Q. 紹介会社は、契約後の追加費用や施工トラブルにも責任を負う?
A. 原則として、建築請負契約の内容、追加費用、施工不良への直接的な責任は、契約相手である住宅会社が負うことになります。紹介会社が住宅会社を紹介しただけなら、自動的に補修費や損害を負担するとは限りません。ただし、独自保証を約束した場合や、紹介会社自身が事実と異なる説明をした場合は、別の問題になる可能性があります。
無料住宅相談サービスから、
「当社が厳選した優良住宅会社です」
「契約後も中立な立場でサポートします」
「困ったときは相談してください」
と言われると、契約後に問題が起きても、紹介会社が間に入って解決してくれるように感じます。
しかし、実際に追加費用や施工トラブルが発生した場合、紹介会社はどこまで対応するのでしょうか。
住宅会社へ連絡してくれるだけなのか。
交渉へ同席するのか。
技術的な検証を行うのか。
補修や損害の責任まで負うのか。
「サポートします」という言葉だけでは、責任範囲は分かりません。
住宅の契約相手は住宅会社
一般的な住宅紹介サービスでは、次のような契約関係になります。
| 関係者 | 主な契約・役割 |
|---|---|
| 相談者と紹介会社 | 相談、情報提供、住宅会社紹介 |
| 相談者と住宅会社 | 設計、見積り、建築請負契約、施工、保証 |
| 紹介会社と住宅会社 | 掲載、紹介、広告、成約報告、費用 |
住宅を設計・施工する契約を結ぶのは、通常、相談者と住宅会社です。
そのため、
- 契約図面と違う
- 見積りにない追加費用を請求された
- 工期が遅れた
- 雨漏りが発生した
- 断熱施工に問題がある
- 設備が注文と違う
- 引渡し後に不具合が出た
といった問題は、まず住宅会社へ是正や説明を求めることになります。
紹介会社が住宅を建てたわけではない場合、紹介したという理由だけで、施工責任を当然に負うとは限りません。
「紹介した責任」と「建てた責任」は違う
紹介会社には住宅会社を紹介した責任があります。
住宅会社には契約どおりに建物を完成させる責任があります。
この二つを混同してはいけません。
例えば、紹介会社が、
「この会社は施工品質が高いです」
と説明しても、それだけで紹介会社が工事の完成や無事故を保証したとは限りません。
一方で、
「当社が全工程を検査し、問題があれば当社が補償します」
と具体的に約束していたなら、その約束の内容を確認する必要があります。
重要なのは、紹介会社が何を説明し、何を書面で約束したかです。
追加費用は誰が説明したか
追加費用が発生した場合は、まず次の点を整理します。
- 最初の見積りを作成したのは誰か
- 何が含まれると説明されたか
- 総額表示と説明されたか
- 追加工事を誰が依頼したか
- 金額を承認したか
- 変更契約書があるか
- 紹介会社が予算を保証したか
- 住宅会社の見積りを紹介会社が確認したか
例えば、紹介会社が、
「この会社なら総額3,000万円以内です」
と独自に断定したのか。
それとも、
「住宅会社の概算では3,000万円程度です」
と情報を伝えただけなのか。
この違いによって、紹介会社へ求める説明も変わります。
追加費用が発生しやすい項目
注文住宅では、次のような項目が後から増える可能性があります。
- 地盤改良
- 屋外給排水
- 擁壁・造成
- 解体
- 残土処分
- 上下水道加入金
- 電気引込み
- 外構
- 照明・カーテン
- エアコン
- 住宅ローン諸費用
- 登記
- 各種申請
- 設計変更
- 設備のグレードアップ
- 建築中の追加工事
最初の見積りが2,500万円でも、これらを加えると総額3,000万円を超える可能性があります。
紹介会社が「予算に合う会社」として紹介したなら、何をもって予算内と判断したのかを確認してください。
建物本体価格だけを比較し、付帯工事や諸費用を確認していなければ、正確な総額診断とは言えません。
