第一種換気と第三種換気はどちらが良い?
結論から言うと、山梨県で高断熱・高気密住宅を建て、冬の快適性を重視するなら、第一種熱交換換気が適しています。
一方、初期費用、機器交換費、仕組みの単純さを優先するなら、第三種換気も合理的な選択です。
第一種換気が常に優れているわけでも、第三種換気が性能の低い換気方式というわけでもありません。
判断するポイントは次の五つです。
- 建築する地域の気候
- 住宅の断熱・気密性能
- 冬の給気温度
- 初期費用と維持費
- 清掃・交換を続けられるか
換気方式の名前だけでなく、家全体で必要な空気を入れ替えられるかを確認する必要があります。
第一種換気と第三種換気の違い
第一種換気は、給気と排気の両方を機械で行います。
第三種換気は、排気だけを機械で行い、給気口から自然に外気を取り入れます。
第一種換気
- 給気:機械
- 排気:機械
- 熱交換:搭載できる
- 初期費用:比較的高い
- 機器構成:比較的複雑
- 給排気:調整しやすい
第三種換気
- 給気:自然給気口
- 排気:機械
- 熱交換:一般的には行わない
- 初期費用:比較的安い
- 機器構成:比較的単純
- 室内圧力:負圧になりやすい
重要なのは、第一種換気のすべてに熱交換機能があるわけではないことです。
第一種換気と第一種熱交換換気は、分けて考える必要があります。第一種換気とは?でも詳しく解説しています。
第一種熱交換換気のメリット
第一種熱交換換気は、室内から排出する空気の熱を回収し、外から取り入れる空気へ移します。
例えば冬に外気温が0℃、室温が20℃の場合、第三種換気では基本的に0℃に近い外気が給気口から入ります。
温度交換効率92%の第一種熱交換換気なら、単純計算上は18.4℃程度まで室温へ近づけて給気できます。
実際の給気温度は、風量、湿度、ダクト、本体の設置場所、外気条件などによって変わりますが、冷たい外気をそのまま入れないことは、冬の快適性につながります。
主なメリットは次のとおりです。
- 換気による熱損失を抑えやすい
- 冬の冷たい給気を和らげやすい
- 夏の高温な給気を和らげやすい
- 給気と排気を機械で調整できる
- 給気側フィルターで外気を取り入れられる
- 冷暖房負荷を抑える効果が期待できる
国土交通省の高断熱住宅に関する設計ガイドでも、断熱性の高い住宅では、換気による熱損失を抑えるために熱交換型第一種換気を選ぶことが望ましいとされています。
第一種換気のデメリット
第一種換気は、給気側と排気側の両方にファンを使用するため、第三種換気より設備構成が複雑です。
- 初期費用が高くなりやすい
- 二つのファンを動かす電気が必要
- フィルターの清掃・交換が必要
- ダクト設計と施工品質が性能を左右する
- 本体やモーターの交換費用がかかる
- 運転音が問題になる場合がある
- 点検スペースを確保する必要がある
熱交換率が高くても、必要な換気量が確保されていなければ意味がありません。
本体性能だけでなく、ダクトの長さ、曲がり、給排気口の配置、風量調整、清掃方法まで確認することが大切です。
第三種換気のメリット
第三種換気は、排気ファンと自然給気口を組み合わせる比較的シンプルな方式です。
主なメリットは次のとおりです。
- 初期費用を抑えやすい
- 機器構成が単純
- 消費電力を抑えやすい
- 故障時の修理や交換を考えやすい
- メンテナンス箇所が比較的少ない
温暖な地域や、冷たい給気が大きな問題になりにくい住宅では、費用とのバランスが良い場合があります。
「第一種でなければ高性能住宅にならない」という考え方は正確ではありません。第三種換気でも、建物の気密性能と換気経路が適切なら、必要な換気量を確保できます。
第三種換気の仕組みは、第三種換気とは?をご覧ください。
第三種換気のデメリット
第三種換気では、外気を基本的にそのまま給気します。
山梨県のように冬の朝晩が冷え込む地域では、給気口付近で冷気を感じる可能性があります。
- 冬に冷たい外気が入りやすい
