Q. 何度も住宅ローンを申し込むと、審査へ影響する?
A. 複数の申込みだけで、必ず住宅ローンが否認されるわけではありません。ただし、短期間に多くの金融機関へ申し込むと、照会履歴が信用情報に残り、金融機関から「なぜ続けて申し込んでいるのか」と慎重に見られる可能性があります。結果が出る前に、手当たり次第申し込むべきではありません。
住宅ローンの相談で、
「一つの銀行が駄目なら、次へ出しましょう」
「多く申し込めば、どこかは通ります」
「事前審査なので、何行出しても問題ありません」
と言われることがあります。
確かに、金融機関によって住宅ローンの商品や審査基準は異なります。
一つの金融機関で希望どおりにならなくても、別の金融機関では承認される可能性があります。
しかし、理由も整理せず、短期間に次々と申し込むのは適切ではありません。
住宅ローンの申込みに伴って金融機関が信用情報を照会した記録は、一定期間残るからです。
住宅ローンを申し込むと照会記録が残る
金融機関は、住宅ローンの申込みを受けると、申込者の同意に基づいて信用情報を確認します。
信用情報には、ローンやクレジットの契約内容、返済状況だけでなく、新規申込みに伴う照会の事実も記録されます。
CICでは、ローンなどの新規申込みに関する照会日、商品名、契約予定額、照会会社名などの申込情報が、照会日から6か月間保有されます。CIC・保有する信用情報
全国銀行個人信用情報センターでも、会員に提供される照会記録情報は利用日から6か月を超えない期間とされています。
したがって、短期間に複数の金融機関へ申し込めば、金融機関が複数の照会履歴を確認できる可能性があります。
複数申込みがあるだけで否認とは限らない
住宅ローンを2行、3行へ申し込むこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。
金利、手数料、団体信用生命保険、借入期間などを比較するため、複数の金融機関へ相談することはあります。
また、住宅会社や不動産会社から、条件の異なる金融機関を提案されることもあります。
ただし、
- 同じ時期に何行へ申し込んだか
- 申込金額が一貫しているか
- 他行で否認された形跡がないか
- 既存借入れが多くないか
- 申告内容に違いがないか
- 短期間にカードや自動車ローンも申し込んでいないか
などを総合的に見られる可能性があります。
審査方法は金融機関ごとに異なるため、
「何行までなら絶対に大丈夫」
という共通の安全ラインはありません。
「申込みブラック」は正式な審査結果ではない
短期間に多くのローンやクレジットへ申し込んだ状態を、一般に「申込みブラック」と呼ぶことがあります。
しかし、これは信用情報機関が設定する正式な事故情報の名称ではありません。
申込みが複数あるだけで、延滞や債務整理と同じ情報になるわけでもありません。
問題は、照会履歴を見た金融機関が、独自の審査でどのように判断するかです。
例えば、
- 他行で何度も否認されたのではないか
- 資金計画が定まっていないのではないか
- 申告していない借入れがあるのではないか
- 借入れを急いでいる理由があるのではないか
- 返済能力に不安があるのではないか
と確認される可能性があります。
複数申込みが自動的に否認を意味するのではなく、審査担当者へ余計な疑問を持たせる可能性があるということです。
まず否認・減額の原因を考える
一つ目の金融機関で希望どおりの結果が出なかったとき、すぐ次へ申し込むのではなく、原因として考えられる項目を整理してください。
- 希望借入額が大きい
- 返済負担率が高い
- 自動車ローンが残っている
- カードローンやリボ残高がある
- 勤続年数が短い
- 転職直後
- 自営業で所得が安定していない
- 過去の支払い遅れ
- 健康状態と団体信用生命保険
- 物件の担保評価
- 建築地に特殊な条件がある
- 申告内容や提出書類に不一致がある
金融機関が否認理由を具体的に説明しないこともあります。
それでも、住宅会社や相談担当者は、申込内容を見直し、次にどの金融機関へ、何を改善して申し込むのかを整理するべきです。
原因を変えずに申込先だけ変えても、同じ結果が続く可能性があります。
事前審査を一斉送信してはいけない
相談会社や住宅会社へ個人情報を渡したところ、本人が十分に理解しないまま、複数の金融機関へ事前審査が出されることには注意が必要です。
事前審査前には、最低でも次の点を確認してください。
- どの金融機関へ申し込むのか
- 何行へ申し込むのか
- それぞれを選んだ理由
- 希望借入額
- 返済期間
- 申告する既存借入れ
- 個人信用情報の照会への同意
- 審査結果を共有する相手
「比較のためです」と言われても、目的の分からない一斉申込みへ同意する必要はありません。
一行目の結果を待ち、必要に応じて次の金融機関を選ぶ方法もあります。
住宅会社ごとに申込内容が変わる危険
複数の住宅会社と商談していると、それぞれの担当者が別の金融機関へ事前審査を出す場合があります。
例えば、
| 住宅会社 | 申込先 | 希望借入額 |
|---|---|---|
| A社 | X銀行 | 3,500万円 |
| B社 | Y銀行 | 4,000万円 |
