気密測定は必要?
結論から言うと、高気密住宅を建てるなら気密測定は必要です。
現在、すべての新築住宅に気密測定を義務付ける法律はありません。しかし、住宅の気密性能は、設計図や採用した断熱材だけでは確認できません。
実際に建てた住宅を測定しなければ、C値は分からないからです。
「高気密仕様です」
「気密には自信があります」
「過去にC値0.3が出ました」
このような説明だけでは、自分が建てる住宅の性能を証明したことにはなりません。
気密測定とは?
気密測定とは、専用の測定器を使って住宅全体の隙間の大きさを調べる検査です。
一般的には送風機で室内の空気を外へ出し、室内と屋外の圧力差、送風量などを測定します。その結果から住宅全体の総相当隙間面積を算出し、延床面積で割った数値がC値です。
C値の単位は㎠/㎡で、数値が小さいほど隙間の少ない住宅を示します。
国土交通省の高断熱住宅に関する設計ガイドでも、気密性能は計算では求められず、実測で確認することが示されています。
C値の詳しい意味は、C値とは?をご覧ください。
なぜ設計図だけでは分からないのか?
UA値は、断熱材や窓などの仕様と面積を基に計算できます。
一方、C値は現場の施工結果です。
住宅には、気密性能へ影響する場所が数多くあります。
- 壁と床の接合部
- 壁と天井の接合部
- 窓や玄関ドアのまわり
- コンセントやスイッチ部分
- 給排水管の貫通部
- 電気配線の貫通部
- 換気ダクトのまわり
- 点検口や床下収納庫
同じ設計、同じ断熱材、同じ工法でも、施工方法や確認体制によって完成後のC値は変わります。
したがって、「この工法なら高気密になる」という説明だけでは不十分です。
気密測定で分かること
気密測定を行う最大の目的は、計画した気密性能が実際の住宅で確保されているか確認することです。
気密性を確保すると、次の効果が期待できます。
- 隙間風を抑えやすい
- 漏気による熱損失を減らしやすい
- 断熱性能を生かしやすい
- 計画換気を機能させやすい
- 壁の中への湿った空気の流入を抑えやすい
ただし、気密測定で分かるのは住宅全体の隙間量です。
断熱材の欠損、窓の断熱性能、換気風量、壁内結露の有無まで、C値だけで確認できるわけではありません。
気密は重要ですが、断熱や換気とのバランスが必要です。高気密高断熱はセットなのか?でも詳しく説明しています。
気密測定はいつ行うのか?
気密測定には、主に「工事途中」と「完成時」の二つのタイミングがあります。
工事途中の測定
断熱・気密工事が終わり、内装材で壁や天井をふさぐ前に測定します。
隙間が見つかった場合に原因を探し、補修しやすいことがメリットです。気密層が見える段階なので、施工改善にも役立ちます。
ただし、その後に電気、設備、換気などの工事が入るため、完成時の数値と同じになるとは限りません。
完成時の測定
建物と設備工事が完了した状態で測定します。
住み始める住宅に近い状態の最終的なC値を確認できることがメリットです。一方、壁や天井が仕上がっているため、問題が見つかった場合に補修できる範囲が限られます。
理想は、工事途中に施工品質を確認し、必要に応じて完成時にも最終性能を確認することです。
測定回数が1回の場合は、実施時期と、基準未達時にどのような対応をするのかを契約前に確認してください。
測定結果を見るときの注意点
測定結果は、C値だけを見ればよいわけではありません。
給気口、排気口、レンジフードなど、計画された開口部は測定条件に従って処理します。そのため、どこを一時的にふさいだのか、どのような状態で測定したのかによって結果の意味が変わります。
確認したい項目は次のとおりです。
- 測定日と建物の施工段階
- 延床面積
- 総相当隙間面積
- C値
- 減圧法か加圧法か
- 一時的に処理した開口部
- 測定時の内外温度
- 測定者
- 測定結果報告書の有無
自社測定だから信用できない、第三者測定なら必ず正確という単純なものではありません。
重要なのは、一定の測定方法に基づき、条件と結果が記録された報告書を受け取れることです。
C値はいくつならよいのか?
現在の省エネ基準には、全国一律のC値基準が設けられていません。
しかし、国土交通省の「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」では、HEAT20が目指すべき気密性能の目安として、C値0.7±0.2㎠/㎡を示していることが紹介されています。
住宅会社を比較する場合は、単に最小記録を見るのではなく、次の違いを見るべきです。
- 基準値を明示しているか
- 全棟で測定しているか
- 平均値や実績を説明できるか
- 基準を超えた場合に補修するか
- 結果を書面で渡すか
過去最高のC値0.2より、すべての住宅でC値0.7以下を確認する仕組みのほうが、契約者にとって再現性があります。
気密測定をしない住宅会社の説明
気密測定を実施しない理由として、次のような説明を受けることがあります。
「この断熱材なら自然に気密が取れる」
「職人の技術が高いから測る必要はない」
「過去の住宅では良い数値が出ている」
「断熱等級が高いから問題ない」
しかし、断熱等級やUA値はC値の証明にはなりません。
気密は施工結果であり、測定しなければ数値として確認できません。「高気密」と広告へ表示するのであれば、その根拠を住宅会社が説明できることが重要です。
測定しない高気密住宅の問題点は、気密で後悔する人とは?でも解説しています。
デザインハウス甲府の気密測定
デザインハウス甲府では、気密性能をカタログ上の仕様だけで終わらせないため、次の基準を設けています。
- C値0.7以下
- 全棟で気密測定
- 測定結果を数値で確認
- 断熱等性能等級6
- UA値0.46以下
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
山梨県は冬の冷え込みが厳しく、夏は高温になる地域です。
隙間が多ければ、断熱材へ費用をかけても外気が侵入し、冷暖房した空気も逃げやすくなります。また、換気設備も計画どおりに空気を動かしにくくなります。
だからこそ、設計上の断熱性能と、現場で実測する気密性能の両方を確認します。
俺流ポイント
私はお客様に、
「測らないC値は、性能ではなく予定値です」
とお話ししています。
完成すると、壁や天井の中にある気密層は見えなくなります。住み始めてから隙間を探し、大規模に補修することは簡単ではありません。
だからこそ、建築中に測り、必要なら直すことに意味があります。
住宅会社を比較するときは、「気密測定をしますか」だけで終わらせず、次のように聞いてください。
全棟で測りますか。基準値はいくつですか。いつ測りますか。基準を超えたら補修しますか。結果は書面でもらえますか。
この質問への回答に、その会社の気密性能に対する考え方が表れます。
高気密という言葉を信用するのではなく、自分が建てる一棟の測定結果で確認する。それが、気密性能で後悔しない家づくりです。










