法人成り直後は、過去の自営業実績を使える?
結論 :法人成り前の実績を使えるかは個別確認になる
A 法人成り直後に、個人事業時代の実績を住宅ローン審査で使えるかは、金融機関と商品の取扱いによります。同じ仕事を続けていても、本人の所得から役員報酬へ変わり、事業の名義や決算期間も変わります。「通算できる」「法人が新しいので全部不可」のどちらも一律にはいえません。
個人事業時代の資料が補足になる場合でも、法人の業績や現在の報酬を確認しなくてよいとは限りません。銀行の必要書類には、会社役員に本人の収入と会社決算の両方を求める例があります。法人成りの時期と出せる資料を先に伝え、申込対象か確認しましょう。[資料03]
法人成りには、実際の仕事が続いていても、借主本人が個人事業主から役員等へ変わる面があります。事業実績の通算、役員報酬の認定、法人決算の必要性を一つにまとめて判断しません。銀行へ、個人時代の申告と法人の資料をどう扱うかを聞きます。「前から同じ仕事だから勤続も所得も全て引き継ぐ」という説明だけで、借入可能額を確定しないことです。
個人と法人の事業を時系列でつなぐ
個人事業の開始日、法人成りの日、法人の決算期、役員報酬の開始時期を整理します。事業内容、取引先、設備、契約、従業員等がどのように引き継がれたかも、必要に応じて説明できるようにします。同じ屋号を使っていることだけで、銀行が同一の事業と判断するとは限りません。
個人時代の売上を、法人になった後の本人の給与収入として申告しないでください。個人の所得、法人の売上・利益、本人の役員報酬は別の数字です。過去の実績を示すときも、どの主体のどの期間の資料なのかを明記し、銀行が比較しやすい形へ整理します。個人の最終申告と法人の最初の決算の対象期間も並べ、同じ売上を二重に数えたり、説明のない空白期間を作ったりしないよう確認してください。
個人事業の開始、法人設立、事業移管、役員就任、報酬開始を年表にします。取引先、業務、従業員、設備等で何が継続し、何が変わったかも整理します。個人の売上と法人の売上を重ねて本人の収入にしません。法人成り前後で請求・入金の名義が違う場合、二重計上や未収の混乱がないよう、税理士等と資料の関係を確認してください。
まだ決算がない場合の取扱いを聞く
法人の一期目が終わっていない、短い決算期間しかない、役員報酬の実績が数か月だけ、といった状況を銀行へ伝えます。個人時代の申告書、法人の試算表、報酬の資料等のうち、何を確認できるかを照会してください。提出すれば必ず代替として認められるわけではありません。
申込対象外の場合は、何期分の資料が必要か、次に相談できる時期を聞きます。法人の年数が増えれば自動的に通るのではなく、その間の業績、本人収入、借入、納税等も関係します。「決算を待つ間にどの資料を整えるか」を税理士と確認し、年月だけを待つ状態にしないようにしましょう。
法人決算がまだない場合は、現時点で相談可能な商品か、初回決算を待つ必要があるかを銀行へ聞きます。月次資料、登記事項、役員報酬の資料等を補足できても、正式決算の代わりとして必ず採用されるとは限りません。必要な年数や時期が判明したら、その条件を満たす予定を住宅の契約工程へ反映します。期限の短い土地契約を先行させないことが重要です。
会社と本人の資金移動を明確にする
設立時の出資、会社への貸付、会社からの貸付、役員報酬、個人事業時代の借入の引継ぎ等を整理します。口座が分かれたことで、お金の性質まで分からなくならないようにしてください。会社の資金を本人の頭金へ使う場合も、正式な根拠と税務・資金繰りへの影響を確認します。
例えば個人時代の預金を法人口座へ移しているなら、住宅決済時に自由に戻せるとは限りません。返還予定、必要な手続き、会社が残す運転資金を専門家へ照会します。銀行へ示す自己資金は、名義だけでなく、実際にその日使えるかまで確認することが重要です。
法人の設立で預けた保証金や出資等は、個人の普通預金と同じように引き出せるとは限りません。住宅の自己資金へ含める前に、返還できる条件と時期を専門家へ確認してください。法人化によって資金の名義や性質が変わったものを一覧にし、決済日に使える額だけで計画を作ります。
本人と法人の間の貸借、資本金、立替、役員報酬を分けます。会社へ出資したお金は、本人が自由に引き出せる預金と同じではありません。会社から借りた頭金は、返す義務があれば銀行へ伝えます。仮定例で個人預金300万円を出資へ使い、残り100万円なら、法人成り前の300万円を住宅の自己資金へ重ねて数えることはできません。
法人成り後の手取りで住宅予算を作る
役員報酬を設定した後の手取り、会社の社会保険負担、税金、事業借入の返済等を入れて家計を作ります。個人事業時代の利益が同じでも、家庭が毎月使える額は変わり得ます。住宅を買うためだけに報酬を高く設定し、会社の資金を圧迫する計画は避けてください。
会社が好調な場合と、報酬を下げる必要がある場合を比較します。自己資金を増やす案も、事業の安全資金を残して成立するかを確認しましょう。法人成りと住宅建築を同時に急ぐより、先に会社の収支を安定させる案も含め、家族の入居希望と合わせて判断します。
法人成り前の所得と、後の役員報酬の額面・手取りは違います。税・社会保険、会社へ残す運転資金、個人の生活費を再計算します。報酬が一時的に高く設定されても、会社が払い続けられるかを確認します。住宅の返済へ合わせて会社の資金を薄くするより、報酬が下がったケースでも暮らせる借入額にする方が、家族と事業を同時に守りやすくなります。
相談では通算と証明方法を分けて質問する
銀行には「個人事業の実績をどう位置づけるか」「法人の必要期数は何期か」「本人の認定年収にどの報酬実績を使うか」を聞きます。税理士にはその説明に必要な資料を依頼し、銀行向けだけの決算や所得を作ることはしません。実際の申告・決算と一致させてください。
住宅会社には、審査の確認時期と使える自己資金を共有します。法人成り前の経験は説明材料になり得ますが、過去と現在を正しくつなぐ資料が必要です。法人の年齢だけで判断せず、本人と会社の収入、借入、資金の流れを整理してから、契約と支払いの順番を決めましょう。
質問は「事業の継続年数は何で確認しますか」「本人の収入はどの資料のどの欄ですか」「法人の実績はいつ必要ですか」に分けます。通算可能という回答だけで全条件が整ったと思わず、認定収入と必要資料の一覧を受け取ります。法人成りによる税務・資金の変化は専門家と整理し、銀行の回答を得てから家の総額、自己資金、契約時期を決めてください。
関連URL
1 SBI新生銀行 審査のお申し込み方法および条件
申込みに必要な所得・事業関係資料を確認できます。法人成り前後の実績の扱いは個別に相談します。
https://www.sbishinseibank.co.jp/retail/housing/flow/examination/?intcid=hou1_snavi_34
2 国税庁 事業所得の課税のしくみ
個人事業の所得の仕組みを確認できます。法人成り前の売上と所得を区別して説明する際に使います。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm










