Q.社長自身も、見た目や憧れを優先して後悔したことはありますか?
A.あります。たくさんあります。住宅会社の社長だからといって、見た目や憧れを優先して後悔することがないわけではありません。私もその経験があるからこそ、今から建てる方には、気に入ったものを選ぶ前に、暮らしの中でどう使うかまで確かめてほしいと思っています。
憧れを持つこと自体は大切にしてほしいと思います
家には、機能や価格だけでは測れない価値があります。好きな外観や素材、空間を選ぶ楽しさは、家づくりの大事な部分です。好みをすべて我慢し、実用だけで決めれば満足できるとも思いません。
一方、写真を見て気に入った状態と、毎日使い続ける状態は違います。見学したときの美しさに加え、家具や日用品を置いた後、掃除をするとき、家族の状況が変わったときまで考えて選びたいと思います。
後悔した経験が多いという私の答えは、何を選んでも失敗するという意味ではありません。選ぶ前に見ていた良さと、使う中で気になる負担を、同じ重さで比べられていたかを振り返る材料にしたいと考えています。
具体的な設備を選ぶ場面を例にすると、見せる収納なら、飾る物だけでなく日用品の置き場も必要です。高い場所の照明なら、明るさや形に加え、清掃や交換の方法を確認します。いずれも、設計段階で考えるための例です。
私なら選ぶ前に手を動かして確かめます
見た目が好きな設備ほど、実際に操作したり、掃除する場所を見たりしておきたいと思います。毎日使う人が手を伸ばす、扉を開く、物を出し入れする。そこで分かることは、写真だけで決める際の印象と違う場合があります。
例えば、毎日5分の手入れが必要だと仮定すると、年間では約30時間です。これは特定の製品の作業時間ではなく、自分が続けられるかを考えるための計算例です。その時間をかけても楽しみたいなら、選ぶ価値はあると思います。
素材については、新品のサンプルだけでなく、使用年数が分かる実例を見られると参考になります。傷や色の変化を好きだと思えるか、補修したいと感じるか。好みと維持管理を合わせて判断したいところです。
お金を払えば解決できる作業でも、依頼先と費用を確認しておきます。掃除や交換を専門業者へ頼む場合、その頻度と予約の方法まで分かれば、選んだ後の暮らしを具体的に考えられます。自分で全部できることだけを条件にはしません。
後悔を次の人の確認点へ変えたいと考えます
私の経験をお伝えする際も、社長が後悔したから、その設備は全員避けるべきだとは結論づけません。同じものでも、家族の使い方、寸法、配置、管理の仕方が違えば、評価も変わります。何が合わなかったかを分けることが大切です。
これから選ぶ方には、次の4点を確認することを勧めます。
・気に入った理由を、自分の言葉で説明できるか。
・普段の生活で、誰がどう使うかが決まっているか。
・清掃、修理、交換の方法と費用を理解しているか。
・採用しない案や、ほかの製品とも比べたか。
家族で受け止め方が違うこともあります。本人は楽しめる手入れでも、ほかの人が担当するなら負担になるかもしれません。選ぶ人と管理する人が同じとは限らないので、役割も一緒に考えてほしいと思います。
また、使っていないから失敗、頻繁に使うから成功という単純な評価もしません。見るたびにうれしいものや、たまに使う時間を楽しみにできるものもあります。自分たちが何に満足するかを共有することが、選ぶときの判断材料になります。
私も後悔しているからこそ、良い点だけを並べた説明にはしたくありません。憧れをかなえるために、どんな費用と手間を引き受けるのかまで確かめる。そのうえで選んだものなら、変化にも向き合いやすくなると思います。
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