空気がきれいな家とは?
結論から言うと、空気がきれいな家とは、室内で発生する汚染物質を減らし、必要な外気を取り入れ、汚れた空気と湿気を計画的に排出できる家です。
高価な空気清浄機や自然素材を採用しただけでは、空気がきれいな家とは言えません。
重要なのは、次の五つです。
- 汚染物質の発生源を減らす
- 住宅の気密性を確保する
- 24時間換気を正しく機能させる
- 外気を適切なフィルターから取り入れる
- 温度・湿度と設備を管理する
空気は目に見えません。だからこそ、「自然素材の家」「健康住宅」という言葉ではなく、建材、気密、換気、フィルター、維持管理という具体的な仕組みで判断する必要があります。
室内の空気を汚すもの
住宅の中では、人が生活するだけでもさまざまな物質が発生します。
- 人の呼吸による二酸化炭素
- 調理や入浴で発生する水蒸気
- ほこりやハウスダスト
- 建材や家具などから発散する化学物質
- スプレーや洗剤、芳香剤などの成分
- 調理中に発生する油煙や微粒子
- カビ、ダニ、花粉
- 燃焼器具から発生する排気
新築時に適切な建材を選んでも、入居後に購入した家具、カーテン、日用品などが室内空気へ影響する可能性があります。
そのため、建築時の対策だけでなく、住み始めてからの換気と清掃も欠かせません。
発生源を減らすことが最優先
室内空気対策の基本は、汚れた空気を設備で処理する前に、原因となるものをできるだけ室内へ持ち込まないことです。
住宅の内装材には、ホルムアルデヒドの発散量に応じた表示があります。しかし、F☆☆☆☆の建材を使用すれば、すべての化学物質がゼロになるわけではありません。
また、「自然素材だから安全」とも一律には言えません。自然由来の材料でも、においや揮発成分が発生することがあり、体質によって感じ方も異なります。
建材だけでなく、接着剤、塗料、防蟻処理、造作家具、持ち込み家具まで確認することが大切です。
化学物質に敏感な家族がいる場合は、契約前に住宅会社へ伝え、使用材料の情報を確認してください。必要に応じて、引き渡し前の室内空気測定も選択肢になります。
高気密住宅は空気が悪くなるのか?
高気密住宅だから空気が悪くなるわけではありません。
気密性が高い住宅は、壁や床、窓まわりなどから無秩序に外気が入る量を抑え、給気口から外気を取り入れやすくなります。
一方で、24時間換気を止めれば、室内で発生した二酸化炭素、湿気、におい、化学物質などが滞留しやすくなります。
つまり問題は、高気密そのものではなく、高気密に見合った換気が行われていないことです。
気密性を確保し、給気する場所、空気が通る経路、排気する場所を設計することで、室内の空気を管理しやすくなります。
詳しくは、高気密と換気の関係とは?をご覧ください。
空気清浄機と換気は役割が違う
空気清浄機は、室内の空気を吸い込み、フィルターを通して室内へ戻す設備です。
製品やフィルターの性能に応じて、ほこりや花粉などを捕集できますが、一般的な空気清浄機には外気を取り入れる機能がありません。
二酸化炭素や湿気を屋外へ排出するためには、換気が必要です。
同じように、一般的な家庭用エアコンも、室内の空気を循環させて温度を調整する設備であり、原則として換気設備ではありません。
- 換気:外気を取り入れ、室内空気を排出する
- 空気清浄機:室内空気をろ過して循環させる
- エアコン:室内の温度や湿度を調整する
それぞれの役割を理解し、組み合わせて使用する必要があります。
フィルター性能だけで選ばない
第一種換気では、給気側のフィルターを通して外気を取り入れられます。
フィルターの性能によって、花粉、ほこり、虫などの侵入を抑える効果が期待できます。ただし、すべての汚染物質を完全に除去できるわけではありません。
玄関の開閉、衣類、洗濯物、人の出入りからも花粉やほこりは持ち込まれます。
さらに、高性能なフィルターほど空気抵抗が大きくなる場合があります。換気設備の能力に合わないフィルターを使用すると、必要な給気量を確保できない可能性があります。