契約後の追加費用を防ぐ方法
契約前に次の資料をそろえてください。
- 最終見積書
- 見積り内訳
- 除外項目一覧
- 標準仕様書
- 設計図
- 設備表
- 付帯工事一覧
- 諸費用一覧
- 追加工事の単価
- 変更契約の手順
- 支払い時期
追加工事は、原則として、
- 変更内容を確認する
- 金額を提示してもらう
- 工期への影響を確認する
- 書面で承認する
- 工事を実施する
という順序にするべきです。
工事後に初めて金額を知らされる状態を避けてください。
施工トラブルは紹介会社が技術判断できるのか
施工トラブルが起きた場合、紹介会社のアドバイザーが建築士や施工管理経験者とは限りません。
現場写真を見ても、
- 施工不良なのか
- 許容範囲なのか
- 補修が必要なのか
- 構造へ影響するのか
- メーカー基準へ適合しているか
を判断できない可能性があります。
紹介会社が住宅会社へ、
「お客様が困っているので対応してください」
と連絡することはできます。
しかし、技術的な争点を検証し、適切な補修方法を決めるには、建築士や第三者検査機関などの専門家が必要になる場合があります。
相談窓口として機能することと、施工責任を負うことは別です。
紹介会社が行える可能性のある支援
紹介会社が契約後も対応する場合、次のような支援が考えられます。
- 相談内容を聞く
- 住宅会社へ連絡する
- 双方の説明を整理する
- 打合せへ同席する
- 記録を残す
- 住宅会社へ回答期限を求める
- 第三者専門家を案内する
- 相談窓口を紹介する
- 同様の苦情を提携審査へ反映する
- 問題が続く住宅会社の紹介を停止する
これらには意味があります。
しかし、
- 補修費を負担する
- 追加費用を代わりに支払う
- 工事を完成させる
- 損害賠償を行う
- 住宅会社の保証義務を引き受ける
ところまで行うとは限りません。
何をするかと、何をしないかを利用前に確認してください。
紹介会社が責任を問われる可能性がある場面
個別の法的判断は契約内容や証拠によって異なりますが、次のような場合は、紹介会社自身の説明や行為が問題になる可能性があります。
- 事実と異なる情報を独自に説明した
- 住宅会社の重大な問題を知りながら隠した
- 独自検査を行ったと表示したが、実施していなかった
- 総額を保証すると書面で約束した
- 契約後の補償を明示していた
- 住宅会社の代理人として契約条件を説明した
- 相談者の質問へ根拠なく断定回答した
- 苦情を受けても虚偽の説明をした
ただし、これらがあれば必ず紹介会社が損害を負担するという意味ではありません。
実際には、
- どのような契約だったか
- 誰が何を説明したか
- 書面や記録があるか
- 相談者が何を信じて契約したか
- どのような損害が発生したか
などを個別に確認する必要があります。
「第三者として解決します」は本当に中立か
紹介会社が住宅会社から収益を得ている場合、施工トラブル時に完全な第三者と言えるかは慎重に考える必要があります。
住宅会社は、紹介会社にとって提携先であり、収益を生む取引先です。
相談者もサービス利用者ですが、相談料を払っていない場合があります。
この構造だけで、紹介会社が住宅会社寄りになるとは断定できません。
しかし、問題が起きたときに、
- 誰の立場で調整するのか
- 住宅会社へ改善を要求できるのか
- 提携を停止する基準があるのか
- 相談者へ不利な事実も伝えるのか
を確認する必要があります。
「中立に対応します」という言葉ではなく、過去にどのような対応をしたのかを聞いてください。
紹介会社の保証制度があるか
紹介会社によっては、独自の保証や完成支援制度を設けている可能性があります。
その場合は、名称だけでなく次の条件を確認してください。
- 保証する対象
- 保証する金額
- 保証期間
- 免責事項
- 施工不良も対象か
- 追加費用も対象か
