Q.お客様が強く希望しても、社長が「その間取りは勧めません」と言うのはどんなときですか?
A.安全性や必要な性能に問題がある、毎日の動作に無理がある、家族のプライバシーや予算に大きな負担が残る場合です。ただ、希望を否定して終わらせるのではなく、何を実現したいのかを伺い、目的を満たす別の案を考えることが大切だと思います。
希望する形より暮らしの目的を聞きます
例えば、大きな吹き抜けを希望する理由が、明るさなのか、開放感なのか、家族の気配を感じたいのかで、必要な計画は変わります。写真と同じ形にすることだけを目標にすると、音、空調、掃除などの条件を見落とすことがあります。
私は、吹き抜けだから必ず寒い、回遊動線だから無駄と一括りにはしたくありません。建物の性能や使い方で結果は変わります。ご家族が何を望み、何に困る可能性があるかを、図面に生活の動作を重ねて確かめます。
キッチン、洗濯、帰宅、就寝など、毎日繰り返す動作を確認すると、図面の印象と使い方の違いが見えてきます。来客のために整えた空間でも、家族が普段の荷物を置けないなら、その位置や収納を見直す必要があります。
譲れない条件は理由と一緒に説明します
構造に必要な壁、敷地や法令の条件、換気や設備を施工する条件などは、好みだけで決められません。実現が難しいときは、どの条件が理由なのかを分けます。できませんという一言だけでは、お客様が別の方法を考えられないからです。
同じように、暮らしの面で勧めにくいと感じる場合も、具体的な場面で説明します。例えば、玄関から洗面へ行く経路と、来客が使う経路が家族の着替え場所と重なるなら、時間帯と視線を確認します。家族が納得して使えるなら、その選択を尊重する余地もあります。
ご家族の誰か一人へ負担が偏る計画も考えたいところです。洗濯物を誰が運び、掃除を誰がし、夜にどこを使うか。その人が図面に賛成しているかを聞きます。家事を担当しない人の印象だけで便利と決めないことが大切です。
別案は失うものと得るものを比べます
仮に、廊下をなくしてリビングを広げる案と、短い廊下を残して寝室への視線を避ける案があれば、面積とプライバシーの違いを比較します。単純に広い方が正解という話ではありません。同じ予算でも、家族が優先したいことによって選び方は変わります。
代替案は一つだけでなく、元の希望を残す案と、形を変えて目的を満たす案を比べると判断しやすくなります。その際は、費用、構造や性能、家具配置、将来の変更など、変わる条件を一緒に示す必要があります。
ご自身で判断するには、次の4点を聞いてください。
・勧めない理由は、安全、使い方、予算のどれか。
・生活のどの場面で困る可能性があるか。
・目的を残すための別案は何か。
・別案で変わる面積、費用、仕様は何か。
家族がどう使いたいかは、お客様にしか分からない部分もあります。説明を受けて負担を理解したうえで選ぶ希望と、安全などの理由で実現できない希望は分けます。会社の好みを、ご家族の正解として押し付けないことも必要です。
予算を超える場合は、何を残すために何を変えるかを整理します。建物を完成させるために、入居後の生活費や必要な現金まで使い切る計画になっていないかを確認します。間取りは家の形だけでなく、その後の暮らし方を決めるものだからです。
図面に残す案と、今回は見送る案を整理し、勧めにくい理由も記録してください。後の打ち合わせで同じ希望が出たとき、前提の変化を確認しやすくなります。
当社へは、強い希望ほど最初に理由を教えてください。難しい点があれば、契約前に知っていただきたいと思います。希望を聞いたまま図面へ入れるだけでなく、家族が長く使えるかを一緒に考えることを大切にしたいと考えています。
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参照資料 S1










