Q.将来の介護に備える設備は、今付けるものと後から付けるものをどう分けますか?
A.後で変えにくい動線、空間の広さ、出入口、下地や配線などを先に検討し、使う人の状態で適切な形が変わる設備は、必要になる時期に選ぶ方法を考えます。ただし、現在すでに困っていることがあるなら先延ばしにしません。将来と今の必要性を分けて判断します。
設備を増やす前に生活する経路を考えます
寝室、トイレ、洗面、浴室などをどう移動するかを確認します。同じ階で生活をまとめられるか、夜間の移動が長すぎないか、出入口や曲がり角に余裕があるかが大切です。手すりを後から付ければ、すべて解決するわけではありません。
空間の広さは、本人が通るだけでなく、介助する人や道具が必要になった場合も考えます。ただし、車いすの種類や身体の状態などで必要な寸法は変わります。すべての家に同じ数値を当てはめるより、現在の使い方と想定する変化を確認します。
国土交通省の高齢期の住まいに関するガイドラインでも、動線や温熱環境など、住まい全体への配慮が示されています。新築で考える場合も、段差だけに目を向けず、寒暖差、照明、使う場所のまとまりを検討することが役立ちます。
下地や準備だけを先にする方法があります
後で手すりを付ける可能性がある場所では、壁の下地を検討します。ただし、どの位置にも取り付けられると約束するものではありません。下地の範囲を図面に残し、実際に設置するときは、その人の動作と適した位置を確認します。
将来の設備に備える場合は、配線や空間の確保も検討対象になります。設置する製品が未定なら、準備しておけば必ず使えるとは限りません。メーカーの条件や施工方法が変わる可能性を考え、何を見込み、何が未確定かを整理します。
特にホームエレベーターは、場所だけ空ければ簡単に取り付けられる設備ではありません。構造、基礎、寸法、電源などの確認が必要です。私自身は自宅で試して勧めるようになった設備ですが、すべての方に今から必要だという意味ではありません。
本人に合わせる設備は時期を見て選びます
手すりの形や位置、入浴を助ける用具などは、使う方の身体状況に合わせて選ぶ必要があります。将来のために付けたものが、現在の通路や作業を妨げることもあります。取り外しや変更がしやすい方法も含めて比較します。
すでに介助が必要、転びそうになる、階段の利用が難しいなどの場合は、建築の相談に加え、ケアマネジャーやリハビリなどの専門職と条件を共有することが役立ちます。住宅会社だけで身体に合う使用方法まで判断するのではなく、必要な助言を設計に反映します。
補助や介護保険の制度を利用する予定がある場合も、対象者、工事、申請時期などを個別に確認します。今から設備を付ければ後で必ず支援を受けられる、という前提で予算は組みません。制度と本人の必要性を混同しないことが大切です。
判断には次の4点を使ってください。
・現在の生活ですでに困っていること。
・後から変更すると工事が大きくなる部分。
・本人の状態が決まってから選ぶ方がよい設備。
・今の準備費と、将来の施工・維持管理の負担。
予算を考えるときは、将来の可能性だけで高価な設備を全部採用せず、日常の安全と使い勝手を優先します。反対に、何も準備しないまま後でどうにかなると考えるのも避けたいところです。今と将来の工事を分けて、必要な備えを選びます。
当社へは、家族構成と現在の動作で気になる点を教えてください。将来の状態は確定できませんが、変えにくい場所を先に整えることは検討できます。設備の数を増やすことより、家族が長く使い続けやすい計画を大切にしたいと思います。
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