Q.お客様が「もっと広くしたい」と言っても、小さく建てる提案をすることはありますか?
A.広さを増やす目的が、面積を足さなくても実現できる場合や、予算・維持管理への負担が大きくなる場合は、小さくまとめる案も検討したいと思います。広い家が悪いのではありません。使う場所を確保し、家族が無理なく住み続けられる面積を考えることが大切です。
広くしたい場所と理由を確認します
もっと広いリビングが欲しいという希望も、家具が入らない、収納が足りない、窓の外へ視線が抜けないなど、理由は異なります。延床面積を増やす前に、家具の配置、扉、収納、通路を確認すると、使える空間を確保できる場合があります。
例えば、廊下とリビングの境界を整理する、収納を使う場所へ配置する、家具の大きさを選び直すなどの案です。ただし、廊下をなくせば必ず良いとは限りません。音、視線、寝室への移動など、減らすことで失う役割も確認します。
来客用の部屋も、泊まる頻度や人数を聞きます。年に数回の宿泊のためだけに独立した部屋を増やすか、日常の空間を兼用できるかを比べます。親族が頻繁に泊まる家なら、個室を確保する価値があるでしょう。家庭ごとの事情で判断します。
今使う面積と将来使う面積を分けます
子どもの成長や独立、仕事、同居などで必要な空間は変わります。将来を考えることは大切ですが、可能性だけをすべて面積へ足すと、広さと支払いが増え続けます。起こりそうな変化と、まだ分からない変化を分けて考えます。
50代・60代の建て替えなら、毎日の生活を同じ階でまとめられるか、掃除や管理を続けられるかも確認したいところです。使わない部屋を維持するために、普段使う場所の断熱や動線、手元資金を犠牲にする必要がないかを見ます。
ただし、小さくするために通路や収納を無理に詰めるのも違います。夫婦が別々に過ごせる場所や、必要な作業スペースを失うと、暮らしが窮屈になる場合があります。延床面積の数字を小さくすること自体を目標にはしません。
費用は面積に比例するとは限りません
同じ設備や性能のまま面積を減らしても、キッチンや浴室などの費用が同じ割合で減るわけではありません。平屋と2階建て、屋根や外形、構造などでも差は変わります。1坪減らせば必ず何十万円という計算で予算を決めず、実際の変更見積もりで確認します。
仮に30坪案と27坪案を比べるなら、減る3坪が何の空間かを示します。廊下や目的のない余白なのか、必要な収納や個室なのかで意味が異なります。金額の差と、家族が得る使いやすさの差を一緒に見ます。
建築後の支出も検討します。大きな住宅は、条件によって冷暖房、清掃、補修の対象が増えます。ただし、小さいから必ず光熱費が何割減ると一律には言えません。断熱性能や使い方をそろえ、比較する前提を明確にします。
ご家族で一緒に使う空間と、一人で落ち着ける空間が両方残るかも確認します。小さい案でも、その配分を工夫できれば、単に面積を詰めた計画とは違う使い方を検討できます。
面積を判断するには次の4点を確認します。
・現在、広さが足りずに困っている具体的な場面。
・増やしたい部屋を使う人と頻度。
・面積を足さずに解決する配置や兼用の方法。
・広い案と小さい案の総額、性能、維持管理の違い。
当社へは、必要な家具と持ち物も教えてください。荷物が入らないまま小さくして、後で外部収納や増築を考えると、かえって負担が増えることがあります。今あるものを全部残すか、入居を機に整理するかも、設計前に話し合うと役立ちます。
私は、広さへの憧れを否定するために小さい案を出したいのではありません。必要な場所が使いやすく、家のために暮らしを削らずに済む計画を考えたいと思います。広さを増やす案と整理する案を比べて、家族が納得する面積を選んでください。
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参照資料 S2










