夫婦の満額収入で借りると、何を見落とす?
結論 :二人の満額収入が続く前提には弱点がある
A 夫婦の現在の収入を最大限使って借りると、育休、時短、病気、転職、介護等への余裕を見落としやすくなります。銀行が二人分の収入を認めても、その働き方を何十年も続けられると保証するものではありません。借入可能額より、収入が変わったときの家計から予算を決めましょう。
収入が減るだけでなく、保育、医療、家事の外注、通勤等の支出が変わる場合もあります。「片方が休んでも住宅返済だけ払える」ではなく、生活費と税金、修繕、教育、貯蓄まで含めて成立するかを確認します。家を建てた後に働き方を変える選択肢を残すことが大切です。
夫婦の満額収入を全て長期返済の根拠にすると、働き方を変える余地が小さくなることがあります。銀行が認める借入上限と、家族が選ぶ住宅総額を分けます。出産、育児、介護、病気、退職等は、片方だけの問題ではありません。二人の収入が少しずつ落ちる場合も考え、予備資金と住宅費を確認します。借りられる額から生活を合わせる順序にしないことが大切です。
二人の手取りと家計の役割を整理する
各人の固定給、残業、賞与、副業等を分け、実際の手取りを確認します。片方の給与から生活費、もう片方から住宅と貯蓄を出す家庭も、家計全体で何にいくら使うかを一覧にしてください。口座が別だから相手の支出は分からない、という状態で共同の借入額を最大化しないようにします。
例えば世帯手取り50万円、住宅関連費15万円、生活・車等25万円、教育・積立等8万円という仮定では、残りは2万円です。この時点で余裕があると思っても、どちらかの手取りが5万円減れば赤字になります。これは比較用の例で、収入に対する安全な比率を示すものではありません。
各人の手取り、賞与、生活費への負担、既存返済、積立を一覧にします。二人とも自分の給与全額が返済余力だと思うと、共通の生活費を見落とします。仮定例で手取り合計45万円、住宅以外の支出と積立30万円なら、住居費等へ回す残額は15万円です。その15万円に税・保険・修繕等も含めるなら、ローンだけで15万円を使う計画とは違います。
人生の変化を年表へ入れる
出産、育休、保育、子どもの進学、親の介護、各人の退職等の予定を置きます。正確な年を決められないこともありますが、費用が重なる期間を見つけることはできます。二人が同時に満額勤務できない時期を考え、その期間に住宅の修繕や車の買替えが来るかも確認してください。
片方が退職したいと思ったとき、家の返済だけが理由で選択できなくなる計画は避けたいものです。転職で一時的に収入が下がる案や、介護で働く時間が減る案も試します。家族が望む働き方を先に話し、その生活へ合う家の面積や仕様、土地予算を選びましょう。
二人とも忙しい働き方を続ける場合、家事や送迎を支える支出が増える可能性も見ます。住宅返済を払うために労働時間を増やし、そのために別の費用が増えていないかを確認してください。通勤や保育等に使う時間とお金も含め、家の場所と予算が生活へ合うかを考えます。
年表は、子どもの進学、車の更新、親の介護、定年、年金、設備交換等を並べます。各年の収入と支出を完全に予測することはできませんが、重なりやすい時期を見つけられます。家族の働き方が変わる予定は、銀行へも正確に伝えます。数年後に必ず通常勤務へ戻る等の未確定の希望だけで、高い月返済を選ばないことが重要です。
収入減と金利上昇を分けて試す
手取りが減るケース、住宅返済が増えるケースを別々に計算し、必要なら同時に起きる案も確認します。変動金利の場合は、銀行へ複数の金利条件の返済表を依頼してください。返済額の見直しを抑える仕組みがある商品でも、利息の負担がなくなるわけではありません。
試算の目的は将来の金利を当てることではなく、生活がどこまで対応できるかを知ることです。赤字になる場合は、借入額、返済期間、自己資金の配分、建築総額を組み直します。期間を延ばして月額だけ下げる場合も、総支払と退職後の残高を確認し、負担を先へ送っただけになっていないか見ましょう。
収入減だけ、金利上昇だけ、同時発生の三つを比べます。仮定例で手取り45万円が35万円となり、住宅費等13万円、その他生活費・積立25万円なら月3万円不足です。さらに金利等で返済が月1万5,000円増える想定なら、不足は4万5,000円になります。これは説明用の仮定です。実際の金利改定や返済ルールは商品で確認し、支出のどこを変えられるかも考えます。
債務と保障を二人別々に確かめる
ペアローンと収入合算では、各人が負う責任と団信が違います。どちらかが亡くなった場合、病気で収入が下がった場合に、どの借入が残るかを確認してください。団信に入っていれば失業や時短もすべて保障される、と考えないことが重要です。[資料11・12]
既存の保険、預貯金、勤務先の保障等を合わせ、住宅残高と生活費の不足を分けて見ます。保険を増やす場合も費用が家計へ加わります。借入額を下げること自体が、毎月の負担と万一の必要保障を調整する方法にもなるため、商品を追加する案だけで比較しないようにしましょう。
ペアローン、合算、団信では、二人の債務と保障を別々に確認します。片方の収入が減ることと、団信の支払事由が生じることは同じではありません。育児や一般的な収入減を全て保険が補うとは考えません。保障を増やす案も費用と条件を確認し、毎月の予備費まで削らないようにします。通常時と万一の生活を分けて試算することが大切です。
残す資金から家の総額を決める
銀行には審査年収と認定条件を、家計相談では実際の手取りと将来の支出を確認します。住宅会社へは「二人の借入上限ではなく、この返済額と予備資金で収まる総額を提案してほしい」と伝えます。希望が増えたときも、将来の収入増を前提に予算を上げないでください。
二人で借りることが問題なのではなく、二人とも常に最大限働ける前提だけで契約することが問題です。片方の収入が減っても必要な生活を維持できるか、何をどれだけ残せるかを確認しましょう。住まいが働き方を縛るのではなく、家族の生活を支える予算になることを優先してください。
先に、生活予備費、教育、老後、車・設備等へ残す額を決め、その後に住宅の総額を選びます。足りなければ、規模、形状、設備、土地、購入時期等を調整します。二人の収入を使うこと自体ではなく、二人が常に最大限働かなければ成立しない状態を避けることが重要です。借入の承認より、家族の選択と必要資金が残る計画を優先してください。
関連URL
1 住宅金融支援機構 住宅ローンシミュレーション
収入減少時に借入額や期間を変える試算に使えます。実際の手取りと生活費も別の家計表で確認します。
https://www.flat35.com/simulation-info/index.html
2 住宅金融支援機構 フラット35の収入合算
収入合算の条件を確認できます。審査上の合算額と将来続けられる働き方を分けて検討します。










