第一種換気にしなかった後悔とは?
第三種換気が悪いのではなく、違いを知らずに選ぶことが問題です
質問
住宅会社から、第三種換気でも建築基準法を満たすので問題ないと言われました。
第一種換気は費用が高いため、採用しなくてもよいのでしょうか?
回答
結論から言うと、第一種換気にしなかったからといって、必ず後悔するわけではありません。
第三種換気でも、
- 十分な気密性能がある
- 給気口と排気口が適切に配置されている
- 必要な換気量を確保できる
- 冬の冷たい給気を許容できる
- フィルター清掃を継続できる
のであれば、計画換気は可能です。
一方、寒暖差の大きい地域で高断熱・高気密住宅を建てる場合、熱交換型第一種換気には、捨てる空気の熱を回収しながら換気できるメリットがあります。
第一種換気を採用しなかったことで後悔する人は、
- 冬に給気口から冷気を感じた
- 寒くて給気口を閉めた
- 24時間換気を止めた
- 暖房した熱をそのまま捨て続けた
- 部屋ごとの換気量が安定しなかった
- 花粉やほこりの侵入が気になった
という人です。
ただし、
第一種換気を付ければ、それだけで快適な家になるわけではありません。
重要なのは、換気方式の名称ではなく、気密性能、設計風量、熱交換率、施工、維持管理まで確認することです。
住宅の換気方式は3種類ある
住宅の機械換気は、給気と排気の方法によって3種類に分けられます。
第一種換気
給気と排気の両方を機械で行います。
空気の出入りを管理しやすく、熱交換器を組み込むことができます。
第二種換気
給気を機械で行い、排気は自然排気とします。
室内が正圧になりやすく、住宅では一般的な方式ではありません。クリーンルームなど、外部から汚染空気を入れたくない場所で使われることがあります。
第三種換気
給気は自然給気口から行い、排気を機械で行います。
構造が比較的簡単で、初期費用や機器の消費電力を抑えやすい方式です。
国土交通省の資料でも、給排気の方法によって第一種・第二種・第三種に分類され、第一種換気では熱交換型換気設備を採用できるとされています。国土交通省「住宅の省エネルギー 設計と施工」
第一種換気=熱交換換気ではない
ここは誤解されやすい部分です。
第一種換気とは、給気と排気を機械で行う方式のことです。
第一種換気でも、熱交換機能のない製品があります。
第一種換気を検討する場合は、
- 熱交換機能があるか
- 顕熱交換か全熱交換か
- 温度交換効率
- 熱回収率
- 有効換気量率
- 消費電力
- 風量
- 騒音
まで確認する必要があります。
住宅会社から「第一種換気です」と言われただけでは、どれだけ熱を回収できるのか分かりません。
熱交換型第一種換気とは?
熱交換型第一種換気は、排気する室内空気と給気する外気の間で熱を移動させ、捨てる熱の一部を回収する設備です。
冬に室内が暖かく、外気が冷たい場合、排気する暖かい空気の熱を使って、外から取り入れる空気を暖めます。
夏は、冷房で涼しくした室内空気の冷たさを利用し、外から入る暑い空気の温度を和らげます。
ただし、エアコンのように空気を希望温度まで暖めたり、冷やしたりする設備ではありません。
換気による熱損失を減らす設備であり、冷暖房設備の代わりではありません。
後悔1|冬に給気口から冷たい空気が入った
第三種換気では、外気を自然給気口から直接取り入れます。
冬に外気温が低い場合、冷たい空気が室内へ入ります。
給気口の位置が、
- ソファの近く
- ベッドの頭側
- ダイニングテーブルの近く
- 子どもの机の近く
- 人が長時間過ごす場所
にあると、冷気を不快に感じることがあります。
その結果、居住者が給気口を閉めてしまうケースがあります。
給気口を閉めると、必要な空気が入らず、換気不足になる可能性があります。
また、給気口以外の隙間から空気を吸い込みやすくなるため、計画した換気になりません。
第三種換気を採用する場合は、給気口の位置と冷気の拡散方法まで設計する必要があります。
後悔2|暖房した熱を捨て続けていた
換気では、室内の空気を排気し、同じ量の外気を取り入れます。
第三種換気の場合、冬に暖房した室内空気の熱は、基本的に排気と一緒に屋外へ出ていきます。
熱交換型第一種換気では、その熱の一部を回収できます。