- 給気口付近が寒くなりやすい
- 換気による熱損失が大きくなりやすい
- 給気口を閉じられる可能性がある
- 室内が負圧になりやすい
- 強いレンジフード使用時は給気不足に注意が必要
寒さを理由に給気口を閉じると、別の隙間から外気が入り、計画した換気経路が崩れます。
第三種換気を選ぶ場合は、給気口の位置をベッドやソファの近くから外すなど、冷気を直接感じにくい設計が重要です。
どちらも気密性能が必要
「第三種換気なら隙間が多くても自然に換気できる」という考え方は間違いです。
住宅に隙間が多いと、給気口ではなく、床、壁、窓まわりなどから外気が入ります。その結果、給気口から遠い部屋では、必要な空気が入りにくくなる可能性があります。
第一種換気も同じです。
建物に隙間が多ければ、熱交換器を通らない外気が入り、せっかくの熱交換性能を生かせません。
第一種でも第三種でも、計画換気の土台は気密です。
C値は設計値ではなく、実際の住宅で測定する必要があります。気密測定は必要?も参考にしてください。
電気代だけで比較しない
第三種換気は、一般的にファンの消費電力を抑えやすい方式です。
第一種熱交換換気は給気と排気のファンを動かすため、換気設備自体の消費電力は増える傾向があります。一方、排気する空気から熱を回収するため、冷暖房負荷を抑える効果が期待できます。
どちらが経済的になるかは、次の条件で変わります。
- 地域の外気温
- UA値とC値
- 住宅の大きさ
- 換気風量
- 熱交換効率
- ファンの消費電力
- 冷暖房時間
- 電気料金
- 機器の交換費用
そのため、「第一種は必ず元が取れる」「第三種は必ず安い」とは断定できません。
初期費用、設備の電気代、冷暖房費、フィルター代、将来の交換費まで含めて比較する必要があります。
メンテナンス性を確認する
どちらの換気方式も、設置して終わりではありません。
第一種換気は、外気側と室内側のフィルター、本体、給排気口などの清掃が必要です。第三種換気も、自然給気口のフィルターや排気ファンへほこりがたまります。
契約前には次の内容を確認してください。
- フィルターの清掃頻度
- 交換部品の価格
- 本体やファンの寿命
- 将来の交換方法
- 日常的に手が届くか
- ダクト内部をどのように管理するか
性能が高くても、清掃が難しく、換気を止めてしまう設備では意味がありません。
デザインハウス甲府の選択
デザインハウス甲府では、山梨県の気候と住宅性能を踏まえ、第一種熱交換換気を基本としています。
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
- 断熱等性能等級6
- UA値0.46以下
- C値0.7以下
- 全棟気密測定
山梨県は、冬の朝晩に外気温が大きく下がります。
第三種換気で冷たい外気をそのまま入れるより、排気する室内空気から熱を回収し、給気温度を室温へ近づけるほうが、高断熱住宅とのバランスが良いと考えています。
ただし、第一種換気を採用しただけで快適になるわけではありません。
断熱、気密、換気経路、風量調整、メンテナンスまで含めて設計する必要があります。
俺流ポイント
私はお客様に、
「第一種か第三種かではなく、なぜその方式を選んだのか聞いてください」
とお話ししています。
第三種換気は安いから悪い。
第一種換気は高いから良い。
この比較では、本当に必要な性能は分かりません。
山梨県で断熱等級6、UA値0.46以下の家を建てるなら、私は第一種熱交換換気を選びます。冬の冷たい給気を和らげ、換気を止めずに暮らしやすくする価値があるからです。
ただし、見るべきなのは換気設備の名前だけではありません。
C値を測定しているか。必要風量を確保できるか。運転音は問題ないか。清掃できるか。将来交換できるか。
ここまで確認して、初めて換気方式を正しく比較できます。
家づくりの目的は、第一種換気を採用することではありません。家族が一年中、無理なく換気を続けられる空気環境をつくることです。