- 住宅会社倒産時も対象か
- 誰が保証を履行するか
- 利用するための手続き
- 保証書が発行されるか
「安心保証付き」と表示されていても、相談者が想像するすべてのトラブルを補償するとは限りません。
保証の名前ではなく、保証書の本文を契約前に確認してください。
契約後の支援期間を確認する
紹介会社のサポートが、
- 住宅会社を紹介するまで
- 初回面談まで
- 建築契約まで
- 着工まで
- 引渡しまで
- 引渡し後一定期間
- 期間を定めず相談可能
のどこまで続くのかを確認してください。
「契約後も相談できます」と書かれていても、単に電話で話を聞くだけかもしれません。
契約後に連絡した場合、
- 担当者が対応するのか
- 専門部署があるのか
- 住宅会社へ連絡してくれるのか
- 面談へ同席するのか
- 費用がかかるのか
- 回答期限があるのか
まで聞く必要があります。
トラブルが起きたときに残す記録
追加費用や施工トラブルが発生した場合は、次の資料を保存してください。
- 建築請負契約書
- 見積書
- 仕様書
- 設計図
- 変更契約書
- 打合せ記録
- メール・チャット
- 現場写真・動画
- 検査報告書
- 支払い記録
- 紹介会社の広告
- アドバイザーの説明資料
口頭での話合いだけでは、後から内容を確認できません。
住宅会社と紹介会社の両方へ、問題点と要求内容を書面で伝えてください。
外部の相談窓口も利用する
紹介会社と住宅会社だけで話合いが進まない場合は、外部の相談窓口を利用してください。
「住まいるダイヤル」は、国土交通大臣の指定を受けた住宅専門の相談窓口です。住宅の不具合や契約上のトラブルなどについて相談できます。住まいるダイヤル
ほかにも、状況に応じて、
- 消費生活センター
- 建築士
- 第三者検査機関
- 弁護士
- 住宅紛争審査会
などへ相談する方法があります。
重大な施工問題や高額な追加請求がある場合は、支払い、補修、解体などを急いで進める前に専門家へ相談してください。
相談会社へ確認すべき12の質問
- 契約後も相談できますか
- サポートは引渡し後まで続きますか
- 追加費用の妥当性を確認できますか
- 住宅会社との話合いへ同席しますか
- 施工トラブルを判断する建築士がいますか
- 第三者検査を手配できますか
- 補修費や損害を負担する保証がありますか
- 紹介会社自身の誤説明にはどう対応しますか
- 苦情が多い住宅会社の紹介を停止しますか
- トラブル対応に追加費用はかかりますか
- 対応期限と責任者は決まっていますか
- 支援範囲を利用規約や書面で確認できますか
「何かあれば間に入ります」という説明だけでは不十分です。
間に入って何をするのかを確認してください。
結論
契約後の追加費用や施工トラブルについて、直接的な責任を負うのは、原則として設計・施工の契約相手である住宅会社です。
紹介会社が住宅会社を紹介しただけなら、
- 追加費用を負担する
- 施工不良を補修する
- 工事を完成させる
- 損害を賠償する
責任まで当然に負うとは限りません。
一方で、紹介会社が独自の保証を約束した場合や、事実と異なる説明を行った場合は、その説明と契約内容を確認する必要があります。
契約前は「厳選した優良会社」、トラブル後は「紹介しただけ」。この説明の切替えを防ぐには、契約前に責任範囲を書面で確認するしかありません。
紹介会社へは、
- 契約後も何をするのか
- 何には責任を負わないのか
- 施工問題を誰が判断するのか
- 解決しない場合にどこへつなぐのか
を質問してください。
住宅会社を紹介する能力と、契約後のトラブルを解決する能力は別です。
成約まで支援する会社ではなく、問題が起きた後も具体的な行動を取る会社かを確認してから利用することが重要です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










