Q.段差や狭い廊下をなくしたい場合、
バリアフリー改修で十分な家と建て替えを考える家の違いは?
A.手すりや一部の段差解消で必要な動作ができるか、それとも廊下幅、部屋の配置、床の高さまで広く変える必要があるかが分かれ目です。本人の動き方と、使う用具や介助の方法を具体的にして判断します。「平屋だから安心」「段差をなくせば完成」と決めず、玄関から寝室、水回りまで連続して使えるかを確かめてください。
部屋の寸法ではなく実際に通れる幅を見る
図面の柱の中心間の寸法と、仕上げ後に通れる有効幅は違います。手すり、建具の枠、家具などがあると、通れる幅はさらに変わります。廊下だけを広くしても、出入口や曲がり角で動けなければ十分ではありません。使う歩行器や車いす等がある場合は、その寸法と操作方法を伝えます。
必要な広さは、本人だけで移動するか、横や後ろから介助するかでも異なります。トイレでは入室することに加え、扉を閉める、体の向きを変える、便座へ移るなどの動作を確認します。今の身体状況だけでなく、想定する介助の範囲を家族と整理し、必要ならケアマネジャー等にも相談します。
床を上げて段差を解消する場合は、出入口の高さ、天井高、階段の最初の段、浴室との取り合いなども確認します。一つの段差を消すことで別の場所に段差をつくらない計画が必要です。床下の状態や配管の位置によって施工方法が変わるため、仕上げ材だけの変更として見積もらないでください。
現地で確かめたい四つの動作
・道路や駐車場から玄関へ入り、靴を脱ぐ
・寝室からトイレへ移動し、出入りして使う
・脱衣、浴室への移動、衣服や用具を置く
・家具を置いた状態で曲がり、必要な介助を受ける
国土交通省は、高齢期に備えた住まいの改修ガイドラインを公表しています。TOTOも、トイレは使用中だけでなく通路や出入口への配慮が必要と説明しています。設備のカタログにある推奨例をそのまま採用するのではなく、自宅で使う人の動作へ当てはめて確認してください。
移動と介助の確認表
| 場所 | 確認する動作 | 図面と現地の確認 |
| 廊下・出入口 | 通過・曲がる・扉の操作 | 手すり等を含む有効幅 |
| トイレ | 入室・方向転換・移乗 | 便器・扉・介助者の位置 |
| 寝室・浴室 | 起きる・脱衣・移動 | 家具と用具を置いた空間 |
一部分の改善で生活がつながるかを確かめる
既存の壁や柱を大きく変えずに、出入口の変更、手すり、局所的な床の調整などで必要な生活動線を整えられるなら、改修を検討できます。工事後の図面だけで分かりにくければ、現地へテープを貼り、扉の位置と用具の動きを確かめる方法もあります。
一方、廊下を広げるために構造上の壁を動かす、水回りを大きく移す、床の高さを全体で変えるなど、工事が広がる場合は建て替えも比較します。構造や配管の制約が重なると、一か所ずつの対処だけでは動線全体を改善できないことがあります。変更する範囲を先に明らかにします。
新築でも、便器や洗面台、収納を置いた後の有効寸法を確認します。広い平屋でも、寝室からトイレが遠い、扉が開くと通路をふさぐなどの不便は起こり得ます。段差の有無や部屋の畳数だけで比較せず、実際の動作を共通条件にしてください。
工事範囲を決める際は、転倒しやすい物の置き方や、夜の照明、濡れた床など、設備以外の条件も確認します。住まいの対策は身体機能の変化をすべて解決するものではありません。本人の希望と支援の体制を踏まえ、必要な範囲を設計担当と相談しましょう。
開き戸を引き戸に替える場合も、扉を引き込む壁の長さ、取っ手、開けたときに残る有効幅を確認します。製品名だけで使いやすさは決まりません。現地での動作確認には、家具や手すりを設置した後の状態も反映することが大切です。
私は、「何センチ広ければ安心か」と一つの数字で決めず、どの用具で、誰が、どの動作をするかを確かめることを勧めます。その動作を改修でつなげられるか、新しい配置が必要かを比較すれば、設備を増やすだけの工事を避けて判断できます。
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参照資料 E05、E06










