Q.顕熱交換と全熱交換は何が違う?
温度と湿度の交換をどう読み分けますか?
A.顕熱交換は主に温度に関係する熱、全熱交換は温度に加えて水蒸気に伴う熱も交換する方式です。ただし、全熱交換にすれば室内湿度が自動的に一定になるわけではありません。温度と湿度の効率、地域の条件、手入れを分けて比較してください。
温度だけか水蒸気の移動も扱うか
顕熱とは、温度の変化として現れる熱です。冬に排気する室内空気の暖かさを、取り入れる外気へ伝える働きなどを考えます。顕熱交換でも換気の負荷を減らせますが、水蒸気の交換を主な機能としているわけではありません。
全熱交換は、温度の熱と、水蒸気の移動に伴う潜熱を扱います。冬は外気をそのまま取り入れる場合に比べて室内の水分を保つ方向に、夏の高温多湿時には入ってくる湿気の負荷を抑える方向に働く条件があります。実際の働きは、内外の温湿度によって変わります。
そのため、「湿気を交換する」ことと、「いつでも加湿する」「必ず除湿する」ことは同じではありません。室内の人数、調理や入浴、洗濯物、換気量、空調の運転も湿度に関係します。換気設備だけで、希望の相対湿度を一年中維持できるとは限りません。
また、温度交換効率が高いから湿度交換の効率も同じとは判断できません。カタログに温度、湿度、全熱などの値が並んでいる場合は、名称と試験条件を確認します。機種ごとに表示形式が違うこともあるため、比較する指標を揃えてください。
地域と住まい方を含めて選ぶ
冬の乾燥を心配する家庭でも、加湿を増やすだけでは判断しません。窓や壁が冷える場所では、湿度が高いと結露につながる場合があります。室温、湿度、断熱、換気を一緒に確認し、体感だけを頼りに運転を変えないことが大切です。
夏は、室温が下がっていても湿度が高い場合があります。全熱交換で外気由来の負荷を減らす計画と、エアコンなどで実際に除湿する計画を分けて説明してもらいます。「全熱交換があるから除湿は不要」とは考えないでください。
仕様の説明で確認したい項目
・顕熱・全熱の区別と、熱交換素子の仕様。
・温度・湿度・全熱の効率と評価条件。
・寒冷時の霜や結露、排水への対応。
・素子とフィルターの清掃方法、交換条件。
熱交換素子は、製品によって材質や構造が異なります。空気を分けて熱や水分を移す仕組みと、臭いや物質の扱いも資料で確認します。全熱交換という名称だけで、あらゆる物質が通らない、または何でも室内へ戻ると決めつけないことが重要です。
掃除では、水洗いできるフィルターと、水洗いできない熱交換素子などを区別します。よかれと思って水を掛けたり、薬剤で洗ったりすると、不具合につながる製品もあります。必ず採用機種の取扱説明書で、部品ごとの方法を確認してください。
屋外の温湿度が室内より有利な時間帯に、熱交換を迂回する運転を備える製品もあります。ただし、機能の有無と使う条件は機種ごとに違います。「全熱なら一年中同じ動き」とせず、季節の運転制御まで聞いておくと理解しやすくなります。
費用比較は、機器本体だけでなく、必要な配管や排水、電力、交換部品まで含めます。湿度への効果を重視するなら、想定する季節と室内条件も揃えます。条件が違う比較から、自宅でも同じ効果が出ると判断しないでください。
湿度の効果を説明する資料では、相対湿度の数字だけか、水蒸気量まで考えた説明かも確認します。温度が変わると相対湿度も変わるため、温湿度を組み合わせて読むことが大切です。
相談では「温度と湿度は、それぞれどの条件で交換し、何を空調側で補いますか」と尋ねます。顕熱・全熱の名前を、季節ごとの運転と手入れの計画へつなげることができます。
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