ただし、「熱回収率90%だから換気による熱損失が90%減る」と単純には言い切れません。
実際の効果は、
- 外気温
- 室温
- 風量
- 有効換気量率
- ダクトからの熱損失
- 漏気
- 霜取り運転
- フィルターの汚れ
- 機器の消費電力
によって変わります。
カタログ数値だけでなく、住宅全体の省エネルギー計算で比較することが重要です。
第一種換気の電気代もゼロではない
第一種換気は、給気と排気の両方にファンを使用するため、機器自体が電力を消費します。
熱交換によって冷暖房負荷を減らせても、送風に使う電力が大きければ、省エネルギー効果が小さくなる可能性があります。
確認したいのは、
- DCモーターか
- 定格消費電力
- 弱・中・強運転時の消費電力
- 比消費電力
- 年間電気代の試算
- フィルターが汚れた場合の負荷
です。
第一種換気と第三種換気を比較するときは、
冷暖房費の削減分だけでなく、換気設備そのものの電気代も含めて比較します。
後悔3|気密性能が低く、第一種換気が機能しなかった
第一種換気を採用しても、住宅に多くの隙間があれば、給排気口以外から空気が出入りします。
すると、
- 設計どおりの場所から給気できない
- 室内空気を十分に排気できない
- 熱交換器を通らない空気が増える
- 冷暖房負荷が増える
- 壁の中へ湿気が入る可能性がある
という問題が起こります。
高額な第一種換気を設置しても、建物の気密性能が低ければ、本来の性能を発揮しにくくなります。
第一種換気を採用するなら、全棟で気密測定を行い、実測C値を確認することが重要です。
高性能な換気設備より先に、空気がどこから出入りするかを管理できる家が必要です。
「高気密にすると息苦しい」は誤解
高気密住宅は空気が入らず、息苦しくなると思われることがあります。
しかし、隙間の多い住宅では、空気が入れ替わっているように見えても、どの部屋へどれだけ入っているかを管理できません。
必要なのは、隙間からの偶然の換気ではありません。
- 給気口から外気を取り入れる
- 必要な部屋へ空気を送る
- トイレや洗面などから排気する
- 必要な量を継続して入れ替える
という計画換気です。
気密性能を確保して初めて、換気設備による空気の流れを管理しやすくなります。
後悔4|花粉やほこりが気になった
第三種換気では、各部屋の自然給気口から外気を取り入れます。
給気口にフィルターが付いていても、住宅の隙間が多ければ、フィルターを通らない空気が入る可能性があります。
熱交換型第一種換気では、給気を機械へ集約し、高性能フィルターを通して室内へ送る製品があります。
花粉や外気中のほこりを減らしやすい点はメリットです。
ただし、すべての粒子やにおい、化学物質を完全に除去できるわけではありません。
また、フィルターを掃除・交換しなければ、
- 給気量が減る
- 消費電力が増える
- 騒音が大きくなる
- 室内空気が悪化する
可能性があります。
高性能フィルターほど圧力損失が大きくなる場合があるため、機器との適合も重要です。
後悔5|フィルター清掃が想像以上に必要だった
第一種換気は、付けたまま何十年間も放置できる設備ではありません。
定期的に必要になるのは、
- 外気側フィルターの清掃・交換
- 排気側フィルターの清掃
- 給排気口の清掃
- 熱交換素子の点検
- ドレン排水の確認
- 本体内部の点検
- 必要に応じたダクト点検
です。
清掃頻度は、製品、立地、周辺環境、使用状況によって異なります。
交通量の多い道路沿い、畑や山の近く、花粉が多い地域では、フィルターが汚れやすい可能性があります。
契約前に、実物のフィルターを見せてもらい、
- どこから取り外すのか
- 高齢になっても交換できる位置か
- 交換用フィルターはいくらか
- 何年後まで購入できるか
- 誰が清掃するのか
を確認してください。
天井裏の点検口から交換する設備に注意
換気設備本体やフィルターが、脚立を使わなければ届かない天井裏にある場合があります。
若いときは交換できても、高齢になると危険です。
老後まで使う住宅では、
- 洗面室や収納内から点検できる
- 脚立なしでフィルターを外せる
- 本体を交換できる点検スペースがある
- 周囲を壊さず修理できる
ことが重要です。