比較する際は、捕集性能だけでなく、次の点を確認してください。
- 何をどの程度捕集できるか
- 清掃と交換の頻度
- 交換フィルターの価格
- 入手しやすさ
- 必要風量を確保できるか
- フィルター交換の作業性
花粉対策として住宅にできることは、花粉症に効果はある?でも説明しています。
湿度管理が空気環境を左右する
室内の水蒸気量が多く、窓や壁の表面温度が低いと結露が発生しやすくなります。湿った状態が続けば、カビやダニが繁殖しやすい環境になります。
反対に、冬の室内が乾燥しすぎると、目や喉、肌に不快感を覚えることがあります。
そのため、加湿器を無条件に強く運転するのではなく、温湿度計で室内の状態を確認することが大切です。
湿度は、室温、外気温、家族の人数、室内干し、調理、入浴などによって変化します。住宅の窓性能によって、結露が始まる条件も異なります。
結露の原因と対策は、気密と結露の関係とは?をご覧ください。
24時間換気は止めない
冬に給気口から冷気を感じる、音が気になる、電気代を節約したいといった理由で、24時間換気を止めてしまうケースがあります。
しかし、換気を止めれば、室内で発生する汚染物質や湿気を排出しにくくなります。
必要なのは、換気を止めることではなく、止めたくならない換気計画です。
- 給気口の位置が適切か
- 寝室で運転音が気にならないか
- 冬の給気温度をどう考えるか
- 各室へ空気が流れるか
- 必要な換気量を確保できるか
- 手入れしやすい場所に設備があるか
設備の種類だけでなく、住宅全体の空気の流れを見る必要があります。本当に良い換気とは?も参考にしてください。
入居後に空気をきれいに保つ方法
空気がきれいな家は、建てた時点で完成するものではありません。
住み始めてから、次の管理が必要です。
- 24時間換気を原則として止めない
- フィルターを定期的に清掃・交換する
- 給排気口を家具やカーテンでふさがない
- レンジフードを適切に使用する
- 結露やカビを放置しない
- 寝具や床を定期的に清掃する
- 芳香剤やスプレー類を使いすぎない
- 燃焼器具を使用するときは十分に換気する
CO₂モニターを利用すると、在室人数や換気状況による変化を確認する目安になります。ただし、CO₂濃度だけで、化学物質や花粉、カビなどを含む室内空気質のすべてを判断することはできません。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、空気環境を換気設備だけの問題とは考えていません。
基本としている性能は次のとおりです。
- 断熱等性能等級6
- UA値0.46以下
- C値0.7以下
- 全棟気密測定
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
山梨県は冬の朝晩が冷え込み、夏は高温になります。
冬に冷たい外気が給気口からそのまま入れば、換気を止めたくなる可能性があります。そこで、断熱・気密・熱交換換気を組み合わせ、室温を維持しながら換気を続けやすい住宅を目指します。
ただし、高性能な設備を採用すれば、何もしなくても空気がきれいになるわけではありません。フィルター清掃、湿度管理、日常の掃除まで含めて説明することが住宅会社の役割だと考えています。
俺流ポイント
私はお客様に、
「空気がきれいという言葉を、においだけで判断しないでください」
とお話ししています。
良い香りがする家が、空気のきれいな家とは限りません。自然素材を使った家、高価な空気清浄機がある家、熱交換率の高い換気設備がある家も、それだけでは完成しません。
見るべきなのは、
汚染物質を減らす建材選び、C値を測定した気密性能、計画された換気経路、適切なフィルター、続けられるメンテナンス。
家族は、家の中で毎日何度も呼吸します。
だからこそ、目に見える豪華な設備より、目に見えない空気の流れにお金と手間をかける。
それが、本当に空気がきれいな家をつくる基本です。










