Q.壁を閉じると見えなくなる部分の写真は、お客様にも渡してもらえますか?
A.着工前に、撮影する部位、記録の内容、渡す範囲と時期を確認してください。私は、隠れる部分を後から説明できる記録は重要だと考えています。ただし、すべての箇所を撮影することや、撮った写真を無条件に全点提供することは、依頼した業務の範囲と区別して確認が必要です。
見たい場所を工程と合わせて決めます
基礎の鉄筋、構造の接合部、断熱や気密、防水、配管や配線などは、次の作業で見えなくなる部分があります。完成してから写真を求めても、その時点に戻って撮ることはできません。どこを残したいかを、工事の予定より先に共有することが大切です。
例えば、将来手すりを付ける予定の下地は、位置が分かる写真と図面があると参考になります。配管も、部屋の全景だけでなく、どの壁や床のどの位置かを特定できる記録が役立ちます。ただし、写真があることだけで、後からどこでも穴を開けてよいわけではありません。
当社の基本である枠組み壁工法では、壁や面材、接合部などの施工内容を図面と合わせて確認する必要があります。見えなくなる前に何を確かめたかを残すことが重要です。施工の写真と、完成後の見栄えを紹介する写真は、目的が異なります。
枚数より場所と内容が分かる記録を残します
写真が大量にあっても、どこの部分か分からなければ判断しにくくなります。撮影日、部位、方向、工程などを整理し、全景と細部を組み合わせます。寸法を示す必要がある場合は、その箇所で測ったことが分かるように残す方法を検討します。
例えば、仮に500枚の写真があっても、部屋や工程の分類がなければ、探している窓の防水が写っているか分かりません。反対に、整理された記録は枚数が少なくても位置を追いやすくなります。枚数だけを記録の充実度として比較しないでください。
補修した箇所は、補修前後の関係が分かることも重要です。出来上がった状態だけでは、中をどう直したかが分からない場合があります。検査で確認したことと写真で残したことを結び付けると、後から経緯を理解しやすくなります。
写真で確認できないことも説明します
写真には、写る角度、画質、撮影した時点という限界があります。釘や材料の一部が写っていても、全部位の施工を証明できるとは限りません。撮影されていない場所があるだけでミスと断定することも、写真があるから全体が正しいと決めることも避けます。
撮影と提供については次の4点を確認します。
・残す部位と、撮影する工程。
・場所や寸法を特定する情報。
・写真と検査や是正記録の関係。
・受取り時期、ファイル形式、提供対象の範囲。
お客様が自分で撮影する場合も、現場の予約と安全上の案内に従ってください。撮りたい場所があるからと、足場へ上ったり養生を外したりすることはできません。自分では見られない部分については、会社へ記録を依頼する方法を相談します。
データの共有期間にも注意します。アプリでいつでも見られると思っていても、契約終了後に利用できる範囲が変わる場合があります。ダウンロードの可否と保管方法を確認し、引き渡し図面などと一緒に整理すると役立ちます。記録に写る他の方の情報の取扱いも確認します。
写真は、売却や修繕の際の説明資料にもなりますが、それだけで査定額や保証の継続を約束するものではありません。必要な書類や維持管理の記録と合わせて使う資料です。用途を理解して保管し、工事が必要なときは現況も確認します。
当社へも、「どこが写っていて、何を確認できる記録を受け取れますか」と聞いてください。私は、見えなくなるからこそ、施工した内容を説明する手掛かりを残したいと考えています。写真の数を競うより、ご自身の家のどこをどう造ったかが分かる記録を重視します。
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参照資料 S1、S5