換気性能だけでなく、30年後の交換方法まで確認してください。
後悔6|ダクトが汚れることを知らなかった
ダクト式第一種換気では、給気や排気にダクトを使用します。
ダクト内の汚れが気になる人もいるでしょう。
適切なフィルターを使用し、定期的に交換していれば、給気側ダクトへ大量のほこりが入り込む可能性は抑えられます。
しかし、
- フィルターを長期間交換しない
- ダクト接続部に隙間がある
- 施工中の粉じんが残っている
- 湿気や水分が入る
- 虫が侵入する
- 排気側にほこりが堆積する
可能性はあります。
契約前に、
- ダクトの材質
- ダクト径
- 清掃・点検方法
- 交換可能性
- ダクト施工後の養生
- 結露対策
- 本体までのアクセス
を確認してください。
「ダクトは絶対に汚れない」も、「ダクト式は必ず不衛生」も、どちらも正確ではありません。
ダクトを断熱区画外へ通すリスク
熱交換型第一種換気のダクトが、夏暑く冬寒い小屋裏などを通ると、ダクト内の空気と周囲の温度差によって熱損失や結露が起こる可能性があります。
そのため、
- ダクトを断熱区画内へ配置する
- 必要な断熱処理を行う
- ダクトを短くする
- 曲がりを減らす
- 接続部の気密を確保する
ことが重要です。
国土交通省の誘導仕様でも、熱交換型換気設備について、ダクト径、有効換気量率、DCモーター、温度交換効率などの条件が示されています。国土交通省「住宅の仕様基準・誘導仕様基準」
換気設備のカタログだけでなく、住宅のどこへ、どのように設置するかを確認してください。
後悔7|換気音が気になって止めた
換気設備の音が寝室や書斎で気になり、運転を弱めたり、停止したりする人がいます。
騒音の原因には、
- 本体の運転音
- ダクト内の風切り音
- 給排気口の風量
- ダクト径が細い
- 曲がりが多い
- 防振対策が不足している
- 本体を寝室の近くへ設置した
などがあります。
大風量を細いダクトへ流せば、音が大きくなる可能性があります。
設計段階で、
- 本体設置位置
- 寝室との距離
- ダクト径
- 風速
- 防振
- 消音部材
- 吹出口の位置
を検討する必要があります。
「静音タイプ」というカタログ表現だけで決めてはいけません。
後悔8|部屋ごとの風量を確認していなかった
換気設備の能力が十分でも、各部屋へ必要な量の空気が届いているとは限りません。
ダクトの長さ、曲がり、施工状態、給排気口の調整によって、部屋ごとの風量は変わります。
例えば、
- 寝室だけ給気が少ない
- トイレの排気が強すぎる
- リビングだけ空気が多い
- 扉を閉めると空気が流れない
ということがあります。
完成後には、可能であれば各給排気口の風量を測定し、設計値に調整することが重要です。
設計図に換気量が書いてあっても、完成した住宅でその量が出ているとは限りません。
換気は「付いているか」ではなく、「必要量が動いているか」で判断します。
後悔9|夏に湿気が戻ることを知らなかった
熱交換型第一種換気には、主に顕熱交換型と全熱交換型があります。
顕熱交換型
主に温度を交換し、湿気は基本的に交換しない方式です。
全熱交換型
温度に加えて、湿気の一部も交換する方式です。
全熱交換型では、季節や室内外条件によって、湿気の移動も考慮する必要があります。
夏に外気が高温多湿で、室内を冷房・除湿している場合、設備の仕様や運転条件によって室内の湿度へ影響します。
また、第一種換気は除湿機ではありません。
梅雨や夏の湿度を下げるには、エアコンや除湿機による除湿計画が必要です。
換気設備だけで温度と湿度の両方を自由に管理できると考えてはいけません。
後悔10|故障時の交換費用を考えていなかった
第一種換気は機械設備です。
何十年間も故障せず使える保証はありません。
将来的には、
- モーター
- 制御基板
- センサー
- 熱交換素子
- リモコン
- 本体
などの修理や交換が必要になる可能性があります。
確認したいのは、
- 本体価格
- 交換工事費
- 想定耐用年数
- 部品保有期間
- 後継機種への交換可否
- 天井や壁を壊さず交換できるか
- 故障中も自然換気できるか
です。
第一種換気を採用するときは、初期費用だけでなく、将来の交換費も資金計画へ入れる必要があります。
では、第三種換気は悪いのか?
