暖かい家の条件とは?断熱等級だけでは決まらない
暖かい家とは、大きなエアコンや床暖房で大量に熱をつくる家ではありません。
少ない暖房でも室温を保ち、リビングだけでなく、廊下、トイレ、洗面脱衣室まで温度差を小さくできる家です。
そのためには、断熱等級やUA値だけでなく、C値、窓、日射、換気、暖房計画、間取り、施工精度まで一体で考える必要があります。
「断熱等級6だから暖かい」「高性能エアコンだから安心」という説明だけでは、実際の室温までは分かりません。
暖かさを決める7つの条件
冬に暖かい家をつくるには、主に次の7つの条件が必要です。
- 地域に合った断熱性能
- 実測で確認された気密性能
- 窓と玄関ドアの断熱性能
- 冬の日射を利用する設計
- 熱を捨てすぎない換気計画
- 暖房負荷に合った暖房設備
- 図面どおりの断熱・気密施工
一つだけ高性能にしても、ほかの部分が弱ければ暖かさは逃げます。
暖かい家は、高性能な商品を一つ付けた家ではなく、熱の出入りを住宅全体で管理した家です。
条件1 断熱等級とUA値
断熱性能は、暖かい家の土台です。
断熱等級は、住宅の外皮性能を段階的に示したものです。数字が大きいほど、より高い断熱性能が求められます。
UA値は、住宅内部から外部へどの程度熱が逃げやすいかを示す数値です。数値が小さいほど、熱が逃げにくい住宅になります。
ただし、UA値は住宅全体の平均値です。
同じUA値でも、窓の大きさや位置、断熱材の施工状態、間取りなどによって、室内で感じる暖かさは変わります。
また、UA値が低くても暖房を使わなければ、室温が自動的に一定になるわけではありません。
暖房でつくった熱を逃がしにくくする性能と考えるのが正確です。
条件2 実測された気密性能
断熱材を厚くしても、建物に隙間が多ければ、暖かい空気が外へ逃げ、冷たい外気が室内へ入ります。
住宅の隙間の大きさを示すのがC値です。数値が小さいほど、隙間が少ない住宅になります。
重要なのは、C値は図面や断熱等級から自動的に決まらないことです。
現場で実際に施工した建物を気密測定しなければ、本当のC値は確認できません。
「高気密仕様です」という説明だけで、測定を行っていない住宅会社には注意が必要です。
気密性能については、C値とは?で詳しく解説しています。
条件3 窓と玄関ドアの性能
住宅では、屋根や壁だけでなく、窓や玄関ドアからも熱が出入りします。
窓の断熱性能は、ガラスだけでは決まりません。
次の内容を組み合わせて考える必要があります。
- サッシ枠の材質
- 複層または三層ガラス
- Low-E膜の種類
- ガラス間の中空層
- アルゴンガスなどの封入
- スペーサーの材質
- 窓の大きさと設置方位
「Low-Eガラスだから高性能」とは限りません。サッシとガラスを組み合わせた窓全体の性能で比較してください。
大きな窓を増やせば明るく開放的になりますが、断熱性能や日射の影響も大きくなります。
窓については、Low-Eガラスとは?も参考にしてください。
条件4 冬の日射を利用する
冬の日差しは、暖房エネルギーを使わずに室内へ熱を取り込める重要な要素です。
敷地条件が合えば、南側の窓から冬の日射を取り入れることで、日中の暖房負荷を抑えられる可能性があります。
ただし、南側に大きな窓を付ければ必ず暖かくなるわけではありません。
隣家や山、樹木によって日差しが遮られる土地もあります。また、夜になると窓から熱が逃げます。
設計時には、建物の方位、周囲の建物、冬の太陽高度、窓の断熱性能まで確認する必要があります。
カタログの間取りを土地へ置くだけでは、本当の日射計画にはなりません。
条件5 夏の日射遮蔽も同時に考える
冬の日射取得だけを優先すると、夏に暑い家になる可能性があります。
南側では軒や庇によって夏の高い日差しを遮り、冬の低い日差しを取り入れる設計が考えられます。
東西の窓には低い角度から日射が入るため、窓の大きさ、ガラス、外付けシェードなどの対策が必要です。
冬だけ暖かく、夏は冷房が効かない家では、高性能住宅とはいえません。
