すると、追加費用が大きくなることがあります。
サッシメーカーの定価だけでなく、住宅会社の仕入れ条件や標準仕様も実際の価格を左右します。
輸送費と施工費も高くなりやすい
高性能な樹脂サッシは、フレームが厚く、トリプルガラスを組み合わせると重量も増えます。
大きな窓では、搬入や施工に必要な人数が増えることがあります。
重量のある窓を正しく取り付けるには、施工精度も重要です。
どれほど性能の高い窓でも、取付部分に隙間があったり、防水処理が不十分だったりすれば、本来の性能を発揮できません。
商品価格だけでなく、運搬、取付、防水、気密処理まで含めてコストがかかるのです。
窓は住宅の断熱性能に大きく影響する
断熱材を厚くしても、窓の性能が低ければ、窓から多くの熱が出入りします。
冬に窓際が寒いのは、窓から冷気が入っている場合だけではありません。室内の暖かい空気が冷たいガラスや窓枠に触れて冷やされ、下へ流れることでも寒さを感じます。
これをコールドドラフトと呼びます。
窓の断熱性能を高めると、窓の表面温度が下がりにくくなり、窓際の冷えや温度差を抑えやすくなります。
樹脂サッシの価格には、こうした室内環境を改善するための性能も含まれています。
結露を抑えやすい
室内の暖かく湿った空気が、冷たい窓やサッシに触れると結露が発生します。
樹脂サッシは室内側のフレーム表面が冷えにくいため、アルミサッシより結露を抑えやすくなります。
ただし、樹脂サッシにすれば絶対に結露しないわけではありません。
室内の湿度、外気温、換気、暖房方法、カーテンの状態、窓の設置場所によっては、樹脂サッシでも結露することがあります。
結露対策は、サッシだけでなく、断熱、気密、換気、室内湿度を含めて考える必要があります。
樹脂サッシなら必ず暖かいわけではない
窓の性能は、フレームの材質だけでは決まりません。
樹脂サッシでも、ガラス性能が低ければ熱は逃げます。反対に、アルミ樹脂複合サッシでも、高性能なLow-Eガラスや適切な窓配置を組み合わせることで、住宅全体の性能を高められます。
確認したいのは、商品名より窓全体の熱貫流率です。
窓の熱貫流率はUw値で示され、数値が小さいほど熱を通しにくくなります。
ただし、Uw値だけで選ぶのも十分ではありません。日射を取り入れる窓なのか、夏の日射を遮る窓なのかによって、選ぶガラスも変わります。
方角や地域の気候を考えず、すべての窓を同じ仕様にすればよいわけではありません。
窓を大きくしすぎれば費用も増える
窓の性能を高めるほど、一般的には一枚当たりの価格も上がります。
さらに、大きな窓を増やせば、サッシ代だけでなく、構造、防水、カーテン、シャッターなどの費用も増える可能性があります。
高性能住宅だからといって、窓を必要以上に大きくする必要はありません。
必要な場所へ、必要な大きさの窓を設けることが重要です。
窓の数と大きさを整理すれば、樹脂サッシを採用しても、住宅全体のコストを調整できる場合があります。
「安い窓をたくさん付ける」のではなく、「高性能な窓を必要な場所へ配置する」という考え方も必要です。
初期費用だけで判断すると失敗する
樹脂サッシを採用すれば、建築時の費用は高くなる可能性があります。
しかし、住宅は建てて終わりではありません。
冷暖房費、結露による清掃負担、窓際の寒さ、室内の温度差などは、住み始めてから長期間続きます。
数十万円の追加費用を避けた結果、何十年も寒さや暑さを我慢することになれば、本当に得だったとはいえません。
反対に、温暖な地域や窓の少ない設計で、必要以上に高価な窓を採用すれば、費用対効果が低くなる場合もあります。
初期価格だけでなく、地域、間取り、窓面積、冷暖房方法、居住期間を含めて判断することが大切です。
サッシを比較するときの確認項目
| 確認項目 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| フレーム | 樹脂・複合・アルミ | 材質だけで性能を決めない |
| ガラス | ペア・トリプル | 枚数だけでなくLow-E膜も確認 |
| ガス | 空気・アルゴン・クリプトン | ガラス間の厚みも確認する |
