UA値だけで比較してはいけない理由とは?
こんなご相談をいただきました
住宅会社を比較しています。
A社はUA値0.46、B社は0.40、C社は0.34と説明されました。数字が小さい会社ほど、冬暖かく、夏涼しく、電気代も安い家になるのでしょうか。
UA値が最も小さい会社を選べば、後悔しませんか?
A. UA値は重要ですが、最も小さい会社を選べば快適になるとは限りません。気密性能、窓の配置、日射遮蔽、換気、建物形状、施工精度まで確認しなければ、実際の暖かさや電気代は判断できません。
UA値とは?
UA値とは「外皮平均熱貫流率」のことで、住宅の屋根・天井、外壁、床、窓、玄関ドアなどから、どれくらい熱が逃げるかを示す数値です。
計算方法は、概ね次のようになります。
UA値=外皮から逃げる熱量の合計÷外皮面積
単位はW/㎡・Kで、数値が小さいほど断熱性能が高い住宅です。
国の住宅性能表示でも、UA値だけでなく、夏の日射の入りやすさを表すηAC値を組み合わせて断熱性能を評価します。国土交通省・省エネ性能ラベル
UA値は「設計上の計算値」
UA値は、図面に記載された断熱材、窓、玄関ドアなどの性能を基に計算します。
そのため、設計上はUA値0.40でも、次のような施工不良があれば、計算どおりの性能を発揮できません。
- 断熱材に隙間がある
- 断熱材がつぶれている
- 配管まわりの処理が不十分
- 壁と天井の断熱層がつながっていない
- 窓まわりに隙間がある
- 現場で仕様が変更されている
計算書が良いことと、完成した家の施工が良いことは別問題です。
UA値には住宅の隙間が反映されない
UA値が表すのは、主に断熱材や窓などを通過して逃げる熱です。
住宅の隙間から出入りする空気による熱損失は、UA値だけでは判断できません。そこで確認したいのが、気密性能を示すC値です。
- UA値:設計図から計算する断熱性能
- C値:完成した住宅で測る気密性能
UA値0.34でもC値を測っていない家より、UA値0.46で全棟気密測定を行い、C値0.7以下を確認している家の方が、性能の裏付けは明確です。
「高断熱です」と説明しながら、C値を測定しない会社には、理由を確認する必要があります。
同じUA値でも、建物全体の熱損失量は違う
UA値は、外皮面積1㎡当たりの平均値です。
実際に住宅全体から逃げる熱量は、UA値だけでなく、屋根、壁、床、窓などの外皮面積にも左右されます。
例えば、UA値が同じ0.46でも、凹凸の少ない総2階の住宅と、複雑な形状で外壁面積が大きい住宅では、建物全体の熱損失量が同じとは限りません。
UA値だけでなく、次の数値も確認すると実態が分かりやすくなります。
- 外皮面積
- 外皮熱損失量
- 暖房負荷・冷房負荷
- 年間の一次エネルギー消費量
- 想定される冷暖房費
小数点以下のUA値だけを競うと、建物全体の違いを見落とします。
窓の位置で夏の暑さは大きく変わる
甲府盆地では、冬の寒さだけでなく、夏の日射対策が重要です。
西側に大きな窓を設ければ、UA値が良くても、夏の午後に強い日射が入ります。室温が上がり、エアコンの負担も増えます。
特に確認したいのは、次の点です。
- 南窓に軒や庇があるか
- 西窓を必要以上に大きくしていないか
- 外付けシェードを設置できるか
- ガラスの日射取得率は適切か
- 方角に合わせてガラスを選んでいるか
夏の日射は、室内側のカーテンだけでは十分に遮れません。窓の外側で止める方が効果的です。
UA値を下げるために高価な窓へ変更しても、窓の位置や日射遮蔽が悪ければ、夏の快適性は上がらない可能性があります。
冬は日射を入れた方が暖かいこともある
日射は、夏には室温を上げる原因になりますが、冬には無料の暖房になります。
南側に適切な窓を設け、冬の日差しを取り込めれば、暖房負荷を減らせる可能性があります。
しかし、「高断熱だから」と窓を小さくし過ぎたり、すべて日射遮蔽型ガラスにしたりすると、冬の日射熱まで取り込めません。
重要なのは、窓性能を一律に決めることではありません。
東西南北の方角、隣家、軒の長さ、暮らし方に合わせて窓を設計することです。
換気による熱損失も確認する
24時間換気は必要ですが、外気を取り入れれば、その分だけ熱も移動します。
熱交換型第一種換気なら、排気する空気の熱を回収して給気へ移せます。一方、第三種換気では、外の冷たい空気が給気口から直接入ります。
ただし、第一種換気であれば必ず省エネになるわけではありません。
- 実際の熱交換効率
- 消費電力
- ダクトからの漏気
- フィルターの目詰まり
- 清掃と交換のしやすさ
- 設計どおりの給排気風量
ここまで確認する必要があります。
UA値が同じ住宅でも、換気方式や運転状態によって体感温度と電気代は変わります。
高性能な設備でUA値の不足は補えない
住宅会社によっては、UA値の説明と一緒に、太陽光発電や高効率エアコンを強調することがあります。
しかし、太陽光発電は電気をつくる設備であり、断熱性能を高めるものではありません。高性能エアコンも、熱が逃げやすい家では長時間運転することになります。
優先順位は次のとおりです。
- 断熱性能
- 気密性能
- 日射取得・日射遮蔽
- 換気計画
- 効率の良い冷暖房設備
- 太陽光発電などの創エネ設備
設備は将来交換できますが、壁の中の断熱や気密を後から直すのは簡単ではありません。
住宅会社へ聞くべき七つの質問
UA値を提示されたら、次の質問をしてください。
- このUA値は標準仕様ですか、参考プランですか
- 私の家の図面で個別に計算しますか
- 窓や玄関ドアの仕様は何ですか
- 夏の日射遮蔽をどう計画しますか
- C値を全棟で測定しますか
- 断熱施工を誰がどの段階で検査しますか
- 冷暖房費や室温をどの条件で試算していますか
この質問に答えられず、「当社はUA値0.34なので暖かいです」としか説明できないなら、数字を販売に使っているだけかもしれません。
デザインハウス甲府からのアドバイス
デザインハウス甲府では、断熱等級6、UA値0.46以下を標準的な基準とし、さらに全棟で気密測定を行い、C値0.7以下を目標としています。
UA値0.46を0.40に下げることだけへ費用を使うより、窓の日射遮蔽、気密施工、換気計画まで含めて整えた方が、甲府盆地では快適性につながる場合があります。
もちろん、UA値は低い方が有利です。しかし、数字を下げるために予算を使い過ぎ、必要以上に家を大きくしたり、老後資金を減らしたりしては意味がありません。
確認すべきなのは、カタログに掲載された最高性能ではなく、次の三点です。
- 自分の家のUA値
- 自分の家で実測したC値
- 山梨の気候に合わせた日射と換気の設計
UA値は住宅性能の入口であって、答えではありません。小数点以下の競争より、計算・施工・測定が一つにつながっている会社を選んでください。