一年を通して、日射を入れる時期と遮る時期を考えることが重要です。
条件6 熱を捨てすぎない換気
暖かい家でも、換気を止めることはできません。
室内で発生する二酸化炭素、湿気、においなどを排出し、新鮮な外気を取り入れる必要があるからです。
第三種換気は、暖めた室内空気を排出し、冷たい外気を自然給気口から取り入れます。
熱交換型の第一種換気は、排気する空気が持つ熱を回収し、外気を室温へ近づけてから給気します。
外気が室温と同じになるわけではありませんが、換気による熱損失や給気口付近の冷気を和らげやすくなります。
換気の仕組みは、第一種換気とは?をご覧ください。
条件7 暖房負荷に合った設備計画
高断熱住宅でも、山梨の冬に暖房設備が不要になるとは限りません。
大切なのは、住宅の暖房負荷を確認し、必要な能力の暖房設備を適切な位置へ配置することです。
一般的なエアコンの「畳数の目安」は、断熱性能が低い住宅を前提にしている場合があります。
高断熱住宅にそのまま当てはめると、必要以上に大きなエアコンを選ぶ可能性があります。
反対に、大きな吹き抜けや高天井があるのに、暖気の流れを考えなければ、足元が寒くなることもあります。
エアコンの台数を増やす前に、住宅全体の熱損失、換気による熱損失、日射取得、間取りを確認する必要があります。
断熱等級6でも寒い家はある
断熱等級6を取得していても、必ず同じ暖かさになるわけではありません。
例えば、次の条件があれば体感温度に差が出ます。
- 気密測定を行っていない
- 大きな窓が多い
- 北側の窓が多い
- 冬の日射が入らない
- 給気口から冷気を感じる
- 断熱材に隙間や欠損がある
- 暖房能力や配置が合っていない
- 吹き抜けの空気循環を考えていない
断熱等級は重要な基準ですが、暖かさの完成を保証する言葉ではありません。
住宅会社には、等級だけでなく、UA値、実測C値、窓仕様、換気方式、暖房負荷計算まで確認してください。
本当に見るべき室温
「リビングが暖かい」だけでは、暖かい家とはいえません。
確認したいのは、真冬の朝に暖房をしていない場所の温度です。
- 廊下
- トイレ
- 洗面脱衣室
- 寝室
- 床付近
断熱性能が高い住宅は、暖房していない部屋の自然室温も保ちやすく、部屋間の温度差を小さくする効果が期待できます。
国土交通省の調査でも、室温や部屋間の温度差と居住者の健康関連事象との関連が報告されています。
ただし、健康効果は個人差があり、住宅性能だけで疾病を予防・治療できると断定するものではありません。
デザインハウス甲府の暖かい家
デザインハウス甲府では、暖かさを設備一つではなく、住宅性能の組み合わせで考えています。
重視しているのは、次の内容です。
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- C値0.7以下
- 全棟で気密測定
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
- 窓と日射を考えた設計
- 住宅性能に合った暖房計画
暖房を強くする前に、つくった熱を逃がさない。
これが、暖かい家をつくる基本です。
俺流ポイント
私なら、「断熱等級6だから暖かいです」という説明だけでは住宅会社を選びません。
確認するのは、UA値、実測C値、窓の仕様、換気方式、冬の日射、暖房負荷、施工中の断熱確認です。
さらに、「真冬の朝、廊下や洗面脱衣室はどの程度の室温を想定していますか」と聞きます。
明確な条件を示さず、「暖かいですよ」と答えるだけなら、それは性能説明ではなく感想です。
高級なエアコンで寒さを押さえ込む家より、少ない暖房で家全体の温度を保てる家を選ぶ。
暖かい家をつくる順番は、暖房設備より先に、断熱・気密・窓・日射・換気です。
完成後にエアコンは交換できますが、壁の中の断熱材や気密層をやり直すのは簡単ではありません。
山梨県甲府市・甲斐市周辺で暖かい家を検討している方には、断熱等級だけでなく、UA値、気密測定、窓、換気、暖房計画まで具体的にご説明します。










