アフターサービスの本当の見方とは?
こんなご相談をいただきました
住宅会社を比較しています。
A社は「60年長期保証」、B社は「24時間365日受付」、C社は「地域密着ですぐ駆け付ける」と説明しています。
どの会社もアフターサービスを強調していますが、何を基準に比較すればよいのでしょうか?
A. 保証年数や受付時間だけで判断してはいけません。「何が無償なのか」「誰が点検するのか」「不具合発生から何日で対応するのか」「保証継続にいくら必要か」を書面で比較してください。
アフターサービスの本当の差は、問題が起きる前の説明ではなく、問題が起きた後の対応に表れます。
「保証」と「アフターサービス」は別物
住宅会社の説明では、保証、点検、アフターサービスが一緒に扱われがちです。しかし、それぞれ意味が違います。
- 保証:一定の不具合を定められた条件で補修する約束
- 定期点検:不具合の有無や劣化状態を確認する作業
- アフターサービス:相談受付、訪問、修理手配などの対応全般
- メンテナンス:劣化を防ぐための有償修繕や部品交換
「定期点検が無料」でも、補修まで無料とは限りません。
また、「60年保証」と書いてあっても、すべての設備や内装が60年間、無償で直るわけではありません。
法律上の10年保証は、家全体が対象ではない
新築住宅では、住宅会社は原則として、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を負います。
主な対象は、基礎、柱、梁、耐力壁、屋根、外壁の防水部分などです。国土交通省・住宅瑕疵担保履行法
一方、次のような不具合がすべて10年間の無償保証になるわけではありません。
- 壁紙の隙間や変色
- 建具の調整
- 床の傷やきしみ
- キッチンや給湯器の故障
- トイレや水栓の不具合
- エアコンや換気設備の故障
- 消耗品の交換
- 経年劣化による外壁やシーリングの傷み
設備にはメーカー保証、内装や建具には住宅会社独自の保証期間が設定されることが一般的です。
契約前に「部位別保証一覧」を受け取り、対象と期間を確認してください。
「60年保証」の適用条件を確認する
長期保証は安心材料になりますが、多くの場合、保証を継続するための条件があります。
- 指定された定期点検を受ける
- 住宅会社が必要と判断した補修を行う
- 指定業者による有償メンテナンスを実施する
- 外壁や屋根を一定期間ごとに補修する
- 設備交換や防蟻処理を行う
- 所有者変更時に手続きを行う
例えば、15年目に外壁・屋根・防水工事として200万~300万円必要になり、それを実施しなければ保証を延長できない場合があります。
確認すべきなのは「最長60年」という数字ではありません。
60年間保証を維持するために、いつ、何を、いくらかけて行う必要があるのかです。
「24時間受付」は、24時間修理ではない
24時間365日対応と聞くと、夜中でも作業員が駆け付けてくれるように感じます。
しかし、実際には外部のコールセンターが電話を受け付け、翌営業日に住宅会社や修理会社へ連絡する仕組みもあります。
契約前に次の点を確認してください。
- 夜間は受付だけか、緊急出動まで行うのか
- 水漏れや停電時の出動費はいくらか
- 対応エリアと到着時間
- 住宅会社の社員が対応するのか
- 設備メーカーへ直接連絡するのか
- 年末年始や長期休暇中の対応方法
「24時間電話がつながること」と「24時間直してもらえること」は同じではありません。
定期点検は回数より内容を見る
「10年間で6回点検」と説明されても、点検内容が簡単な目視だけなら、十分とは限りません。
点検時には、少なくとも次のような部分を確認するのか聞いてください。
- 基礎のひび割れ
- 外壁、屋根、シーリング
- 雨漏りや結露の痕跡
- 床下の漏水、腐朽、シロアリ
- 建具や床の状態
- 給排水設備
- 換気設備とフィルター
- バルコニーや屋上の防水
- 室内外の不具合履歴
さらに、点検結果を写真付き報告書として受け取れるかも重要です。
点検記録は、将来の修繕計画や売却時の住宅履歴として役立ちます。
不具合が起きたときの流れを確認する
本当に確認すべきなのは、不具合発生後の対応手順です。
住宅会社へ次のように質問してください。
- どこへ連絡すればよいですか
- 何営業日以内に一次回答がありますか
- 緊急時は誰が現地確認しますか
- 無償か有償かは誰が判断しますか
- 判断結果を書面でもらえますか
- 対応履歴は会社に保存されますか
- 担当者が退職した場合は誰が引き継ぎますか
営業担当者個人の携帯電話しか連絡先がない会社は、担当者の退職によって対応が途切れる可能性があります。
会社として受付・記録・引き継ぎを行う仕組みが必要です。
過去の施主に対応実績を聞く
アフターサービスは、契約前のカタログだけでは判断できません。
可能であれば、引き渡しから3年以上経過した施主に、次の点を確認してください。
- 不具合が起きたことはあるか
- 連絡後、何日で来てくれたか
- 無償・有償の説明は明確だったか
- 修理後の確認があったか
- 担当者が変わっても対応されたか
- 定期点検が予定どおり行われたか
完成直後の感想より、数年後の施主の話の方が、アフターサービスの実態を判断できます。
住宅会社が倒産した場合も考える
会社独自の長期保証は、その会社が存続していることが前提です。
新築住宅では、住宅会社に瑕疵担保責任保険への加入または保証金の供託が求められています。保険付き住宅で住宅会社が倒産した場合、対象となる瑕疵について、住宅取得者が保険法人へ直接請求できる場合があります。国土交通省・住宅瑕疵担保責任保険
ただし、これは住宅会社独自の60年保証や、設備・内装をすべて引き継ぐ制度ではありません。
契約時には次の書類を確認し、引き渡し後も保管してください。
- 保証書
- 部位別保証一覧
- 瑕疵保険の付保証明書
- 設計図書
- 工事写真
- 点検報告書
- 住宅設備の保証書と取扱説明書
デザインハウス甲府からのアドバイス
アフターサービスを比較するとき、保証年数の長さだけを見ると本質を見失います。
重要なのは、次の五つです。
- 無償保証の対象範囲
- 有償メンテナンスの条件と予想費用
- 不具合発生時の初動速度
- 点検・修理履歴の保存
- 住宅会社が対応できない場合の第三者保証
「何かあればすぐ対応します」という口約束では足りません。対応窓口、点検時期、保証範囲、免責事項を契約書と保証書で確認してください。
また、アフターサービスが充実していても、最初の施工が雑では意味がありません。全棟気密測定、第三者検査、工事写真の保存など、引き渡し前の品質管理も同時に確認する必要があります。
本当に良いアフターサービスとは、長い保証を宣伝することではありません。不具合を減らす施工を行い、起きた問題から逃げず、対応内容を記録として残す仕組みです。