第三種換気が悪いわけではありません。
次の条件が整っていれば、合理的な選択になる場合があります。
- 温暖な地域
- 住宅の気密性能が確保されている
- 給気口の位置が適切
- 冷気を感じにくい設計
- 初期費用を抑えたい
- 機器構成を単純にしたい
- 交換・清掃を簡単にしたい
- 熱交換による削減効果が小さい
第三種換気は、
- 初期費用を抑えやすい
- 構造が比較的単純
- 消費電力を抑えやすい
- 機器交換がしやすい
- ダクトレス方式も選べる
というメリットがあります。
問題は、第三種換気であることではありません。
寒冷地や寒暖差の大きい地域で、給気口から入る冷気、暖房負荷、給気口の配置を説明せず、「基準を満たすから大丈夫」と採用することです。
第一種換気でも第三種換気でも、気密測定は必要
どちらの方式でも、建物の隙間が多ければ、計画した空気の流れをつくりにくくなります。
特に第三種換気では、排気ファンによって室内を負圧にし、給気口から外気を取り入れます。
隙間が多ければ、給気口ではなく、
- 床下
- 天井裏
- 壁の中
- コンセント
- 配管貫通部
から空気を吸い込む可能性があります。
第一種換気と第三種換気のどちらを選ぶ場合でも、全棟で気密測定を行い、実測C値を確認することが重要です。
第一種換気が向いている家庭
次のような家庭では、熱交換型第一種換気を検討する価値があります。
- 冬の寒さが厳しい地域
- 夏と冬の冷暖房期間が長い
- 高断熱・高気密住宅を建てる
- 給気口からの冷気を抑えたい
- 花粉や外気中のほこりが気になる
- 家にいる時間が長い
- 部屋間の温度差を抑えたい
- フィルター清掃を継続できる
- 将来の交換費を準備できる
特に50代・60代の平屋では、在宅時間が長くなる可能性があります。
室内環境と光熱費の影響を受ける時間も長くなるため、熱交換換気を検討する価値があります。
第一種換気を選ばない方がよい場合
次のような場合は、高額な第一種換気を採用しても、十分なメリットを得られない可能性があります。
- 住宅の気密測定を行わない
- フィルター清掃を続けられない
- 本体を交換できる点検スペースがない
- ダクトが断熱区画外を長く通る
- 風量計算や完成後の調整を行わない
- 初期費用と将来の交換費が家計を圧迫する
- 温暖な地域で冷暖房期間が短い
- 機器の性能を説明できる担当者がいない
第一種換気を付けることより、第一種換気を正しく設計・施工・維持できる会社を選ぶことの方が重要です。
契約前に確認したい15の質問
- 第一種・第三種のどちらですか
- その方式を選ぶ理由は何ですか
- 熱交換機能はありますか
- 顕熱交換と全熱交換のどちらですか
- 温度交換効率と熱回収率はいくつですか
- 有効換気量率はいくつですか
- 年間消費電力と電気代の目安はいくらですか
- ダクトは断熱区画内を通りますか
- ダクト径と材質は何ですか
- 完成後に各部屋の風量を測定しますか
- 全棟で気密測定を行いますか
- 目標C値はいくつですか
- フィルターの清掃・交換頻度と費用はいくらですか
- 本体交換時に天井や壁を壊さず交換できますか
- 20年後の交換費用をいくら見込んでいますか
この質問に具体的に答えられず、
「第一種だから高性能です」
「第三種でも法律上問題ありません」
「24時間換気が付いているので大丈夫です」
としか説明しない住宅会社には注意が必要です。
デザインハウス甲府の考え方
山梨県は、夏の暑さだけでなく、冬の朝晩の冷え込みも大きい地域です。
高断熱・高気密住宅で、暖房した熱をそのまま換気で捨て続けるのは合理的とはいえません。
そのため、デザインハウス甲府では、
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- 全棟気密測定
- C値0.7以下
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%表記の設備
- オール電化
- 太陽光発電8kW以上
を基本にしています。
ただし、熱回収率92%というカタログ数値だけで、実際の住宅性能を判断することはしません。
- 建物の気密性能
- 有効換気量率
- ダクト施工
- 給排気バランス
- 各部屋の風量
- フィルター管理
- 機器の消費電力
まで含めて考える必要があります。
高価な設備を付けることが目的ではありません。
冬に給気口を閉めず、24時間換気を止めず、暖かさと空気環境を維持できることが目的です。
まとめ
第一種換気にしなかったからといって、必ず後悔するわけではありません。
第三種換気でも、気密性能と給排気計画が適切で、冷たい給気を許容できるなら、合理的な選択になる場合があります。
一方、熱交換型第一種換気には、
- 換気による熱損失を抑える
- 冬の冷たい給気を和らげる
- 給気を管理しやすい
- 花粉やほこりを減らしやすい
- 部屋ごとの換気量を調整しやすい
というメリットがあります。
ただし、
- 初期費用
- 電気代
- フィルター交換
- ダクト点検
- 騒音
- 故障
- 本体交換費
も考えなければなりません。
後悔しないために必要なのは、「第一種が正解」「第三種は低性能」と決めつけることではありません。
地域、断熱、気密、冷暖房、維持管理、将来の交換費まで比較して選ぶことです。
第一種換気は、付ければ高性能になる魔法の箱ではありません。
しかし、高断熱・高気密住宅に正しく設計・施工された熱交換換気は、捨てる熱を減らし、冬の快適性を守る有効な設備です。
換気設備の名前ではなく、
本当に必要な空気が、必要な部屋へ、必要な量だけ動いているか。
そこまで確認して初めて「換気されている家」といえます。