| C社 | Z銀行 | 4,500万円 |
このように短期間で希望額が大きく変わると、資金計画が定まっていないように見える可能性があります。
また、各担当者へ伝えた自動車ローン残高や勤務先情報が違っていれば、申告内容に不一致が生じます。
事前審査は住宅会社ごとに任せるのではなく、申込者自身が全体を管理する必要があります。
金利比較と審査通過目的を分ける
複数申込みには、大きく二つの目的があります。
条件を比較するため
- 金利
- 事務手数料
- 保証料
- 団体信用生命保険
- 返済期間
- 繰上返済条件
を比較する目的です。
否認後に通る金融機関を探すため
一つ目の金融機関で否認または減額承認となり、別の審査基準を持つ金融機関へ相談する目的です。
前者なら、比較したい金融機関を2行程度に絞る方法があります。
後者なら、否認の原因を推測し、その事情に対応できる可能性のある金融機関を選ぶ必要があります。
目的を分けず、何となく5行、6行へ申し込むべきではありません。
3行比較と10行連続申込みは意味が違う
例えば、同じ一か月間でも、
- 金利タイプの違う3行へ、同じ条件で申し込む
- 否認されるたびに条件を変えて10行へ申し込む
のでは意味が違います。
前者は比較目的と説明できます。
後者は、資金計画、申告内容、否認理由を整理する必要があります。
申込み件数だけで審査結果が決まるわけではありませんが、件数が増えるほど、申込者自身も次の情報を管理しにくくなります。
- いつ申し込んだか
- どの金額で申し込んだか
- 何の書類を提出したか
- 既存借入れをどう申告したか
- どの結果が出たか
- 次回に何を改善したか
住宅ローンの申込みは、数を打つ営業活動ではありません。
否認直後に条件を変えず申し込まない
一行で否認された後、翌日に別の金融機関へ同じ内容で申し込んでも、状況が改善していない可能性があります。
まず、次の順序で見直します。
- 申告内容に誤りがないか確認する
- 既存借入れを一覧にする
- 希望借入額を再検討する
- 自己資金を確認する
- 建築総額を見直す
- 物件条件を確認する
- 必要なら本人の信用情報を確認する
- 次の金融機関を選ぶ理由を明確にする
自動車ローンの完済や借入額の減額など、改善できる項目があるなら、先に対応したほうが合理的です。
自分の信用情報を確認する方法もある
過去の支払い状況や申込履歴に心当たりがない場合は、本人が信用情報機関へ開示を申し込む方法があります。
主な信用情報機関には、
- CIC
- JICC
- 全国銀行個人信用情報センター
があります。
利用していたクレジット会社、消費者金融、銀行などによって、登録先が異なる可能性があります。
開示情報の読み方が分からない場合は、金融・法律の専門家へ相談してください。
なお、開示結果に問題が見当たらなくても、住宅ローンの承認を保証するものではありません。
金融機関は信用情報以外の項目も含めて総合的に判断します。
相談会社へ確認すべき10の質問
- 事前審査は何行へ申し込みますか
- それぞれの金融機関を選ぶ理由は何ですか
- 同時に申し込む必要がありますか
- 一行目の結果を待ってから判断できますか
- 申込金額と返済期間は統一されていますか
- 私の既存借入れを正確に確認しましたか
- 過去の申込履歴について確認しましたか
- 否認された場合、原因を整理してくれますか
- 本人の同意なく別の金融機関へ出しませんか
- 審査結果と提出内容の控えをもらえますか
「何行出しても大丈夫です」という説明だけで進めないでください。
何を目的に、どの順番で申し込むのかを決める必要があります。
複数申込みを避けるための実践手順
- 家計から無理なく返せる金額を決める
- 既存借入れを正確に整理する
- 希望する金利タイプを決める
- 自分の条件に合う金融機関を選ぶ
- 申込先を必要な範囲に絞る
- 同じ内容で申し込む
- 結果が出るまで新たな借入れをしない
- 否認・減額の場合は原因を整理する
- 改善策を実行してから次を検討する
- 申込先、日付、金額、結果を記録する
比較のための申込みと、手当たり次第の申込みを区別してください。
結論
何度も住宅ローンへ申し込んだからといって、それだけで必ず否認されるわけではありません。
しかし、短期間の複数申込みに伴う照会履歴は一定期間確認され得ます。
金融機関から、
「なぜこれほど多く申し込んでいるのか」
「他行で否認された理由があるのではないか」
と慎重に判断される可能性があります。
住宅ローン審査は、数を打てば当たるものではありません。否認の原因を整理せず、申込先だけ増やすほど状況が分かりにくくなります。
大切なのは、
- 申込先を選ぶ理由
- 正確で一貫した申告
- 無理のない借入額
- 否認・減額時の原因整理
- 本人の同意と申込記録
です。
相談会社や住宅会社へ事前審査を任せきりにせず、どの金融機関へ、どの条件で申し込むのかを自分でも把握してください。
審査を何度も出す担当者ではなく、一回ごとの結果を分析し、次の申込みに理由を持たせられる相談相手を選ぶことが重要です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










