持病があることだけで、団信や住宅ローンの利用が一律に決まるわけではありません。保険会社の診査、年齢、告知内容、商品条件等を確認します。一般の団信が難しい場合にも選択肢はありますが、借りる方法と、万一の返済を支える方法を一緒に考える必要があります。
「団信がなくても借りられるから問題ない」という説明は不十分です。本人が返済できなくなったとき、家族が住み続けられるか、何で残債を賄うかを確認します。資金調達ができたことだけで、建て替えの計画を完了にしないことが大切です。
病名だけで、自分や営業担当が判断しない
三井住友銀行の案内でも、健康状態に不安がある場合の申込みは可能としたうえで、健康状態等を告知し、団信の加入可否は保険会社が個別に診査すると説明しています。一つの病名や服薬の有無だけで、住宅会社が加入を保証することはできません。[18]
求められる告知内容は、申込みをする保険の書式に沿って正確に記入します。通院日、治療内容、健診の指摘などで分からない点があれば、医療機関や保険会社へ確認します。営業担当から「その程度なら書かなくてもよい」と言われても、そのまま判断しないことです。
住宅の契約が先に進みすぎると、審査が難しいと分かってから高額な自己資金を追加するなど、選択肢が狭くなる場合があります。健康面で気になる点があるなら、具体的な商品と必要資料を早い段階で確認し、工事契約の進行と合わせて判断します。
ワイド団信は選択肢だが、無条件ではない
一般の団信より引受条件を緩和したワイド団信を扱う金融機関もあります。ただし、審査がなくなるわけではなく、必ず加入できるものでもありません。取扱い、年齢、保障内容、追加費用は商品ごとに確認する必要があります。[19]
上乗せ金利等がある場合は、月々の返済と総費用を試算します。「わずか数千円」という説明でも、返済期間全体ではまとまった支出になります。一方、費用だけで保障を切り捨てず、残債への備えとしてどの役割を持つかを確認します。
保障する事由も重要です。死亡や所定の状態を対象にする保障と、病気で一時的に働けない場合の保障は同じではありません。名称に安心するより、いつ、どんな状態で、いくらの債務が対象になるかを契約資料で説明してもらいましょう。
複数の案を比べる際は、保障がいつまで続くかと返済がいつ終わるかを同じ時間軸に置きます。既存保険の満了後にも残債があるなら、その期間の資金は別に必要です。加入できるかという入口だけでなく、返済の終わりまで備えが続くかを確かめます。
団信なしの住宅ローンは、返済の備えを別に設計する
フラット35では、健康上の理由等で団信に加入しない場合にも利用が可能です。ただし、融資の審査は別にあり、団信に加入しなければ、その保障で債務が返済される仕組みはありません。借入金額だけでなく、保障のない残高を誰がどう扱うかを確認します。[8]
既存の生命保険がある場合は、保障期間、保険金額、受取人、支払条件を確かめます。「保険は入っている」というだけでは、住宅ローンの残債へ充てられるか分かりません。同じ保険金を、配偶者の生活費にもローン返済にも全額ずつ数えてはいけません。
仮定の計算例として、万一の時点の残債が1,000万円、保険金が600万円なら差額は400万円です。ただし、600万円のうち生活費へ400万円を残す計画なら、返済へ使えるのは200万円で、返済資金の不足は800万円になります。保険の目的を分けて計算します。
配偶者や子供の名義にする前に、実態を確認する
健康状態や収入等の条件が合う配偶者が借りる方法を検討する場合もあります。ただし、名義を変えればすべて解決するわけではありません。誰が所有し、誰が資金を出し、誰が実際に返すのかをそろえ、商品の対象条件や税務上の扱いを確認します。
子供に借りてもらう案は、子供自身の将来の借入れや家計に影響します。親の健康上の条件を回避するためだけに、子供へ長期の負担を移すことは勧めません。子供が契約上どんな責任を持つのかを、本人にも直接説明してもらうことが必要です。
団信の対象者が変われば、家族の誰に何が起きた場合に債務が残るかも変わります。実際に家計を支える人が保障の対象になっていない場合、その人の収入減への対応は別に必要です。契約名義と生活の実態を両方確認してください。
元金を死亡時等に返す方式も、目的が合うかを見る
リ・バース60のように、毎月は利息を払い、元金を契約者の死亡時等に一括返済や担保売却等で返す仕組みもあります。通常の元利返済型とは異なるため、月額だけで選ばず、元金を返す時点と自宅の扱いを確認します。[9]
家を子供へ残したい場合は、相続人がどの資金で返済できるかを検討します。売却を想定する場合は、配偶者の居住継続、売却後の不足の扱い、金利や担保評価等の条件を確認します。団信の可否の問題だけを見て、別の家族の希望を見落とさないことです。
商品には利用条件があり、必要な建築費を全額調達できるとは限りません。自己資金が必要な額を確認し、医療や生活のために残す現金が不足しないかを見ます。新しい仕組みを使うこと自体を目的にせず、本人の希望する暮らしと返済方法が合うかを判断します。
借り方が合わないときは、建物の計画も調整する
保障と借入れを組み合わせても家計が厳しい場合は、建物の規模や設備、工事時期を見直します。無理な借入れを成立させるより、必要な安全と快適さを守りながら総額を下げる方が、家族の負担を軽くできる場合があります。
全額を現金で払う案も、必要な生活資金を残せるかを確認してから選びます。団信が難しいからといって預金をすべて住宅へ入れれば、治療や生活支援のための資金が不足する可能性があります。保障の代わりに現金をなくす順番は慎重に考えるべきです。
比較資料には、本人が元気な場合の返済だけでなく、収入が減った場合と万一の場合を入れます。誰に何の支払いが残るかを家族で理解できれば、借入額や現金の残し方を納得して決められます。審査の結果を急ぐ前に、暮らしの継続を確認することが大切です。
相談では「一般団信、ワイド団信、団信なし等の選択肢について、費用と万一の残債を別々に説明してください」と伝えましょう。持病がある方の家づくりでは、借りられる方法を探すことに加え、本人と家族が困らない返し方を整えることが必要です。