| スペーサー | アルミ・樹脂系 | ガラス端部の結露に影響する |
| Uw値 | 窓全体の断熱性能 | 数値が小さいほど熱を通しにくい |
| 日射取得率 | 日射を取り込む程度 | 方角に合わせて選ぶ |
| 開閉方式 | 引違い・すべり出しなど | 気密性や使い勝手が異なる |
| 施工 | 防水・気密・固定方法 | 商品性能だけでは判断できない |
| 総額 | 商品・運搬・施工費 | オプション総額で確認する |
住宅会社に聞くべき質問
樹脂サッシを検討するときは、次のように質問してください。
- 標準仕様のサッシは何ですか
- 標準仕様の窓全体のUw値はいくつですか
- ガラスはペアですか、トリプルですか
- Low-E膜とガスの仕様は何ですか
- 樹脂サッシへ変更した場合の総額はいくらですか
- 窓の大きさや枚数を減らした場合はいくら下がりますか
- 方角ごとにガラス仕様を変えていますか
- 窓まわりの防水・気密処理はどうしていますか
- 標準仕様で計算したUA値を確認できますか
- 完成後に気密測定を行いますか
大切なのは「樹脂サッシです」という営業トークではありません。
どの窓を、どこへ、何枚使い、その結果として住宅全体がどの程度の性能になるのかを確認してください。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、サッシだけを過剰に高性能化するのではなく、山梨県の気候と住宅全体のバランスを考えて仕様を決めています。
標準仕様は、Low-Eアルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシです。
壁厚約160mmの2×6工法、断熱等級6、UA値0.46以下、C値0.7以下を基準とし、全棟で気密測定を実施します。
さらに、熱回収率92%の第一種熱交換換気、8kW以上の太陽光発電などを組み合わせ、建築費だけでなく、住み始めてからの光熱費まで考えています。
窓だけ高性能でも、壁の断熱、建物の気密、換気計画、日射対策が不十分では、暖かく快適な家にはなりません。
樹脂サッシを希望する場合も、単純にオプションを追加するのではなく、窓の数、大きさ、方角、住宅全体のUA値、追加費用を確認したうえで判断することが大切です。
24坪平屋3LDKは、付帯工事、建築確認申請費、消費税込みで2,050万円。30坪二階建て3LDKは、同条件で2,200万円です。
性能の高い商品を並べながら、最終的な住宅価格が分からない見積りでは意味がありません。
窓の仕様を含め、住み始めるまでに必要な総額で比較する必要があります。
俺流結論
樹脂サッシが高いのは、樹脂という材料だけが理由ではありません。
熱を伝えにくいフレーム構造、高性能ガラス、気密部品、重量に対応する金物、精度の高い製造と施工にコストがかかるからです。
ただし、「樹脂サッシを使えば高性能住宅になる」という説明も正しくありません。
断熱材に隙間があり、気密測定もせず、換気計画も不十分なら、高価な窓の性能を生かせません。
反対に、地域と設計条件に合ったサッシを選び、窓の数や大きさを整理し、断熱・気密・換気を一体で設計すれば、費用を抑えながら快適な家をつくれます。
比べるべきなのは、窓一枚の価格ではありません。
住宅全体の断熱性能、施工品質、冷暖房費、そして住み始めるまでの総額です。
安い窓を選んで建築費を下げても、30年間、窓際の寒さと高い光熱費に悩めば、安い買い物ではありません。
同時に、必要性を説明できない高額な樹脂サッシを、商品名だけで選ぶ必要もありません。
「高いか、安いか」ではなく、その家に本当に必要な性能かで判断してください。
関連Q&A
- なぜトリプルガラスが必要なのか?
- なぜ壁の厚みが重要なのか?
- なぜ断熱材だけでは暖かくならないのか?
- なぜ同じ断熱等級でも暖かさが違うのか?
- なぜUA値だけでは性能は分からないのか?
- なぜC値を公開しない会社があるのか?
- なぜ光熱費に差が出るのか?
- なぜ寒い家がなくならないのか?










