気密で後悔する人とは?
結論から言うと、気密で後悔しやすいのは、「高気密」という言葉やC値だけで住宅を選んでしまった人です。
気密性の高い家が危険なのではありません。後悔の原因になるのは、次のような確認不足です。
- 完成した住宅のC値を測定していない
- 断熱性能とのバランスを見ていない
- 換気経路まで設計されていない
- 24時間換気を止めてしまう
- フィルター清掃や交換方法を知らない
気密は、住宅の快適性や省エネ性を支える重要な性能です。しかし、気密だけを単独で高めれば、良い家になるわけではありません。
気密性能とは何か?
住宅の気密性能とは、建物にどの程度の隙間があるかを示す性能です。
一般的には「C値」という数値で表され、床面積1㎡当たりに存在する隙間の面積を示します。単位は㎠/㎡で、数値が小さいほど隙間が少ない住宅です。
C値は設計図から計算するものではありません。専用の機械を使った気密測定によって確認します。
そのため、住宅会社が「高気密住宅です」と説明していても、測定していなければ実際の性能は分かりません。
詳しい数値の見方は、C値とは?で解説しています。
気密で後悔する5つのケース
1.「高気密」という説明だけで契約した
高気密住宅には、全国共通の明確な呼称基準がありません。
住宅会社が高気密と説明していても、C値の目標や測定方法が明らかでなければ、性能を客観的に判断できません。
契約前には、少なくとも次の点を確認する必要があります。
- C値の基準はいくつか
- 全棟で気密測定を行うか
- 測定結果を書面で受け取れるか
- 基準を満たさなかった場合に補修するか
モデルハウスの数値や過去の最高記録ではなく、自分が建てる家を測定するかが重要です。
2.C値だけを競ってしまった
C値0.3とC値0.5のどちらが優れているかという数値競争に意識が向きすぎると、家づくりの本来の目的を見失います。
気密は大切ですが、住宅性能は総合力です。
- 断熱性能を示すUA値
- 窓や玄関ドアの性能
- 日射取得と日射遮蔽
- 換気設備と換気経路
- 冷暖房計画
- 耐震性能
これらが揃って、快適で安全な住環境になります。
C値が非常に小さくても、断熱材が不足していたり、窓の性能が低かったりすれば、暖かい家になるとは限りません。高気密高断熱はセットなのか?もあわせてご覧ください。
3.換気計画を確認しなかった
高気密住宅では、自然に発生する隙間風が少なくなります。その分、計画された給気口から外気を取り入れ、排気口から汚れた空気を出すことが重要です。
住宅では、建築基準法に基づく24時間換気設備の設置が原則として必要です。ただし、設備が付いているだけで十分とは限りません。
給気口と排気口の位置、室内ドアの通気、ダクトの施工状態まで考えられて、初めて空気が計画した経路を流れます。
気密と換気は対立する性能ではなく、気密が換気の土台になります。詳しくは高気密と換気の関係とは?で説明しています。
4.24時間換気を止めてしまった
「冬に冷たい空気が入る」「運転音が気になる」「電気代を抑えたい」といった理由で、24時間換気を止めてしまうケースがあります。
しかし、換気を止めると、二酸化炭素、におい、湿気、家具などから発生する化学物質が室内に滞留しやすくなります。
国土交通省の高断熱住宅に関する設計ガイドでも、24時間換気を止めないことや、給排気口のフィルターを定期的に清掃することが示されています。
換気を止めたくなる住宅は、気密性が高すぎるのではなく、換気方式や給気位置、設備の音、温熱環境に問題がある可能性があります。
5.メンテナンス方法を知らなかった
換気設備は、設置して終わりではありません。
フィルターにほこりや虫が詰まると、必要な風量を確保しにくくなります。給気口を家具やカーテンでふさいでも、換気の流れが崩れます。
後悔を防ぐには、引き渡し時に次の内容を確認しておくことが大切です。
- フィルターの清掃頻度
- 交換部品の品番と費用
- 給排気口の位置
- 異音や風量低下が起きた場合の連絡先
- 定期点検の有無
住まい手が無理なく管理できることも、換気システムを選ぶ重要な条件です。
気密測定は「実施するか」だけでは不十分
気密測定には、工事途中に行う測定と、完成後に行う測定があります。
工事途中の測定には、隙間を発見して補修しやすい利点があります。一方、完成後の測定では、設備工事まで終えた住宅の最終的な性能を確認できます。
大切なのは、測定の時期、条件、基準値、基準未達時の対応まで確認することです。
また、C値は住宅全体の隙間を合計した数値であり、隙間がどこに集中しているかまでは示しません。測定数値だけでなく、施工中に気密層の連続性を確認する品質管理も必要です。
デザインハウス甲府の気密に対する考え方
私たちは、気密性能を宣伝用の数字ではなく、断熱と換気を正しく機能させるための基礎と考えています。
住宅性能の基本方針は次のとおりです。
- 断熱等性能等級6
- UA値0.46以下
- C値0.7以下
- 全棟で気密測定
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
山梨県は、冬の冷え込みが厳しい一方、夏は高温になる地域です。断熱・気密・換気・日射設計を切り離さず、季節を通して室温を整えやすい住宅を目指しています。
ただし、同じ仕様を採用すれば、すべての住宅が同じ性能になるわけではありません。間取り、窓の配置、施工精度、敷地条件によって結果は変わります。
だからこそ、カタログ上の仕様だけでなく、実際の住宅を測定して確認することを大切にしています。
俺流ポイント
私はお客様に、
「C値を自慢する会社より、C値を測る会社を選んでください」
とお話ししています。
気密で後悔する人は、高気密を選んだ人ではありません。
数値の根拠を確認せず、換気や断熱とのバランスを見ないまま家を建ててしまった人です。
家づくりの目的は、小さなC値を記録することではありません。
冬に足元が冷えにくく、冷暖房が効きやすく、必要な空気が計画的に入れ替わる家をつくることです。
山梨県で高気密住宅を検討する場合は、住宅会社に「C値はいくつですか」と聞くだけでなく、全棟測定しているか、換気まで設計しているか、結果をどのように保証するかまで確認してください。
数値と仕組みの両方を理解して選ぶことが、気密で後悔しない家づくりにつながります。










