床材に「クッション性」や「滑りにくさ」を重視すべき理由と、おすすめの素材は?
A. シニア住宅の床は、見た目より「滑りにくい・つまずかない・転倒時の衝撃を抑える」の3点を優先します。ただし、柔らか過ぎる床も歩行や車椅子には不向きです。
高齢になると、足が上がりにくくなり、わずかな段差やカーペットの端でも転倒することがあります。
一方、床材を柔らかくすればすべて安全になるわけではありません。沈み込みが大きい床は、杖や歩行器が安定せず、車椅子も動かしにくくなる場合があります。
「転ばない床」と「転んだときの床」は別
床材には、2つの安全性が必要です。
転倒を防ぐ性能
- 靴下でも滑りにくい
- 水に濡れても急に滑りやすくならない
- 足先が引っ掛かり過ぎない
- 部屋の境目に段差がない
- 床材の継ぎ目が浮かない
転倒時のけがを軽減する性能
- 適度なクッション性がある
- 表面が硬過ぎない
- 下地まで含めて衝撃を抑える
「滑りにくさ」だけを強くすると、足先が床へ引っ掛かり、かえってつまずくことがあります。滑らなさと歩きやすさのバランスが重要です。
おすすめ1.クッションフロア・長尺シート
トイレ、洗面脱衣室、キッチンなど、水を使う場所に向いています。
- 水に強い
- 掃除しやすい
- 適度なクッション性がある
- 継ぎ目を少なくできる
- 比較的交換しやすい
ただし、柔らかい製品は家具や介護ベッドの脚でへこみやすく、車椅子が動きにくい場合があります。住宅用の見た目だけで選ばず、耐久性や車椅子対応を確認してください。
おすすめ2.滑りにくい住宅用フローリング
LDK、廊下、寝室など、広い範囲にはフローリングが現実的です。
- 車椅子や歩行器を動かしやすい
- 掃除しやすい
- 家具を置きやすい
- 将来売却する際も一般世帯に受け入れられやすい
光沢が強く表面が滑りやすい製品は避け、マット仕上げや高齢者・ペット対応など、滑りに配慮した商品を選びます。
ワックスを塗ることで、逆に滑りやすくなる場合もあります。指定された手入れ方法を確認しましょう。
おすすめ3.コルク床
コルクは適度な弾力と温かみがあり、寝室や個室に向く場合があります。
- 足触りが柔らかい
- 冬に冷たさを感じにくい
- 転倒時の衝撃を抑えやすい
- 歩行音を軽減しやすい
一方、日焼け、水分、家具によるへこみ、表面仕上げの摩耗には注意が必要です。水回りへ採用する場合は、製品の耐水性を確認してください。
カーペットは全面採用を慎重に
カーペットは転倒時の衝撃を抑えますが、シニア住宅では次の問題があります。
- 車椅子や歩行器が動かしにくい
- 杖先が引っ掛かる
- 端部がめくれる
- 食べこぼしや失禁時の掃除が難しい
- ダニやほこりの管理が必要
- 床材との境目に段差ができる
採用するなら、毛足が短く、床へ固定できる製品を選びます。置くだけのラグや小さな玄関マットは、最もつまずきやすいため注意してください。
畳は柔らかいが、介護向きとは限らない
畳は転倒時の衝撃を抑えやすい一方、床に座った状態から立ち上がる動作はシニアに負担がかかります。
また、車椅子や介護ベッドで傷みやすく、敷居との段差ができる場合もあります。
和室を設けるなら、小上がりにせず、ほかの床と同じ高さにする方が安全です。
場所ごとに床材を使い分ける
| 場所 | 向いている床材 | 注意点 |
|---|---|---|
| LDK・廊下 | 滑りにくいフローリング | 光沢、ワックス、継ぎ目 |
| 寝室 | フローリング、コルク、衝撃緩和床 | 介護ベッドのへこみ |
| トイレ・洗面 | クッションフロア、長尺シート | 濡れたときの滑り |
| 玄関 | 防滑性のあるタイル・シート | 外部と室内の段差 |
| 脱衣室 | 水に強い防滑床 | 足裏が濡れた状態で確認 |
家全体を同じ床材にする必要はありませんが、床材を切り替える部分に段差を作らないことが重要です。
サンプルは靴下で確認する
カタログの「滑りにくい」という表示だけでは、実際の感覚は分かりません。
大きめの床材サンプルを取り寄せ、次の状態で確認してください。
- 靴下
- 素足
- 室内履き
- 杖
- 水で少し濡れた状態
現在使用している車椅子や歩行器があれば、実物で動かせるか確認するのが確実です。
床材より段差と動線を優先する
高価な衝撃吸収床を採用しても、敷居、見切り材、ラグ、電気コードがあれば転倒リスクは残ります。
- 室内段差をなくす
- 引き戸のレールを埋め込む
- 小さなマットを置かない
- 足元を明るくする
- 手すり下地を準備する
- 寝室からトイレまでを短くする
これらを床材選びと一緒に行う必要があります。
デザインハウス甲府では、柔らかい床材を全面に採用するのではなく、歩行、掃除、車椅子、将来の交換まで考えて場所ごとに選びます。
シニア住宅で安全な床とは、最も柔らかい床ではありません。毎日つまずかずに歩けて、濡れても滑りにくく、介護が始まっても使い続けられる床です。










